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情報分析

 任務当日。

 勇は会場に出向くためのスーツを着用する。

 学生服ではなく、久遠時名花のコネでオーダーメイドされた防弾防刃繊維の特殊な執事服。それを着こむと時間を確認する。

 任務までの時間には猶予はあった。

 なぜなら、まだ午前9時。『cybarz社』主催のパーティーは午後9時であり、パーティーへ向かうために星宮の屋敷へ向かうにしても2時間前の到着で良い。それでも8時間と言う時間がある。その時間を使う手段はユウはすでに計画していた。

   学校に関しては休みを取っており、学外活動と言う理由づけでそのあたりはどうにかなった。

 それに、星宮香苗も今日は欠席扱いとなっており補講に関しても満了。

 外出準備を整えたユウは家というよりも部屋の戸締りをしてから部屋を出て廊下を突き進み非常階段を使って上へ向かった。

 ――辿り着いた部屋はユウの部屋の番号305号室より二つ上の階層の505号室。

 部屋の戸をノックするとドタドタと慌ただしい足音を響かせて扉が開いた。

 飛び出てきたのはワンピースにホットパンツ姿であまりにもだらしなく着崩しワンピースの肩ひもがずれてブラが見えてしまってる状態のレナが出迎えた。


「ユウ!」

「その格好でくっつくな!」


 飛びつこうとした彼女の顔を抑えつけて強引に突き放す。

 そのまま、彼女をしのけて無断で部屋へあがりこんだ。

 不法侵入となるけれども、実際ユウは毎度のことのようにレナに無断で侵入されてるのでお互いさまである上にレナは文句を言わない。


「レナ、例のこと調べてくれたか?」

「……ユウ、それ……だけど……」


 ユウはリビングに入る。

 どうにも歯切れの悪いレナに疑問を感じながらリビングに入って硬直した。

 そこにはいるはずのない予想外の来客。


「な、なんで崎守さん、あんたがここにいるんだよ!」

「とんだ、ぶしつけなあいさつね黒木勇」


 優雅に紅茶をすすりながら彼女はレナの部屋のリビングのソファに座っていた。


「レナ! どういうことだ? 何か話したんじゃないだろうな?」

「彼女はわるくないわ。私が強引に聞きださせたんだからね。にしても、ずいぶんと強引な作戦ね。相手と直接真正面から接触するなんて」

「なにか、悪いか?」

「いいえ、ただ昨日の電話の時に話をしてくれなかったことに対して腹を立立てるだけ。 私とあなたは協力関係でしょ? わすれたの?」


 ユウは内心で毒づいた。

 ユウの思惑としては彼女とはあくまで表向きは協力関係にいて捜査官としての力を利用させてもらおうとしていた。

 それでもって、こっちは単独で今後も動いていくことをもくろんでいたのだ。

 さらに言えば、ユウは彼女と言う性格をよみ、協力関係状態にあると思い込んでる彼女ならばいい情報源となってくれるとみた。おかげで昨晩の電話においてこちらがつかめていない情報をあちらは無償で提供している。


「そうだったか?」

「黒木勇、あなたの情報をこちらが握ってることを忘れないでちょうだい。あなたを捜査官として逮捕してもいいのよ。愛瑠レナと一緒にね」

「ちっ……」


 下手な真似ができずユウは黙り込む。


「……一つだけ、忠告をするけどその会場には私たち警察も警備として出向くことになってるのよ。あなた方が犯罪行動を起こせば即捕縛されるわよ」

「おいおい、やさしいな。仲間外れにしたってのにずいぶんと親切に情報をくれるってのか?」

「こっちも情報をもらったからね」

「なに?」

「数日前に言ってた買い取り人集会場の存在よ。居甘んで警察はそれを知らなかった。だから、今警察は富裕区のパトロールを見直してる。不審なことがあったんじゃないかってね。もちろん、私が信頼してる捜査官にだけ知らせた内情よ。あとそれに、レナさんから聞いたわ。隔離区の住人の失踪者の数を調べてほしいって頼んだことや『cybarz社』の警備ドローンが人を拉致したり殺害してること。それに『妖獣』の死体を一部回収してることに加えて『妖獣』の誘導を疑ってる」


 ユウはそれを聞いておおよそ話の流れで彼女がレナから聞きだしたという言葉を思い出してレナをちらっと見てから息を吐いた。

 雪菜はさらに知ってることを訥々としゃべる。


「拉致ってのは私を隔離区に連れて行った時にあの隔離区の洞穴で見た現場のことよね。まぁ、『妖獣』に襲われた経緯しか私は知らないけど、確かのあそこで人の死体を回収してたドローンを見た」

「んで、それを知った崎守さんはどうする? 『cybarz社』にその証拠を突き付けてでもくれるのか?」

「それは無理な話ね。だって、その証拠って言ってもみたってだけで物的証拠はない。さらに言えば買い取り人集会所だって存在自体あるかどうかも怪しいじゃない。物的証拠だってないのに。レナさんが見せた画像だって理由づけでどうだって言いくるめられるわ」

「だろうよ。『cybarz社』は証拠隠滅はお得意なはずさ。あいつらは街の政府にコネがある」


 ユウはレナをちらっと見てここへ来た目的を切り出した。


「レナ、例の情報を調べたんだよな? 情報をくれ」

「ユウ、そのために彼女がいる。彼女は捜査官。だから、隔離区内の死亡者確定書類を持ち出してもらうのをお願いした」

「それは先ほどの説明でおおよそ察してる。気にするな。とにかく、情報だ」


 ユウのニューワーカーに多くの書類データが送られる。

 それにはここ最近の『cybarz社』が提出したドローンの隔離区パトロール報告書によって出された行方不明者リスト。

 ドローンが警備するのは犯罪が行われていないかだが結果としてドローンがそれに加担しているのが実情だ。

 ユウがこの情報を集めさせたのは荷も『cybarz社』を告発するための物的証拠にするためではない。

 告発の証拠など奴らにとってはいくらでももみ消せる。

 ユウが確認したいのは行方不明者リストの中にある名前。


「レナ、気づいたか」

「これ、知り合いの名前がある。しかも、ほとんど」

「そうだ。数馬孤児院の同期全員入ってる」

「え、どういうこと?」


 唯一どういう意図でこの書類を持ち出して来いと言われたのかわかっていない彼女。

 ユウは懇切丁寧に書類の画像を空間に投影しラインマーカーで名前をひく。


「コイツも、コイツも、コイツも全員過去を調べるとわかる『数馬孤児院』の出身者だってな。たぶんだが、これは計画的に行われてきてる。ずっと、前から」

「じゃ、じゃあ私の妹が殺されたのもあらかじめ計画されていたって言うの!」

「おおよそ、そうなんだろう。全員がなにかの目的をもって選ばれたんだ。俺の姉貴も。隔離区の奴らもそうなんだろう」


 信じられないと雪菜は言う。

 ユウだって信じたくない。

 もし、これが計画的な行いだったとするなら奴らはなぜそのようなことを行ってきた。


「待って、私もリストを見て気付いたことがあるわ」

「なんだ?」

「この一部リストにある名前の人たちは軽犯罪で隔離区行きになった人や『cybarz社』と関係をもっていたけど犯罪に手を染めた人ばかり。それに中には最後まで無実を訴え続けた殺人者とかもいる」

「…………なんだか、怪しいな」


 ユウは二日前の偵察機ドローンの記録を見てみた。

 そこには隔離区の例の研究跡地での偵察していないことが書かれている。

 理由は『妖獣』によって襲撃を受けたため警備記録不能。

 そんなことはない。ドローンは無数に存在していたわけでしっかりと、一部は逃げていたのを目撃していた。


「ここに偽造があるな。だけど、コイツも物的証拠がないから偽造だって訴えることもできねぇか」


 さらにはここ数日で隔離区で見たはずの日付も不審な記入だらけ。

 『偵察なし』と記載されていたり。さらに『死亡者リスト』も不審な点は数多くあった。


「これが物的証拠になったらいいんだけどね」

「だな。だが、これだけじゃあ、無謀な証拠だ」

「わかってるわ。私の方でこのリスト者の過去の経歴を調べてみる」

「ああ、頼む」


 捜査官としてのこのあたりは彼女の方が役に立つ。

 レナは数馬孤児院について調べ始めていた。


「レナ?」

「今、数馬孤児院について調べてる。けど、これ時間かかる」

「ああ、大丈夫だ。ゆっくりでいい。それはそうと、崎守さん、今日のパーティーで警察は外部だけの警備につくわけだがなにか反対意見とか出ていないのか?」

「それはないわ。現状、上の命令なら仕方ないでおわり」


 警察も結局『cybarz社』の言いなりになってしまってる。

 これに心底がっかりだが彼女のような存在もいるからまだあきらめるのは早いと確信を持って行動できる。


「うまくタイミングが作れたら俺が内部から入口を作る」

「え」


 ユウはレナと目配せを行う。

 レナから小型の円形上のチップのような物をもらいそれを雪菜へ手渡した。


「実は気付いたことがある。奴らは拉致や殺人を行う際に電波ジャックをしていた。つまりニューワーカーが使用できなくなる。そのためにコイツを渡しておく」

「これは?」

「小型の通信端末。これで、情報を通信し合うんだ」

「なるほど、使わせてもらうわ。じゃあ、私は警察署に戻るわ。気をつけて」

「ああ、そっちもな」


 ユウは雪菜を玄関先まで送り迎えてリビングに戻る。

 そして、自室に行くとクローゼットから一冊の本を取り出した。

 銀燭の戸棚にあった姉の手と入っていた本と同じものだった。

 全部で3冊あるこの研究の書。


「もし、そうだとするならば残りの1冊はどこだ?」


 

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