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最終戦争②

長らくお待たせしました。


「ここが管理システム……」


 ユウは目の前の光景に膝を折り曲げて恐れおののいた。

 そこはいくつもの脳みそが培養液に付け足されて円筒形の容器に収納され、機械の管のようなものの配管でつなげられた精密工場のような部屋だった。

 まるで、スーパーコンピューターのようにただ、駆動音を流し続ける培養プラント。


『これが今の私の姿』


 おぞましい光景を姉は今の自らの姿とかたり、ユウは混乱しながら発狂した。

 なぜだ、どうしてだ。

 なんで、こうなった。


『黒木の研究を用いて木藤は自らと同じ人種を作り出そうとし、さらにはこの町を一つの科学実験にしていた』

「姉ちゃん?」


 アナウンスから流れてくる姉は訥々と語りだした。

 木藤について。


『木藤は破滅した町の一部区画を最初の実験のサンプルのゴミ溜めにした。『妖獣』は木藤が生み出した失敗作に過ぎない存在であり暴走した怪物。木藤はこの町の実権を握っていたのをいいことに自らが引き起こした災厄だとは気づかれずに処理側に回るというのを口実に実際はもみ消しを行っていた。さらにはその肉片をリサイクルするために回収していたのよ』


 今までに想起されるドローンの回収作業の光景。


「じゃあ、すべてが木藤の自作自演か。姉ちゃん、奴は何なんだ? 何者なんだ? なんで街をそんな科学実験にしていた?」

『言ったでしょ。彼は同じ人種を作りたかった。『妖獣』でありながら人である存在。『悪魔サモンデーモン』を』

「『悪魔サモンデーモン』?」

『そう。紫藤政宗っていう人は見た?』

「ああ、人が『妖獣』になった。あれはなんだ?」

『彼こそ『悪魔サモンデーモン』の二代目。成功の産物。唯一、木藤が同じ人種を作り出せた存在。だけど、彼もまた本当は欠陥品』


 正直ユウには話についていけているような状況ではなかった。

 ただ、言ってる内容の大筋である木藤栄治がとんでもない野郎で化け物であったということを理解した。

 そして、その彼が自らと同じ仲間を増やすつもりで人体実験を繰り返していたこと。


『その過程において彼は実験の中でもモルモットにそれぞれ役割分担させていた。その過程で私というモルモットはこの街のAIプログラムの指揮者の一人になった』

「ッ!姉ちゃんは最初から研究のために殺されたのか」

『ええ』


 わかってはいた。

 そんなことは以前よりわかっていたことだったがユウにはとんでもなくそれが証明だと姉の口から言われて衝撃的だった。


『あのような男を作ってしまったのは自業自得でもある。私たち黒木のね』

「え」

『最初言ったように彼は黒木研究によって生み出された存在。そう、私たちの両親が生み出したのよ。思い出すのよ、あの火の中で見た光景を』


 ユウは記憶の渦の中に眠った過去の記憶を掘り起こしていく。

 すると、腕から電流が流れ込みユウは記憶の蓋が開いた。

 思い出す、火の中でいた男の存在。

 その存在は両親を瓦礫で押しつぶした。


『木藤は狡猾な存在。すぐに町の黒木の権力の座を用いてあらゆる町の権力者をAIチップで支配した。だからこすいて、彼が町のトップで居続けた。実質的な支配者。そして、彼は多くの同志を集めて、世界に侵食する。今日はその最終実験の日』

「姉ちゃん、話は分かった。だけど、俺はどうすればいい?」

『まずは私たちを殺しなさい。この部屋を破壊するの』

「え」


 何を言ってるんだ。


「な、何言ってるんだよ! せっかく会えたのにどうしてどうしてそんなことしないといけないんだ!」

『それは私たちが存在すればAIによって起動するドローンや『妖獣』が人を殺戮し始めるからよ。それを食い止める方法はこのAIプログラムの要であるコンソール監視装置を破壊すること』

「そんなのできない! せっかく、姉ちゃんに会えたのに!」

『ユウ、聞きなさい。これは黒木のいえ、私やお母さん、お父さんの願いでもある。この事態を招いたのはすべて私たち黒木家の責任。そのためにこの事態を終わらせるの。私がこうなったのも自業自得なのよ。最初私だって彼を暗殺しようとしたけど失敗した』

「姉ちゃん……」

『お願い、ユウ』


 ユウはキッと顔を上げて吠えながら防弾ガラスに覆われた部屋の壁を殴りつけた。


『腕には放射能ミサイルが搭載されている。それを使いなさいユウ!』

「姉ちゃん、ありがとう!」


 そういってユウは稼働プロトコルコードを叫ぶ。


『ユウ、黒木の……不始末を……おねが……』


 最後に姉の声は聞こえなくなっていくと同時にコンソールルームが一気に爆発した。

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