1950~60年代 アメリカ青春映画は限りなくスウィートでほんのりビターだった 極私的洋画レビュー
この時代のアメリカ青春映画といえば、、、、
直ちに思い浮かぶのが、青春スターたちである。
田舎少年の私にとっては、
それは、、
トロイ・ドナヒューであり、
サンドラ・ディーであり、
コニー・スティーブンスであり、
スザンヌ・プレシェットであり。
デビー・レイノルズであり。
テリー・ムーアであったのである。、
確かに今振り返って見ればこれらのスターが出ていた青春映画は、大甘の、ご都合主義の、上っ面だけの明朗さだけだったかもしれない。
でも、今、現在のあまりにもシリアスで、暗くて、病的な、
傷つきやすいグロ?青春映画に比べたら、
私はこれらの大甘の明朗な青春映画のほうがずっとマシだったと想うのである、
たしかに、、今も昔も、現実の青春は暗くて傷だらけで、ねじくれていて、、病的かもしれない、
しかし映画だけでもせめてひと時、夢を見させてくれてもいいのではないだろうか?
暗いのは現実だけで良い。
映画は永遠のドリームランドで明朗な青春をかなで続けてほしい。
それが私のはかない希望である。
そもそも映画とはトリップであり、異次元体験である。
暗い現実の単なる反芻、反映だったらそれはドキュメンタリーあるいは、ニュースにでもまかしておけばよいだろう?
さて前置きはこのくらいにして、
○トロイ・ドナヒュー、
この人はとても甘いマスクでさらさらの金髪で背が高い、スマートボーイ、でしたね。。
アメリカの好青年を絵に描いたような役者だった。
代表作
☆『二十歳の火遊び』 原題パリッシュ parissh 1961 デルマーデイビス監督1961年
青年パリッシュがたどる甘にがい青春映画。相手役はコニー・スティーブンス
クローデット・コルベールもでてます。
☆『避暑地の出来事」原題 a summer place デルマー・デイビス監督1959年
十代の性典物の走りでしたね。相手役のサンドラ・ディーはもう最高に愛くるしいお人形さんみたいなヒロインでしたね。主題曲も大ヒットしました。
☆「恋愛専科」原題 rome adventure ( lovers must learn) 1962年
イタリア観光しながら甘い恋が奏でられていきます。
当時イタリアへなんていけなかった日本人はこれでイタリア観光したんですね。
デルマー・デイビス監督、こういう恋愛映画はうまいですね。
相手役はスザンヌ・プレシェットというお嬢様系の女優です。
主題歌「アルディラ」の甘い調べ、、。が、、いまも耳に残る。
しかし、こういう青春映画の
好青年しか演じられないトロイ・ドナヒューの宿命?
だから、、中年になってくるともう出番はなくなりましたね。
人気も低迷、B級の映画しか回ってきません・
そうして何時しか忘れられてゆきました、
だって、年取って老人のドナヒューなんて誰も見たくないのです。
さらさらの金髪の青年しか、、、、、
それが彼の宿命なのです。
まあ、、でも、それでいいんじゃないですか。
青春俳優は青春のままでいてほしいですよ。
そんな彼ももう亡くなっています。
青春の映像だけを残して永遠の青春俳優として
これってある意味、本望ではないでしょうか?
○サンドラ・ディー、
きらきらした金髪で、丸顔の、「アメリカの恋人」アメリカズスイートハートといわれて当時は絶大な人気でしたね。表現は悪いですが、食べちゃいたいくらいかわいい人でしたよ。この人ももう亡くなっていますよ。
このころトロイドナヒューとサンドラディーはまさに、青春俳優の双璧でした。
代表作
☆「ギジェット」 gitget 1959 日本未公開
サーフィン青春もの
☆『避暑地の出来事」summer place
あまりにも有名な青春映画、映画音楽も大ヒットしました。
ああ、サンドラディー、食べちゃいたいくらいくらいかわいかったですよね。
☆「タミーとドクター」 tammy and the docter 1963年
デビー・レイノルズ主演の「タミーと独身者」から引き継いでサンドラが2代目タミーになりました。
看護婦タミーをかわいく演じました
☆「タミー・テル・ミー・ツルー」tammy tell me tlue(タミー真実を語れ) 未公開 1961年
というのがタミー役の初作です。なんとタミーはリバーボートを離れて街の大学に通うことになります。
「タミーとドクター」はサンドラの2作目です。
(注)タミーシリーズは4作あります。まあ、いってみればこれはおとなの童話です。
1、タミーと独身者 デビー・レイノルズ 未公開 tammy and the bacherer
2、タミーテルミートルー サンドラ・ディー 未公開 tammy tell me tlue
3、タミーとドクター サンドラ・ディー tammy and the docter
タミーはテレビドラマ化されました、4はその劇場版です。
4、タミーと億万長者 デビ―・ワトソン 未公開 Tammy and the Millionaire (1967)
サンドラディーもまた典型的な青春女優でしたから、中年になったらもう誰も振り向きません。
だって中年のサンドラなんて誰も見たくないからです。
中年になった彼女はアル中になりすさんだ生活になりました、
そうして忘れられて死んでいったのです
ああ、青春が消え去ったとき彼女もまた終わってしまったのです。
○コニー・スティーブンス
そこらのどこにでもいそうな都会的なアメリカ娘という感じでしたね。
ほそおもてで金髪をなびかせて、アメリカの明朗さの鏡みたいな女優でしたね。
この人、、歌手でもあります。ググったらまだご存命です。
代表作
☆『スーザンの恋』原題susan slade 1961年デルマーデイビス監督
スーザンスレイドという少女が恋した男が事故死するという悲劇、その時彼女は身ごもっていた。
南米で出産してその子を自分の母親の子として育てるという苦悩、その中でトロイドナヒュー演じる誠意の青年と出会うというほろ苦い青春映画でした、
田舎町の古びた映画館で中学生の私が見たこの映画
今でも鮮明に覚えています、
☆「二十歳の火遊び」パリッシュ
トロイドナヒューと共演です。
傷つきやすい青年役のドナヒューが良かったです。
○スザンヌ・プレシェット
ちょっとお上品で落ち着いたノーブルな感じでしたね。
ヒッチコックの「鳥」にもでてますね。
この人ももう亡くなっています。
やはり「恋愛専科」がベストワンでしょうか?
代表作
☆『恋愛専科」
トロイドナヒューとのローマ観光プラス恋愛映画です。
次々出てくるローマの名所を背景に二人の恋が奏でられてゆく、、それがカラーで楽しめるんですからもう最高でした。
共演したドナヒューと結婚。数か月で離婚しています。
この人も中年になると全く売れませんでした。脇役のみです。
そうして忘れ去られていったのです。
○デビー・レイノルズ
コニーは明るくて都会的で垢抜けしていましたがデビーは田舎の純朴な娘でした。
この人、結構、息が長くて上記の4人よりは出演作も多いです。
長く表舞台で、活躍しました。
中では、『雨に歌えば』singin in the rainが特に有名ですね。
しかし、こと、青春ものに限って言えばやはり「タミー」役でしょうか。
当時25歳のデビーが17歳のタミー役はきつい?でしょうが小柄で童顔のデビーなのでそれほど違和感は無かったですね。
ミシシッピ川のリバーボートにすむ夢見がちな田舎娘のタミーは
田舎少年の私の永遠の憧れでしたね。
代表作
☆「タミーと独身者」tammy and the bacherer【日本未公開)
Debbie Reynolds演ずるTammyは両親を亡くし、祖父と二人、ルイジアナ州の湿地に係留されたボートに住んでいる。山羊の乳搾り、水汲み、料理、掃除、洗濯が彼女の仕事。
ある日、近くに自家用飛行機が墜落し、二人は救出したパイロットをベッドに寝せる。パイロットのPeteは五日間意識不明で、Tammyが付きっきりで看病する。元気になったPeteが独身と聞いてTammyの胸は高鳴るが、婚約者がいると聞いてすぐ落ち込んでしまう。TammyはPeteに恋してしまったのだ。
Pete が去り、もう一つ不運が重なる。彼女に教育を受けさせようと、祖父は密造酒作りで学資を貯めていたのだがついに発覚し、刑務所に入れられてしまう。祖父は「何かあったらいつでも来い」というPeteの言葉を思い出し、TammyをPeteの家に行かせる。彼女は山羊を連れ、一日歩き通してPeteの家に着く。そこは由緒ある家柄の大邸宅だった。
そこで
Tammyはよく働き、料理も上手なので歓迎されるが、教育が無く云って良いことと悪いことの区別がつかないため、Peteの母親からはビシビシと小言をいわれる。そして、Peteの結婚の日が近づく…。
この映画の主題歌「タミー」は牧歌的な雰囲気の恋愛歌として佳作ですよね。
以下、タミーの主題歌を訳してみました。つたない訳ですみません。
「タミー」
私は箱柳がささやくのを聴く。
「タミー、タミーは恋してる」
老いたフクローがホーホーと鳩に言うよ。
「タミー、タミーは恋してる」
私のいとしい人が、私の近くに来たとき、
私がどんなに想っているか、わかるかしら?
私の心はうれしさでこんなに高鳴っているわ。
彼は私のこんなの気持ちがわかっているかしら?
私がどんな夢見心地か、彼がわかってくれたら、、、、。
「タミー、タミーは恋してるってことを」
ウイープリウイル【アメリカヨタカ)、あなたと私は知っている!
「タミー、タミー! 彼が行ってしまうなんていや。」
支流からの微風は、低くつぶやきつづけます。
「タミー、タミーは彼のことがとっても好きだね。」
夜は暖かく、柔らかく、彼の魅力で夜も長い。
私はバイオリンのように歌いたい
もし彼の腕の中にいられたならば、
私がこんなに夢見ていることを、彼が知ってくれたなら
「タミー、タミーは恋しているってことを。」
タミーはシリーズ化されて2代目タミーはサンドラディーが演じています。
○テリー・ムーア
大表作
「12マイルの暗礁の下に」 Beneath the 12-Mile Reef 1953年 ロバートDウエッブ監督
これこそが彼女の大表作でしょう。
これには夢中になりました。庶民的な顔立ちのアメリカ娘です。
フロリダの海岸に住む海綿取り漁師一家の若者男女のとってもローカルな恋物語ですよ。
テリームーアの清純さに魅了されたのです。
今思うとこれってロミオとジュリエットをなぞってたんですね。
対立する漁師の家のむすこと娘の恋ですからね。
テリーは永遠の青春を銀幕で奏でています。
この人は結構長く活躍されましたが、
私にとってはこの映画だけが今も心に残っているのです。
☆おまけ
各映画のオリジナルタイトル(原題)でググれば動画が見られます。
おわりに、、、、
あの夏の日の午後
青春の夢はあまりにもあっけなく私の前から消え去ってしまった。
今
私は
病んで
しわだらけで
白髪で
老人になって、、こうして、ここにいる。
わたしから青春の夢が消え去ってしまい
私の心の中から青春が死んだとき
おそらく。。
私もまたその時死んでしまったのだろう。
そうしてそれ以後は、まるで、青春の亡霊のようになって
私は青春が死んでしまって抜け殻のようになった
この肉体だけを引きづって
まさに青春の余生を
余命を
残り火を
こうしてこんな老人になるまで
引きずって
生きながらえてきたのではないだろうか?
そう
おそらく、、
私の心の中で青春が死んだあの夏の日以来
すでに、肉体だけ残して私の中心もいっしょに死んでしまって
そこはがらんどうになっていたのだ。
青春の死人である私が肉体だけ生かされて
それ以後は
つまり、、
それ以後の私の人生とは
おそらく
長い余生
余りの人生にすぎなかったのかもしれない。
あの夏の日の午後
永遠に消え去った私の青春よ
死んでしまった青春よ。
それは
たぶん
もしかしたら
真夏の寄生植物園Parasitic Botanical Gardensに咲いた
幻想の赤い食虫花だったのかもしれない。
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