不意打ち
崎守雪菜はユウに連絡を取った後に敵のドローンに見つけられて逃亡をしていた。
道中で通信端末を落としてしまったことが悔やまれる。
上空からも機械の音が絶え間なく響いてくる。
「隔離区は完全に陥落してる! どうやって脱出すれば!」
隔離区の何処にいるのかさえ分からない。
街の細道を絶え間なく駆け巡る。
そうすることで物陰で自らの姿を隠しとおす。
しかし、敵は上空にもいる。
「くっ!」
上空のドローンに居場所が特定される。
追尾ミサイルが連射され、咄嗟に雪菜は飛んだ。
ミサイルは雪菜の後を追いかけてきた。
慌てるように逃げた先に待っていたのは無数のAI搭載型ドローン。
引き返そうとしても無駄だった。
後ろからもおってが迫っている降伏して手を挙げて投降するしかないのか。
それも頭がよぎったが雪菜は手に握る一つの銃を見た。
彼が身の安全を守れと託してくれた一丁の拳銃。
「私はまだ死ねないし捕まるわけにはいかないのよ!」
銃の引き金を引いて目の前のドローンに一発の弾丸を当てた。
ドローンが爆破して一機を撃ち落とす。
しかし、まだ一機だけ。他のドローンが警告音を鳴らしながら近づいてくる。
さらに、何処からか『妖獣』の遠吠えが聞こえてきた。
かなり近い。
焦燥感に顔を引きつらせて何度も銃の引き金を引いた。
ドローンが次々と撃墜されていく。
銃弾の弾数がなくなり銃を捨てる。
「ここまでなの!」
その時、『妖獣』が上空から降り立った。
それはまるで悲しい目をした『妖獣』。
見覚えのある『妖獣』でもあった。数日前に隔離区で襲撃して来たあのアルマジロのような妖獣だ。 『妖獣』はまるで雪菜を守るようにしてドローンをなぎ倒していく。
ドローンからは「オカルトジジュウシステムエラー、エラー、エラララララ――ガ」と音を立て『妖獣』の鉤爪によって踏みにじられて破壊されていく。
雪菜が気付いた時には上空のドローンがもういなかった。
「この『妖獣』私を助けた?」
あり得ないことだった。
『妖獣』はただの化け物で自我をもたず人間を食物としか考えていないはずである。
その『妖獣』に助けられたことが目を疑う。
ある言葉がよぎった。
ユウも『妖獣』に助けられたという言葉。
「どういうことなの?」
「お姉ちゃん……」
「え」
雪菜はその言葉を聞いた瞬間に言葉を失って唖然として出てきた言葉はある今はもう出会えないと思った少女の名前だった。
「皐月?」
*******
ユウはどうにかして全部の銃器の改造を終える。
雪菜の安否は心配だったが結局、今の自分に出来ることはこれしかないという判断だった。
すべての銃器にユウの改造を施した『K』の印を入れた。それは過去に黒木の研究者としての印。
黒木が施した研究の産物にはその文字が数多く記入されていた。
「レナ、俺は今からトラックで目的の場所にコイツを全部届ける」
「ユウ、それなら私のドローンも手伝う」
「いや、トラックに乗っけるだけ手伝ってくれればいい。レナはいつここも『妖獣』に襲われるか分からないから自らのためにドローンを使え。それと、雪菜の捜索だ」
「けど……私は……」
「いいから、頼む」
ユウは玄関先にまで銃器の詰まった段ボール箱を持ち運ぶ。
この富裕区にも先ほどから緊急避難警報が絶えまず鳴り響いている。
中にはその避難指示に従わず自宅に残ってるものもおり、ユウらもその一人だ。
マンションには一体何人が残ってるのかさえ、ユウにはわからないがまず一人は把握している。
「あとで、管理人さんにも避難するように警告しておくか」
その決断を胸に抱く。
どうにかトラックを駐車させた駐車場にまで辿り着き、荷台へ銃器の詰まった箱を乗せようとしたら荷台から何者かが飛びだした。
箱に入った銃器を奪い、銃口を向ける。
「き、貴様だったのか! このワルガキ!」
「か、管理人さん?」
管理人が荷台に息をひそめていた。
管理人は銃口を向けて威嚇をしていた。
「貴様がこの町を破壊してるんだな! そうだろ!」
「な、何かの誤解だ! これは『妖獣』を倒すための――」
足を一発の弾丸が貫通した。
そのまま、足は破裂。
ユウは片足を失った。
脳天にまで突き刺さってくるようなとんでもない激痛にユウは絶叫した。
「あがぁあああああああああああああああああああああ!」
「オホホ! とんでもねぇ! こんなもんを使ってどうする気だ! コイツを警察に突き出せばワシは英雄じゃ!」
痛みが思考を支配し弁論する余力さえユウはない。
どうにかして身体を引きずって彼から逃げようとする。
「逃がすか!」
今度は右腕を撃ち抜かれ、爆散し肉片が飛び散った。
またしてもかなりの激痛が走った。
左足と右腕を失ったユウは虚空に瞳をさまよわせる。
まさか、こんな結末で終わるのかという絶望だった。
左腕に取り付けた端末を見た。
(レナ……)
レナにどうにか助けを呼ぼうとしたが手を止めた。
彼女をこんな危険な場所にはいさせられない。
ユウは助けではなく、別の手段を講じた。
「ん、仲間に連絡しようとしておるのか! させん!」
左腕まで撃ち抜かれ端末ごと左腕は砕かれ、失う。
もはや、ユウは出血多量で意識が立たれ始めていく。
まさか、自分の銃器で一般人に殺されるという結末が待ってるのは想定外だった。
管理人がユウの目の前に立った。見下ろす瞳。
その瞳に垣間見えた電子ラグ。
(っ……操られてる……そういうことか)
敵による攻撃。
これは彼の意志ではなかった。
でも、それだけが何よりの安心だった。
手足の使えぬ体では反撃もできない。
それでも、ユウは最後に彼だけでも救いたいともがき腰からナイフを引き抜いて素早く彼のつま先に刃を打ち立てた。
「あぎゃああああああ!」
運よく銃口は天井へ向いた。
天井が爆散しマンションが大きく揺れ、瓦解し始める。
瓦礫のかけらがユウに振ってくる。
「このガキャァアア!」
管理人は立ちあがって銃口を向けた。
ユウは素早く身を殺して銃弾を避けた。
そのままナイフを投擲して彼の腹部を刺し貫く。
うずくまった彼がわずかに首筋を見せた。
首筋にAIのチップが見える。
腰から最後のナイフを片腕で投擲。
チップをわずかにきり付けた。
「次はころ――」
管理人の意識は立たれその場に倒れて行った。
ユウもほっと息をついて、失われていく意識に身を任せていった。
(あとは雪菜頼んだ)
ユウはそうして眠りについた。
改稿作業終了。
今までの内容も一部変更しています。
タイトルが変わったのもそれが理由です。文字数も増えていますのでご了承ください。




