第8話 夢
本日4話目
「イーナ、良くやったわ」
「ありがとうございます」
奴隷を買うのを認めてもらえた。その功績は案を思いついたイーナにある。
まず、孤児院にいる子供を引き取ると言う案を却下させる。その理由が働かせる為に孤児院の子供を引き取ってはいけない。つまり、働かせることが問題だった。だが、奴隷は働き手が当たり前。
子供を働かせても問題はない。だが、ルードは奴隷制度を嫌っており、奴隷を買うのを良しとしない。そこからは、アドリブだ。
どうして奴隷を買うのを良しとしないのか聞き出す。そして、その理由が分かり次第に論破していく。
ルードは苦しむ奴隷を見たくない。それが1番の理由だった。仲間になる奴隷をそんな扱いにすることはないリリィにしたら、論破するのは容易だった。
不憫な生活をさせない、執事の仕事を与えるが、家族として扱う。まさに奴隷だと思えないような生活だろう。
それなら、リリィが奴隷を買うのを止める理由は無くなるだろう。
「明日、お金を貰ったらすぐ奴隷屋に向かうわよ」
「はい、わかりました。では、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
どんな奴隷を買うか考えてみる。1番大事なのは、強さだ。強くなれる資質を持つ子供を見極める必要がある。子供でも強いのもいいが、いないだろうと諦めて将来性に期待している。
ベッドに入って、意識が無くなるまでそんな事を考えていたのだったーーーー
『ねぇ、ねぇ、初めまして??』
「……だれ……?」
何処からか声が聞こえて、思わず返事を返してしまう。まだ眠気があり、頭の中が靄に覆われているような気分だった。故に、話しかけている存在の姿が全く見えなかった。
『私~? 誰なんだろう??』
「…………」
そんな返しに呆れるリリィだった。言葉からまだ子供なのはわかるが、何故、話しかけているのかだ。
『よくわかんないけど、ふわふわするね~?』
「……貴女が、ここに呼んだわけじゃないの?」
『うんっ、わかんないまま、ここにいたの!』
よくわからなかった。だが、ここは私の夢だと思った。何故なら、今の姿が前の世界で生きていた時の感覚に似ていた。見えないが、今の私は小森杏なのだ。
現実では、あり得ないことが起きているから夢だと判断出来た。
ただ、声の存在が誰なのかわからない。
「貴女はどんな人?」
『ん~? 多分、子供!!』
「いや、話しているだけでも子供なのはわかるけど……」
『なんと!? エスパーなの!?』
「ほらぁ、わかりやすいわね」
なんか、おかしくなって、笑ってしまうのだった。ただ、声の存在が自分が作った想像だとしたら、恥ずかしいなぁと思いつつ、存在の正体が大体はわかってきた。
「……貴女は本物のリリィ、リリアーナ・オリエントだよね?」
『ん~、そうなのかな? わかんない』
わからないのは、死んだから記憶がないか、私が作ったただの想像物だからなのか?
どっちにしろ、本物のリリアーナ・オリエントがいるのだ。
「……私はいつか、貴女の両親を殺すわ。許されなくてもいいし、恨むなら私は逃げないわ。死は受け入られないけど、恨みからは逃げないわ……」
『? 殺すって何?』
「そうよね、5歳の子供に言ってもわからないよね。しかも、両親のことも覚えてないし……」
なんと言えば、伝わるか。どうわかりやすくするか、考えながら口を動かしていく。
「貴女は何者かわからないよね?」
『うん、わからない~。子供なのはわかるけど~』
「そう、自分が子供なのはわかるよね。子供がいるのは、両親がいたのはわかる?」
『うん、私を産んだ人のことだよね?』
「えぇ、私は貴女の両親を殺す予定なの。私が生きる為にね」
『そうなの~?』
「えぇ、私が両親を殺したら、貴女は両親に会えるわ」
『本当に!? ありがとう!!』
「えぇ、でも、お礼は言っては駄目よ。本当は悪い事なの」
『よくわからない……。お姉さんは両親を会わせてくれるんだよね? だったら、私は喜ぶの!! だから、ありがとうなの!!』
「……私は貴女の無知を付け込んで悪いことをしている悪魔みたいな人よ。だから、お礼はいらないわ」
ふふっ、両親を殺したら、娘は会えて喜ぶかもしれないけど、両親は複雑な気分よね。リリィになっている私が殺して、本物のリリィに会えるもの。
まぁ、ここは私の夢で天国はないかもしれないし。どっちにしろ、私は悪に変わりはないのは間違いないわね。
「あら……、周りが薄くなっていく……?」
『お姉さん? 何処かに行くの?』
「あぁ、夢が終わるのね。貴女と少し話せて良かったわ。必ず、両親を貴女の元へ送るわね」
『うん! ずっーと待っているから!!』
変な会話よねぇ。当の娘が両親を殺すことを推奨しているみたいで。
どっちにしろ、殺すのは決定しているし。
周りが薄くなり、夢から覚めていくーーーー
まだ続きます。




