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ミートスライム

異世界エスブリッジにも、日本と同じように四季が存在する。

春は大地の季節。

夏は太陽の季節。

秋は風の季節。

冬は雪の季節。


現在、この世界は秋、風の季節を迎えていた。

気温は10℃から20℃の間位を上下するらしく非常に過ごしやすい。


ちなみにこの日の気温は14℃、マントにリュックの重装備?の俺たちにとっては非常に快適である。


出来れば太陽の季節が来る前に魔王軍を討伐してしまいたいなぁ。

まあアール先生の長年の苦労を想うとそう簡単な事では無いのだろうけれども。


小高い丘を2つほど越えたあたりでフと疑問が浮かぶ。


「そう言えば、エスブリッジって国を納める王とか政治家みたいな人って居ないの?」


誰に問うた訳でもなかったのだが一番近くを歩いて居たホークスが答える。


「10年くらい前まではザーキミヤって国と城が有ったらしいぜ。だが度重なる魔王軍の侵攻で滅ぼされ当事の国王オヤハ八世も殺されちまったんだとさ。ま、俺が転移した時には既に滅んだ後だったから実際に見た事は無いがな。」


続けてリサが語り出す。


「国が滅んでからは残された民をアールさんがずっと護っているの。あのアールさんの屋敷は、人間の最後の砦なのよ。」


俺が転生してから一週間の間過ごしてきたアール先生の屋敷は実は結構大きい。

一部の区画しか往き来しなかったので殆ど会う事はなかったが、実は魔王軍の侵攻で親を失った子供や家を失って路頭に迷って居た人達が数百人暮らしている。


そして屋敷の西側には数千人が暮らす村があり、東側から攻めて来る魔王軍を屋敷の手前でアール先生と屋敷に住む数人の戦士や魔道士達が食い止めているのだ。

俺を英雄召喚した魔道士、【風のライジス】さんもその一人らしい。


「でも最近になって北の森に魔王軍では無い魔物達の勢力が現れたの。リカントロードを主とするはぐれ魔物の集団で三ヶ月前位に森を占拠してしまったのよ。」


「そのせいで俺たちは森からの資源調達が困難になっちまったんだよ。【蒼天の実】もその1つって訳だ。」


「アールさんが動ければ良いのだけれど、いつ魔王軍の侵攻があるかわからないから屋敷を離れられないのよ。だから私達が代わりにリカントロードを討伐するか、もしくは無理そうなら気付かれない様に森に潜入して【蒼天の実】を手に入れなければならないのよ」


「成る程な。」


ジョーカーが頷く。


「だがコソコソ潜入するのは性に合わんな。我が力でリカントロードなど灰燼と期さしめてくれるわ。」


相変わらず訳のわからない物言いだが


「まあ俺も同感だな。そんなやつらも討伐できない様じゃ、魔王を倒すなんて夢のまた夢だからな。」


一刻も早く日本に帰る為にも木っ端魔物ごときに足踏みする訳にはいかないのだ。


「でも気を付けて、新進気鋭のリカントロードの実力は未知数よ。」


「リサよ、案ずるな!我が力を持ってすれば造作もな・・・」


とジョーカーが言いかけたその時、草むらからイキナリ複数の物体が飛び出した。


「うわっ!?」


思わず巣の声がでるジョーカー。


飛び出してきたのはブニブニした肉の塊にリアルな目玉が2つと口が1つ付いた謎の生き物だ。


「こいつらはこの辺に生息する野生の魔物、【ミートスライム】だ。」


・・・スライム?

え?なんかグロいんですけど・・・。


「あの口で噛み付いて攻撃して来るから気を付けて!」


「あんなリアルな口に噛み付かれるとか冗談じゃない。」


俺は左右に身体を揺さぶりフェイントをかけて素早くミートスライムの後ろに回り込む。

やはりリアルな目を持っているだけあって眼球をグリグリさせながら俺の動きを追い掛け、見事にフェイントに引っかかり俺を見失っている様だ。


「秘技 瞬光殺・六連斬!」


スバババババッ!!


俺の黒曜真打刀が唸りを上げミートスライム数匹を真っ二つにする。


ミートスライムの肉が飛び散ったかと思うと、光の粒子になって消滅した。


「貴様、リサをイヤラシイ目で見るんじゃ無いっ!我が断罪の一撃で虚無に帰るがいい!螺旋神雷風(ゴッドローリングバースト)!!」


バシュュュュュッッ!!!


謎のジェラシーに燃えるジョーカーが巨大な横竜巻(トルネード)を起こし残りのミートスライムを横薙ぎにする。


これまたグチャグチャの肉片になった瞬間、光の粒子になり消滅した。


・・・うん?

何で一瞬グロいの?


「あれ?この世界の戦闘ダメージって切れたり壊れたりせず光の粒子が放出されるだけじゃなかったっけ??」


思わずホークスに尋ねる。


「ああ、今のはミートスライム特有のスキルだ。自分が切られたりダメージを受けた時に自らの肉片や臓器を見せて戦意を削ぐんだよ。」


何じゃそりゃ??


「まあダメージが大き過ぎてそのまま死んじまったみたいだがな。」


「ふふん、安心してイイぞリサよ!我が神の力で禍々しき肉片を消し飛ばしてやった!」


「すご〜い♫ジョーカー強ぉ〜い♫」


「であろう!?そうでろう!?フハハハハッ!!」


あっちはあっちで微妙な人間関係が形成されつ有る。


しかし、ジョーカーでは無いけれど、今の戦闘で1つの確信を得た。

俺の・・・俺とジョーカーの理想の力ははこの世界の魔物に効果覿面だ。

恐らくかなり低級な魔物であろうがそれでも一撃で倒せたのは大きな自身にはなった。

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