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第13話 お茶会

本日1話目

 


 結果は、オッケーを貰えた。1週間後なら、遊びに来ても大丈夫と。

 後は、遊びに行った先に属性魔法の書を見せて貰えるかだ。どうすれば、見せてくれるか3人で作戦を考えていた所に、イーナと別のメイドがノックして部屋に入ってきた。


「お嬢様、手紙が来ておりました」

「手紙? 誰から?」

「使者からはミスアート家とおっしゃっておりました」

「あ、あの男爵の」


 誕生会の時に出会った女性のことだ。ウザい公爵の男から助けて貰ったことがあり、色々話をしたりした。そのレイラ・ミスアートからお茶会の誘いが来たのだ。


「お茶会? あのレイラがねぇ、珍しいわね」


 リリィから見たレイラのイメージは、お茶会でうふふっと話すより剣を振っていそうな人物だった。

 そのレイラがお茶会の誘いを。


「もしかしたら、他の貴族も呼んでいるかもしれません」

「ふむ……、3日後ね。1週間後のと重ならないから、受けようかしら」

「まぁ、やる事はないし。いいんじゃねぇの?」

「本当は私も父親から稽古を受けてみたかったけど、まだ早いと教えてくれないもの」

「あー、お嬢ちゃんは細いしな。まだ身体が出来ていないから、走って体力を作るのが先だな」

「レイラは7歳からと聞いているのだけど?」


 7歳になってから、リリィは家の周りをイーナやウルガと一緒に走るようになった。だが、まだ身体は出来ていないから、武器を持たせてくれない。

 普通は、9、10歳ぐらいから教えて貰えるが、レイラの場合は7歳から教えて貰っていたようだ。リリィよりも成長が早く、身体が出来ていたからだ。


「仕方がねぇよ。お嬢ちゃんは完璧に魔術師タイプなんだから、無理して武器を持たなくていいんだよ。接近戦は俺に任せてくれればいいんだよ」

「もし、接近されたらどうするのよ」


 接近されたら、武器がないのは不安なのだ。魔術師が接近されたら、どうすればいいのかと聞いてみたらーー


「だったら、接近用の魔法を使えばいいんじゃないか」

「そんなのあるの?」

「はい。ありますよ。私が使える火剣や水剣も接近用の魔法ですよ。それだけではなく、他にもありますからそれを覚えていれば大丈夫かと」

「それでも、心配なら魔召魔法で前衛を増やせばいいだろ」


 魔召魔法に似た召喚魔法と言う魔法があり、召喚した魔物を前衛に置くことは良くあると言う。


「そうね、今は使える魔法を増やすことに集中すればいいね。あ、走って体力を付けるのも忘れないようにしないと」

「そうだな。魔術師でも走ることもあるから、体力作りだけは欠かすんじゃないぞ」

「わかったわよ」


 これからのことを相談して、見落としはないか確認もする。確実に小さな集団は強くなっていた。




 そして、3日経ち……リリィ達はミスアート家の前に立っていた。


「裏には訓練場みたいなのが見えるわね」

「ミスアート男爵は毎世代に騎士へなる人がいて、様々な活躍を残しています」

「成る程。脳筋な貴族だと思っていればいいか」

「本人にはそう言わないでね?」

「わかってるよー」


 門の前で待っていたら、迎えが来た。警備員か使用人が来ると思っていたがーーーー


「遅れてすいませんでした。私はケイグ・ミスアートと申します。娘のお茶会に参加して頂きありがとうございます」

「私はケイグの妻、ミズク・ミスアートと申しますわ。娘と仲良くしてくれると嬉しいわ」


 呆気に取られた。まさか、当主直々に迎えへ来てくれるとは思ってなかったからだ。


「あ、私はリリアーナ・オリエントと申します。お茶会への招待をさせて頂き嬉しく思いますわ。今後とも、よろしくお願いします。後ろにいるメイドと執事はイーナとウルガです」


 2人のことはリリィが紹介し、2人はペコッと礼をするだけで挨拶を終わらせる。


「いえ、お硬くしなくてもいいですよ。ただ娘と仲良くしてくれれば嬉しいです」

「あの子は剣ばかりで、たまにはお茶会でもして、落ち着いてくれれば良いのですがねぇ……」


 成る程、母親からお茶会をしなさいと言われたんだな。レイラらしくないなと思ったが、裏では母親の働きがあったんだな。


「では、娘がいる部屋へ案内しよう。レイラの友達も来ていますので、そちらとも仲良く楽しんで下さいね」


 そう言い、リリィ達は裏庭へ案内された。そこには、2人の女性が椅子に座って、テーブルの上にあるお菓子を食べながら雑談をしていた。

 更に接近すると、レイラがこっちに気付いた。


「あら、来ましたわ」

「本当だわ。人形のようで可愛い!!」


 もう一人は、垂れた目に優しそうなお姉さん系のお嬢様だった。


「に、人形ですか?」

「さっき、貴女のことをレイラちゃんと話をしておりましたの。人形みたいに可愛らしい存在だと聞いていたので、会えるのを楽しみにしておりましたの」

「そ、そうなんですか。私はリリアーナ・オリエントと申します。よろしくお願いしますわ」

「あ、自己紹介がまだでしたわね。私はネムリ・ルージェンデと申しますわ。レイラちゃんと同じ歳なの。可愛いリリアーナちゃんと仲良くしたいわ」


 自己紹介が終わり、ネムリはリリィをぬいぐるみのように抱き着くが、リリィはそれどころじゃなかった。


 ルージェンデ……。こいつはあの妹ってわけか。


 ルージェンデと言う姓は聞いたことがあった。攻略対象の1人の姓なのだから。ルージェンデ家は宰相の職務を請け負う貴族で、その長男が攻略対象である。

 妹がいるのは知っていたが、ゲームでは名前だけで姿は出て来なかったことは覚えている。


「こらこら、リリアーナが動けないでしょう。座ってお茶会を始めましょう」

「むー、もう少し……」


 レイラが注意しても、まだ抱き着くのを止めない。ネムリの胸は9歳にしては、大きい方だ。だから……


「むぎゅぅ、い、息が……」

「リリィ!? さっさと離れやがれよ!」

「キャッ!?」


 ウルガが無理矢理に離してくれたので、助かった。ネムリは無理矢理に離されたため、ぷくーと頬を膨らませていた。


「私のお人形ちゃんを返してよー」

「馬鹿か。俺はリリィの護衛だ。危険な状況にしたお前を近付かせるかよ」


 ウルガとネムリから火花を散らしているように見えたが、それを中断させたのはレイラだった。


「今のはネムリが悪い」

「なんでよー」

「抱き着くのはいいが、息の確保ぐらいは気を付けなさい。わかりましたか?」

「むぅー」

「それに……説教するつもりはないが……、貴方は護衛だけど、執事だよね? 口の悪さを直した方が良いと思うよ?」

「リリィを危険にさせなかったら、口調に気を付けていたさ。令嬢であっても、リリィに傷を付けるなら、容赦はするつもりはないさ」


 ウルガの眼を見て、本気だと読み取れた。


「……はぁっ、とんでもない番犬ねぇ。ネムリはワザとじゃなかったから、勘弁してあげて?」

「わかっているさ。だから、離すだけで済ませたんだからな」


 もし、故意だったら殴っていたかもしれない。それぐらいに本気だと感じ取っていた。レイラはどういえばいいかわからなかったので、もうこの件は流すことにした。


「はいはい、今度こそお茶会を始めましょう。いいね?」

「は~い」

「いいわ。2人共、後ろで控えてくれる? あ、椅子に座る?」

「いや、立ったままでいい」

「私はお茶を淹れるのを手伝いに行ってきます」


 ようやく、お茶会が始まる。と言っても、リリィはお茶会は初めてである。


「お茶会は初めてなんだけど、何かやっているのでしょうか?」

「あら、初めてなの?」

「そんな特別なことはないよ~。ただ雑談してお菓子を食べるぐらいだしね」


 前の世界で考えれば、カフェで駄弁っているようなものか。なら、普通に話せばいいか。でも、この面子で話が合うのか?


「ねーねー、新しい人形を買ったの。可愛らしいプラチナの髪で綺麗なのよー」

「人形か、買わないわね。それよりも様々な武器を揃えたいと思っているしね」

「私なら本かしら。出来れば、スキルの書か属性魔法の書が欲しいわね」




「「「…………」」」




 全く話が合ってなかった。趣味が全く違うから仕方がないと思うが。


「そういえば、属性魔法の書が欲しいと言っていたけど、学園で読むことになるから、別に買わなくてもいいのでは?」


 空気を読んだレイラがリリィの話に合わせてきた。


「そうそう~、属性魔法の書は普通に買えないしね。裏ルートでなら買えるかもしれないけど、高いしね」

「早めに色々なスキルや魔法を使えるようにしたいからね。でも、属性魔法はやっぱり学園に入ってから読むしかありませんね」

「うーん、属性魔法じゃないけど、強化魔法の書ならあるから貸してあげようか?」

「強化魔法?」

「ええ、身体強化、武器強化などの効果が使えるようになりますわ。大陸共通語ではないので、読むのに時間がかかるかもしれませんが。タイトルだけは聞いていましたので、強化魔法を覚えられるのを知りました。私も読んでみようと思いましたが、内容を解読しながら読むのは無理だったので諦めました」

「へぇー、大陸共通語ではない本なんだ。私も見てみたいかも」

「そうね、取ってきますので待って下さいね」


 レイラはすぐ自分の部屋に向かったので、ウルガも含めて3人だけになった。


「ねぇ、どうしてスキルや魔法を沢山覚えたいの?」

「ん~、強くなりたいからかな。自分が弱いのは嫌だから」

「ふ~ん、私にはよくわからない気持ちだね。そうね、属性魔法が欲しいならあげようか??」


 いきなりのことに眼を丸くするが、何とか口を動かしていく。


「…………属性魔法一つだけでも金貨100枚以上は掛かると聞いたけど……」

「家に一つだけあるんだよねぇ。でも、ウチは魔術師になろうとしている人が全くいないから、埃を被っている状態なんだよねぇ。もちろん、タダじゃないよぉ?」

「やっぱりか。聞くだけ聞いてみるが…………何が欲しい?」

「難しいことじゃないよ。ただ、今から30分間抱き着かせて?」


 そう言って、眼をキラキラと両手を伸ばしていた。リリィはそれだけであっさりと属性魔法の書が手に入ると脱力してしまう。


「本当にそれだけでいいの……?」

「うん!!」

「まぁ、いいけど……」


 了承するリリィだったが、ウルガが止める。


「お待ち下さい! さっきのことをお忘れですか!? 胸に窒息されそうだったのではないですか!!」

「それもそうか、背中からでもいい?」

「うん! 体温を感じられるなら、どっちでもいいよッ!!」

「と言うわけでいいよね?」

「……まぁ、危険がないなら」


 こっちの条件もあっさりと受理されたので、ウルガはもう言うことがなかった。

 ネムリに背中を向けて、膝へ座った。


「あー、ふわふわだぁ。いい~」

「ちゃんと本を貰えるよね? 嘘だったら絶交するからね?」

「うん、ちゃんと明日に使者へ頼んで持って行って貰うから~」

「なら、いいけど……」


 このまま、暫くするとレイラが一冊の本を持って来た。


「お待たせーーーーあれ、仲良くなったね?」

「仲良しだよ~」

「いいけど……、それよりも、その本が?」

「うん、これね」


 リリィは本を受け取ると、タイトルはアルファベットで『強化の極意』と書かれていたのがわかった。


「読めない~」

「そうなんだよ、私も頑張って解読しながら読もうとしたけど、分厚いからね……」

「ふむふむ、これを借りておくね。いつまでに返した方がいい?」

「次のお茶会でいいかな? 多分、来月に誘うかもしれない」

「わかりましたわ。それまでに借りておきますね」


 読めることを言わない。どうして読めるのかと聞かれても答えられないし、答えるつもりはなかった。後ろに立っていたウルガはリリィが読める言語だったと理解したが、何も言わずに黙っているのだった。

 その後もお茶会を続け、1時間ぐらいで解散した。


 リリィにとっては、今回のお茶会は有用な時間だと思った。そのお陰で、2つの力を得られるのだからーーーー






まだ続きます。

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