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リカントロードのバフ魔法

鍾乳洞から現れた魔物は

【ブルブルブルドック】

【切り株カブ】

【カサカサコウモリ】

オレ達が鍾乳洞の中で闘ったこの三種に加えて

【ミートスライム】を一回り大きくした魔物、【ポークスライム】も加わり全4種編成だ。

全種合わせて百数十匹。

数の上ではリカント軍と大差無い。


観た感じの雰囲気からしても互角の潰し合いが展開されると思っていた。


実際、実力は拮抗していたと思う。


しかし、ただ一つのイレギュラーな存在がその拮抗を崩した。


リカントロードのウィスハートである。


「魔力の障壁よ、皆を守る盾となれ!【タートルプロテクション】!!」


リカント達の周りに魔力障壁が現れる。

続け様にウィスハートが吠える。


「猛る力よ、我らに宿り宿敵を穿て!

【ライオンストライク】!!」


今度は真っ赤なエネルギーがリカント達の手足に灯った。


「おいおい嘘だろ!?あのリカントロード、魔物なのに強化魔法を使うのかよ!?」


後から聞いた話だけれど、基本的に獣型の魔物は魔法は使わないらしい。


稀に使う個体がいても、せいぜい攻撃魔法位しか使って来ない。


なのにウィスハートが使った魔法は間違い無く補助系の強化魔法・・・いわゆるバフであった。


「しかもあのリカントロード、100匹以上の仲間に同時に魔法をかけてるわよ!有り得ないわ!」


リサも驚愕の声をあげた。


攻守のバフがかかり強化されたリカント達は拮抗していた実力をひっくり返し、鍾乳洞の魔物達を10分弱で全滅させた。

時間の短さも驚いたが、それ以上にリカント側に死者が1匹たりとも出ていない事に驚嘆した。


それもそのはず、戦況が思わしく無いリカントが居ると素早くウィスハートが駆け付け助けに入るのだ。


コイツ1人で三分の一は倒したのでは無いだろうか?


疲弊していたり軽い怪我をしているリカントは居るが基本的には全員無事に戦いを終えることが出来たのはウィスハートが甲斐甲斐しく動いたおかげだろう。


うーむ、作戦失敗。


「おい姑息な人間ども!!魔物は残らず打ち倒してくれたわ!!さっさと降りてこい!!」


ウィスハートがこちらに向かって怒りの咆哮を上げた。


「100匹以上で4人を囲んでおいて姑息とは・・・よく言うぜ。」


ホークスが呟く。


「てか魔物が魔物を魔物呼ばわりしてて訳が解らないわね。」


リサさん、こっちが訳が解らくなるから辞めようね。


「ジョーカー、ひとまず降ろしていいぜ。」


俺の合図でジョーカーが螺旋の力を弱め、俺達は空中から地上へ10分ぶりに着地する。

やっぱ地に足がついて居るのは落ち着くね。


「覚悟は決まったか?人間よ?」


さっそく威嚇してくるウィスハートに俺は取引を持ちかけた。


「なあ、一つ提案があるんだけどさぁ、一対一で決着を付けないか?」


突然の俺のセリフにリカントロードの顔が歪む。


「その提案にメリットを感じないな。こちらは百数十人、お前達は四人、数の上で圧倒的有利な我々がなぜ一対一の対決をする必要がある?」


そう言うと思ったぜ。

だけど俺はこの提案は通る確信があった。


「メリットなら有るぜ?」


そう言って俺は自分の真下の地面に拳を打ち付けた。


ドッゴーーーン!!


地面に1メートル四方の穴が開く。


「な!?」


驚愕の声を漏らすリカント達。


ホークスとの修行中に色々試して解った事だが、この【世界最強】の理想の力が宿っている身体は結構パワーも硬さも有るのだ。

地面を軽く陥没させる事くらい造作もない。


「この力で殴られたらいくら強化魔法で守備力を上げていたとしても、アンタの仲間のリカントはひとたまりもないだろ?100匹以上居ても結局俺とマトモに戦えるのはアンタだけなんだよ。」


正味な話、リカント軍をまとめて相手しても、俺はほぼ無傷でこの場を切り抜ける自身は有る。

しかし、他の3人・・・特に戦闘に特化していないリサは無傷では済まないかもしれない。

こちらとしてもタイマン張ってくれると助かるんだよなー。


「もし一対一でアンタが勝ったら俺達はこの場所から撤退する。二度と滝のこちら側には来ない。その代わり俺達が勝ったら北の森の資源をわけてくれ。もちろん何らかの見返りは用意する。」


「グヌゥ」


ウィスハートが苦悩の唸り声を上げる。


コイツの戦い方を見て俺は確信していた。

コイツは仲間思いなのだ。

自分以外のリカントの仲間が傷ついたり、ましてや死んだりするのを望まない。

だからコイツは俺の力を目の当たりにすれば絶対に一対一の対決に応じる。


あと、一声だな。


「なんならこちらの代表はアンタが選んでもイイぜ?女の子を出すわけにはいかないが、俺と、剣士のおっさんと、派手は頭の色の少年、好きな相手と闘わせてやる。」


ウィスハートの耳が一瞬ピクリと動いた。

お、コレは釣れたな。


「言ったな?ならば我が戦う相手を選ぶぞ?後悔は無いな?」


「ああ、男に二言は無いぜ!好きな相手を選びな!この剣士のおっさんなんかどうだ?おススメだぜ?」


「さっきからオッサンオッサン言うな!俺はまだ若い!」


よし、無視しよう。


「何がおススメだ!その男は紅の剣聖で有ろう!人間の英雄では無いか!!断る!!」


あらホークス有名人。

割とガチで対戦相手としてはおススメなんだけどなぁ。


「フッ、賢明な判断だな。」


何かニヤニヤしてるぞ。

嬉しかったのか?

嬉しかったんだなー。


「んじゃあ俺とヤルかい?」


「いーや、我の相手は・・・小僧!お前だ!!」


ウィスハートの熱いラブコールを受けたのは、天空超越者の厨二病少年だった。

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