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渇き知らずの滝

アール先生の屋敷を出て2日目の昼頃、俺、リサ、ジョーカー、ホークスの急増四人パーティーは大きな滝が流れ落ちる谷に差し掛かっていた。

名称は【渇き知らずの谷】そして【渇き知らずの滝】と言うらしい。

確かに名前負けしていない水量だ。

幅も勢いも凄い滝が有るからか、谷全体の湿度もモノズゴイことになっており、まるでアマゾンを彷彿とさせる。

・・・アマゾン行ったことないけど。

Amazon位しか使った事無いけど。


実は昨晩の【魔法少女(マジカル)秘密豪邸(ドールハウス)】のリサの部屋での一件があったので関係性がギクシャクしてしまうのでは無いかと心配してキョドッていた俺だったのだが、リサが朝イチで


「昨日の事はあくまでお礼だから、勘違いしないでよね」


と一蹴してくれたので有る意味助かった。

その一連のやり取りを見ていたジョーカーが微妙な表情をしていたが厨二病患者のメンタルケアをしているほど俺自身余裕がなかったので華麗にスルーした。


ちなみにホークスはジョーカーよりも更に複雑怪奇な表情をしていた。

ホント勘弁してくださいよ、トホホ。


話を戻どそう。


ちょいちょい出てくる【切り株カブ】と言う樹木の切り株と野菜のカブが融合した様なアンバランスで気持ちの悪いモンスターや、毎度おなじみのミートスライムをザクザクと倒しながら谷を降りていき、滝の目の前に差し掛かる。


「この滝の裏側の鍾乳洞の中を抜けて行くのが北の森方面に行く最短ルートだぜ。ただ、平原や丘や今降りて来た谷に比べると中のモンスターは一段階強敵だから気を付けろよ。」


ホークスが真剣な表情で注意喚起する。


「まあ最強もジョーカーもだいぶレベルは上がっているし、問題無いとは思うけどな。」


うーむ、今のフラグ立ててない?


俺たち四人は鍾乳洞の中を警戒しながら進んだ。


中にはやたらと顔を左右に振る二つ首の犬型魔物【ブルブルブルドック】や羽音が物凄く五月蝿い【カサカサコウモリ】と言ったモンスターが出現した。


外に居る魔物と比べると確かに多少手強い印象は有るが、特に問題無いレベルの相手だった。


「これなら大丈夫だな。レベルもさる事ながら1週間の館での修行と、もともとの二人の理想の力が圧倒的だからこの辺のモンスターならお前たちにとっては危険は無いだろう。」


ホークスが太鼓判を押す。

・・・だーかーらー、フラグ立てんなよ。


しばらく順調に歩を進め、鍾乳洞の中腹にある大きめの空間に差し掛かった時、事件は起きた。


ビクッとホークスとリサの身体が硬直し歩を止めたのだ。


「ん?どうしたホークス?」


俺の問い掛けにホークスは人差し指を慌てて口の前に当て


「シーーーッ、静かにしろ!」


とウィスパーボイスで叫んだ。


「あそこ、空間の真ん中に穴が空いているだろ?」


見ると言われた場所に1メートル四方の穴が数ヶ所空いていて、中から薄っすら金色の光が漏れている。


「何だアレは?黄金の輝きが迸っているな?まさか、古の古代財宝が?」


古と古代がダブっているがメンドくさいから突っ込むまい。


「いや、違うぜジョーカー。アレは黄金魔竜の寝息だ。」


「お、おうご・・・何て?」


「黄金魔竜の寝息!この異世界エスブリッジには現在の魔王が現れる100年以上前に姿を消したとされている伝説の魔竜がいてな。ひと薙で街が壊滅するブレスを吐きその牙と爪は伝説の鉱石オリハルコンをも砕いたと言われている。そいつが地下で寝ている時に吹き出す魔力のカケラが【黄金魔竜の寝息】と言われているあの、、、目の前の穴から出てる金色の光だ。・・・と言っても俺も噂で聞いただけで実際に居るとは思ってなかったが。」


「いやいや、穴が金色に光ってるだけで何でイキナリ伝説の魔竜とイコールで結びつけてんの?只の自然現象かもしれないだろ?」


「うむ!黄金の胎動だと言う可能性もあり得るしな!」


「何言ってんだ!感じるだろ!?圧倒的なプレッシャーを!!正直今ここに立って正気を保っているのもキツイくらいだ!」


ん?

全く解らん。

俺はジョーカーと顔を見合わせる。

ヤツも同じく「全く解らん」と言った表情を返して来た。


リサの方を見るとガタガタ震えながら後ずさりをしている。


ふむ。

オーラを探るトレーニングとかが新参者の俺とジョーカーには足りないんだろうか?


「とーにーかーく、アイツはヤバイ。触れないように脇を通ってやり過ごそう。」


「そうね、絶対に物音を立て無い様にこっそり通り抜けましょう。」


「わ、わかったよ。」


俺とリサとホークスの3人は足音を立てない様にこっそり抜き足差し足進んだ。

そしてジョーカーは空中をプカプカ浮いて付いて来た。

・・・ん?

コイツ何で浮いてんの?


気が付いたホークスが慌てる。


「おいジョーカー?お前何を?」


「いや、我はコソコソ歩いたりするのが苦手であるからな。足音を立てない様に螺旋の力で浮いているのだよ、フハハハハっ!」


ホークスとリサの顔が途端に青ざめる。


「バカっ!黄金魔竜は魔力も感知するんだよ!そんな力を使ったら・・・」


グゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・!


言いかけたホークスの声を遮る様に、黄金の光を放っていた穴がモリモリと隆起し始める。


「ま、まさか!?」


リサが悲鳴をあげる。


地面が爆発し、中から黄金のツノが突き出された。


「嘘だろ??」


俺たちの前に鍾乳洞の空間所狭しと言わんばかりの巨大な竜が姿を現した。


はい、フラグ回収〜

言わんこっちゃ無い。

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