第4話 反逆魔法
本日5話目
パラパラパラパラパラパラパラパラ…………
リリィは反逆の書を手に入れてから、ずっと本を読んでいた。全てがカタカナで読みにくかったが、ようやく最後のページまで進んだ。
「へぇ、面白い本だったわね」
最初は指南書みたいな感じだったが、次に歴史のことが書いてあった。この歴史が本物なのかは、この世界の歴史を知らないリリィに判断は出来ないが、面白い物語だったと思った。
歴史を小説のように読めたのもあり、2日間で読み終わることが出来た。最後のページも読み終わると、本から光の粒子がリリィに移っていくようなことが起こった。その光に触れた瞬間に、これが力の素だと理解出来た。
これで、リリィは反逆魔法を覚えたことになる。そして、禁書は文字が消えて白紙の本になっていた。
「これで、反逆魔法を覚えたことになったかしら? ステータスが確認出来たら良かったけどね……」
「見れますよ?」
「乙女ゲームなのに!?」
「え、乙女ゲーム?」
乙女ゲームみたいな世界なのに、ステータスが見れるというのはおかしくない? と思ったが、魔法があるからステータスがないと、どうやって確認するんだと思えば、納得はできる。
「はぁっ、どうやってステータスを確認するの?」
「えっと、先に『鑑定』というスキルを覚えないと駄目です。でも、簡単に読める本があるので、それを読みましょうね」
「鑑定……、テンプレな……」
この世界も鑑定というスキルがあるようだ。というか、スキルもあるとは知らなかった。
ゲームでは、魔法だけでスキルという概念がなかったからだ。
もしかして、ゲームとは少し違う……?
まだこの世界のことで知らないことが沢山あるから、まずはそれを知るべきかもしれない。
「鑑定の書は後で見せますけど、その前に反逆魔法と言う魔法はどんな魔法でしょうか?」
「うん、禁書と言うぐらいだから、どんだけ危険なんだろうなと思っていたけど、意外にも普通の魔法だね。第1之魔法は『反魔支配』でね……」
「どんな効果ですか?」
「相手が放った魔法、身体から切り離した魔力の攻撃を支配して、相手に返す魔法。ね、普通の魔法みたいでガッカリだよ……」
「ーーーーッ、いやいや!? 普通の魔法じゃないよね!? 相手の魔法が強い程に相手が不利になる魔術師殺しの魔法ではありませんか!!」
そう考えれば、魔術師にとっては天敵な魔法となる。その説明を聞いても、リリィはまだガッカリ感が抜けない。
リリィは破滅から逃れたいので、国を潰せるような強さを持つ魔法が良かった。
「はぁっ、第1之魔法は使えるけど、第2以上はまだ使えないのは何故? イーナはわかる?」
「それは、多分レベルが足りないかと」
「れ、レベル? そんなのもあるの……?」
「はい!」
「…………」
まんまロールプレイングみたいな世界だなと思った。元は乙女ゲームなのに…………
まさか、テンプレの魔物と魔人がいるの?
「ねぇ、もしかして、魔物とかは……」
「いますね。国の外に出れば、わんさかといますよ!」
「そう……」
わかった。この世界は乙女ゲームではないわ! ロールプレイングだ!
ヤケになるリリィだったが、学園のことや攻略対象である王族の名前をイーナに聞いてみたが、『乙女の妾姫』のと同じだった。
つまり、破滅のルートは生きたままである可能性は高い。なら、この世界がロールプレイングみたいになっても、やることは変わらない。
主人公と攻略対象を殺す。ついでに両親もだ。纏めて殺すなら、国ごと潰す覚悟だ。
それも、リリアーナ・オリエントになった私が生きる為にだ。
「そういえば、イーナは何の魔法を使えるの? 学園に通っているぐらいだから、幾つか使えるよね?」
「そうですね、自衛の為に誰でも使えるように教えて貰えます。得意、苦手があるから、殆どは2種類か3種類程度ですね。私の場合は、生活魔法と火魔法と水魔法が使えます。生活魔法は鑑定と同様に、誰でも覚えておくのが多いです。使う魔力が少ないので、平民にも好まれます」
「へぇ、一応覚えておくか。火魔法と水魔法か。反逆魔法みたいに第1之魔法とかあるの?」
「そうですね。魔法は殆どが同じような物です。因みに、私は火魔法は第4まで、水魔法は第5までです。最高は第10までなので、そんなに強いというわけでもないですね。私の場合はね」
「ふむ? 学園の首席とかだったら、第10を使える人はいた?」
「いえ、私の代では第7が最高でした。第10なら王城にいる宮廷魔術師の人とかが使えますね。もし、第10を使えていたら、殆どは宮廷魔術師になっていますね。それ程に大変なんですよー」
「成る程……」
もし、国ごとやるなら王城にいる宮廷魔術師や騎士も相手になるから、それを超える為にはーーーー
もう1つの目標が出来たわね……
もう1つの目標とは、誰にも負けない、破滅しないようにする為には、力がもっと必要になる。
その力を早めに手に入れるには?
それは1つしかない。
「他の禁書を見つけるしかないか……」
そう、他の禁書を見つけることだ。禁書ならカタカナで読めるし、反逆魔法はイーナが言った通りに魔術師殺しとなれる力を備えていた。力は充分あるなら、禁書を見つけて読んだ方が早い。
「イーナ、禁書がある場所に心当たりはあるかしら?」
「禁書ですか……、やっぱり王城に押収された禁書があるかと思います。おそらく、厳重に仕舞われているので、それを読みに行くのは不可能です」
「そこ以外で」
「え~、そこ以外ですか……なら、他の国から来た商人が知らずに禁書を持っているとかあり得そうですね。本屋にひっそりと埋もれているとか」
「本屋か……、この国にあるか?」
「あるには、ありますけど……、お嬢様はまだ5歳で両親と一緒ではないと外に出れないかもしれません」
「イーナと一緒じゃ、駄目なの?」
「う~ん、それが良くても、御主人様の護衛を付けられてしまいますよ。後から報告されたら、面倒ではありませんか?」
「確かに……。イーナが探すのは無理? 古代語だっけ、それで書かれた本を適当に買ってくるとか」
「私が読めない本を適当に買うなら出来るけど、それが禁書である確証がないよねぇ」
「そうだよね……」
他に方法はないか、考えてみるが思いつかなかった。今は鑑定や生活魔法の書を読んで、禁書のことは後に考えることにするのだった…………
今日はここまでです。
また明日に載せますー。