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剣聖VS最強

「ぶっちゃけ日本刀をポーンと渡されても困ります。俺ついさっきまでごく普通の高校生ですよ?」


と、言うのが正直な今の気持ちだ。


「大丈夫だぜ。お前さんには転移神から授かった【理想の力】が有るんだ、そこいらの戦士や剣士なんかよりよっぽど強いハズだ。」


いやいやいや、そうじゃ無い。

俺の言いたいのはそうじゃなくて。


「理想の力云々の問題じゃあ無いんですよ。俺が向こうでやっていたのは剣道ですよ?他にも柔道とか空手とかボクシングとかもやってましたけどね、全部スポーツなんです。イキナリ真剣渡されても・・・正直ビビりますよ。」


ホークスは一瞬呆気にとられた顔をしてから、すぐに「ああ、成る程」と呟いた。


「こっちの世界に飛ばされて三年もたっちまったからすっかり忘れてたわ。」


三年・・・アール先生の三十年に比べると十分の一ほどでは有るが、それでも彼から日常を欠落させるには1000日以上の日々は十分な時間経過なのだろう。


「でもまあ、お前さんが思っている程こちらの世界の斬り合いはグロくは無いせ?」


思いも寄らない言葉がホークスから発せられた。


「まずこの世界エスブリッジではな、斬りつけたり斬りつけられたりしても血が流れたり臓物が飛び散ったりはしない」


臓物とか言うなグロい。

・・・ん?でも何だって?


「血が、出ないんですか?」


「ああ、血の代わりにキラキラ光る粒子みたいなのが出る。」


何じゃそりゃ?


「因みにこの世界の人間には血が流れていない・・・って事じゃ無いぜ?通常生活ではちゃんと出血もするしな。ただし、何故か武器や刃物によるダメージを受けたとき光る粒子が出て終わるんだよな。手足がもげたり切れたりする程のダメージでも大量に光る粒子がでるだけで実際には切断されない。」


「ん?あれ!?それじゃあどんなにやられても死な無いって事??」


「ああ、やっぱりそう思うよな。だが幾ら何でもそこまで世界も優しく無い。

光る粒子がある一定以上身体から放出されると身体が段々透明になり、最後は消えて無くなる。コレがこの世界における人間の死、らしい。」


何だか現実味が湧かない。


「つまり、こう言うことだな。」


そう言い放つとホークスは自らの太ももに日本刀を突き付けた。


バシュュュッ!


傷口から光る粒子が噴き出す。


「ちょ?おま!?何やってるんすか!?」


「イヤー、実際見てもらった方が早いかな〜って。」


「アホなんすか!?アンタアホなんですか!?」


「いやいやいやブーメラン刺さってるよ最強君。俺10年後の君だから〜。」


「認めたくねぇ!この先10年で俺に何があったらこうなるのさ!?」


「まあ何かあったのは3年前だけどね、ハハ。」


そう軽口を叩いて笑うとホークスは小脇くら薬品瓶を取り出し光の粒子が噴き出した太ももに振りかけた。


ジュワワワ〜〜


小瓶から流れ出た水液がかかると、みるみる傷口が塞がる。


「・・・え?・・・は!?」


「回復薬、いわゆるポーションってやつだな。ファンタジーだろ?」


・・・コイツ。

流石に今のはムカついた。


ズバッ!!


俺は床を蹴ると一瞬で間合いを詰めて渡されていた日本刀でホークスに切りかかった。


ガキンッ!!


金属と金属とがぶつかり合う音。

すんでで俺の斬撃を自らの刀で受け止めたホークスが問いかける。


「どうした?急にヤル気になって?何か良い事でもあったのか?」


「ああ、有りましたね!回復薬持ってるなら遠慮無くぶった斬ってあげますよ!!」


「おやおや、もしかして俺の事、心配しちゃったのかい?だとしたら済まない・・・ね!」


切り返してくるホークスの斬撃を、俺は身体をひねってギリギリで避ける。


「ほう、この斬撃を見切るか。」


さっきのアール先生とジョーカー君の戦闘を観戦していた時も思ったが、この【世界最強】の力を持った身体、めちゃくちゃ目が良くなってる。

純粋な視力も尋常じゃ無く良くなっているが、それ以上に動体視力がとんでもない。

さらにその目の良さを活かせるだけの反射神経も有るみたいだ。


「んじゃあちょっと速度を上げるぜ?」


スッ。


目の前からホークスの姿が消える。

正確には消える程の速度で後ろに飛び、一瞬で背面に周ると三段突きのモーションに入った。


「全部、見える。」


ズバッズバッズバッッ!!!


風を引き裂かんばかりの突きを1センチ幅の距離で見極め交わすと、俺はカウンターの蹴りをホークスの腹部にめり込ませる。


ガキンッ!


めり込ませたつもりだったが、ホークスはギリギリで腰に差していた小刀を抜き俺の蹴りを防いだ。

しかし威力に耐えきれず小刀諸共数メートル吹き飛ぶ。


「うお、マジかよ。」


ホークスが左手に持っていた小刀が砕粉々に砕けた。


「スゲェ威力の蹴りだな。てかそれ以前に何て反射神経だよ、アレだけひょいひょい避けられると剣聖の名が廃るぜ。」


驚愕と称賛の声をあげるホークス。

しかし、彼はその後ニヤリと笑った。


「まだ、何か力を隠してますか?」


「まあな。だが、それよりも久々の強敵にワクワクしてるってのが本音かな。」


そう言いと、ホークスは前屈みに構え【気】とか【オーラ】みたいなモノを纏った。


「恨むなよ、後でポーションで治してやるからな。」

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