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覚醒
読んで感じろ”””世界の深淵”””をな
「オラァ!」
腹部に衝撃が走り、少しの吐き気を催す。昼食前にはきつい一撃だ。
「うっ」
抵抗する力はなく、出来ることは精々粉をまき散らす程度だ。
「こいつまじでいいサッカーボールだな」
「うっ、だってよ、面白ぇえええギャハハハハハ」
俺の名はあきのり。室井 あきのりだ。今はサッカー部の奴らに蹴れている所だ。いつもこうだ。
昼食はトイレで食べ、サッカー部に蹴られ、バイトでは客にうざがられる毎日だ。
―――だが、その日は違った。
いつも通り裏に連れていかれ、蹴られそうになったその刹那――俺は、蹴りがどこに飛んでくるかが理解った。
俺はそこに手を置き、その足を掴み、冷たい目でこう言った。
「――まだやるのか?」