第14話 属性魔法
本日2話目
ネムリとの約束通りに、お茶会の翌日に属性魔法の書を持って使者が現れた。
「はい、これがネムリ様からのプレゼントです。確認をお願い致します」
成る程な。抱っこだけで安いなと思っていたが、ネムリにしたら適正値段だったわけね。
「はい、ありがとうございますと伝えて頂けると嬉しいです」
「…………え? あ、はい」
何故か、使者が奇妙な物を見るような眼だった。予想していたのと違っていたようだ。
使者が帰った後に、黙っていたウルガが話し掛けてきた。
「あの馬鹿女、嘘は言ってないが……まさか、大陸共通語ではない属性魔法の書を渡すとは思ってなかったな」
そう、プレゼントされた物は大陸共通語ではない言語で書かれている属性魔法の書であった。これは古代語でカタカナだったから、リリィにしたら問題はない。
おそらく、使者は思っていたのと違う! と言われると思っていただろう。だから、お礼の伝言を頼まれたことに驚いたのだろう。
「大陸共通語ではない言語で書かれている属性魔法の書は幾らぐらいになるの?」
「確か……、金貨20枚ぐらいだったと思います」
「それでも高いね。一つぐらいなら父親に頼めば買えるかもしれないけど……いえ、私が読めるのを知らないから難しいわね」
「今回ので我慢してくれ。強化魔法と1種類といえ、属性魔法の書があるんだし」
「あ、強化魔法の方は読み終わったわよ」
「早えよ!?」
とっくに読み終わっているとは思わなかったようで、いいツッコミを貰えた。
「んー、これから読むから3時間後に外へ出るよ」
「外へ? 何処かに行くのか?」
「え、まさかーー」
イーナは信じられないと言うような驚きだった。ウルガはまだわからないようだ。
「ーーーーだから、3時間で読み終わらせるから、試しに使う為に外へ出るのよ」
「…………頭が痛くなる」
「幾らでも早過ぎますよ……」
普通なら、大陸共通語で書かれた属性魔法の書でも読み終わるまで3日ぐらいは掛かる。なのに、リリィは3時間で読み終わらせると言っているのだ。しかも、古代語の本をだ。2人はどうすれば、3時間で読み終われるか想像出来なかった。
これぐらいなら、小説を一気読みするのと変わんないと思うけど……?
リリィは小森杏だった頃に、沢山の本を読んだ経験があり、今に活かされていた。
「……わかった。もうお嬢ちゃんのことで驚くの止める。お嬢ちゃんは化け物だと納得すれば、気が楽だ」
「失礼な」
「えぇ、前からわかっていた筈なのに。お嬢様は普通ではないと……」
「まぁ、普通じゃないのは認めるけど……」
「では、3時間後でしたね」
「それまでは稽古で時間を潰しているわ」
リリィはすぐ自分の部屋に向かい、貰った属性魔法の書を見てみる。
「これは雷属性の本、『雷神の怒り』か。これは速さがトップクラスの魔法、私の欠点を補うことが出来るかも……?」
今まで手に入れた魔法の組み合わせを考えると、雷属性はリリィの欠点を補えるかもしれない。その為に、早く取得して、レベルを上げなければならない。
「さぁ、読むか!」
キッチリと3時間で本を読み終わった。ステータスを確認して、ちゃんと雷魔法が追加されているとわかり次第に、玄関へ向かう。
「本気で3時間で読み終わったのだな……」
「馬車の準備はしております。あと、御主人様にも外に出ると伝えて置きました」
「よし、外に行こう」
馬車はダスティス王国を出る門まで向かっている。リリィが言った外とは、その門を超えた先だ。門を超えれば、魔物がいる。
そこで、今まで手に入れた力を試すのだ。
「馬車は門の内側で待たせます。高い塀があるの見えますね? その塀がダスティス王国を囲み、魔物から守っています。だが、門を超えると自分を守る物は仲間と自分自身の力だけになります。覚悟はいいですか?」
「問題はないわ。殺される前に殺す。5歳の時から覚悟を決めているわ」
破滅される前に、破滅させてやる。それと変わらない。リリィは既に覚悟を決めていたから、魔物が現れたとしてもーーーー
「まず、雷魔法からだ。『雷弾』!」
門の外に出ると、すぐ狼の魔物に出会った。先手必勝というように、イーナとウルガが動く前に魔法を放っていた。
「ギィッ!?」
「一発では死なないのね。もう一発よ『雷弾』!」
一発目は身体を痙攣させていたが、まだ息が残っていたので容赦無く二発目を放って倒していた。
「雷魔法は結構スピードがあるね。ただ、他の魔法と比べて威力はどれだけ違うのか見たいわね。次はイーナの火魔法をーーーー何を固まっているの?」
「あ、いえ。あっさりと魔物を殺したなぁと思いまして。初めてですよね?」
「ん? そうだけど?」
「やっぱり、壊れているか。再認識出来たからいいか」
「もしかして、ウルガなら魔法を発動する前に動けていた?」
「アレぐらいなら、まだ展開時間が長いからその前に斬れた。ルードだったら、瞬きしている間に細切れに出来るだろうな」
「どんだけ、化け物よ。私の父親は」
属性魔法の中で最速である雷魔法より早く動けて、一瞬で細切れに出来ると。明らかに人間をやめているんだろと思わずにいられないリリィであった。
「あれ、展開時間が遅いの?」
「わざわざ手を伸ばさなくても、魔法は発動しますので」
「あー、動きにロスがあったのね」
「いや、それでも展開するのに1秒は掛かっている。高位宮廷魔術師なら、これぐらいの魔法は0.1秒で発動しているぞ」
「初めて魔法を使った人に無茶な事を言わないでよ。って、出来たらまた化け物と言うんでしょう?」
「ん? 既に化け物じゃないか?」
「さいですか……」
もう自分は化け物らしい。でも、自分より周りの人の方が余程化け物である。自分の両親に、ウルガも2つの上であれだけ動けているし。
また狼の魔物が現れたので、次はイーナがやる。
「ねぇ、第1之魔法を使ってみて~。どれだけ違うか」
「わかりました。『火弾』!」
「キャン!?」
火属性は雷属性程のスピードがないけど、威力は属性魔法の中で最高である。
イーナは避けられないように、数歩で狼の魔物へ近付き、0.5秒で火弾を展開して、頭を吹き飛ばしていた。
「うわっ、一撃ね。やっぱり、属性によって威力が違うのね」
「それから、魔力をどれだけ込めたかで威力が変わります」
「えっと、溜めて放つってこと?」
「そうだな。溜めると展開時間が長くなってしまうが、その分だけ威力が上がるぞ。ただ、自分の残っている魔力に気を付けろ。0まで使い切ったら、一日中気絶するからな」
「それは魔法を使う前に教えてもらいたかったのだけど……?」
「どうせ、魔力は沢山あるやろ?」
「魔力は多いとは言えないけど、ある程度は……」
「なら、大丈夫」
なんか、自分のことを化け物扱いしているような……? まさか、魔力も沢山あると勘違いされていない?
化け物っぷりなことを見せ過ぎたせいか、ウルガは人間ではなく化け物に対するような対応になっていた。
あとで2人で話し合わなければならないなと思いつつ、次々と現れる狼の魔物を倒していく。
まだ続きます。




