第11話 誕生会
本日7話目
リリィは7歳になった。
今日は誕生会でパーティが開かれていた。様々な貴族がお祝いに来てくれた。
挨拶しに来てくれているが、数が多過ぎてウザいとしか思えなかった。
そして、なんと! この誕生会で攻略対象の1人が来ていたのだ。自分と同じ歳で、学園だったら、同級生になる相手である。
「初めまして、忙しい兄の代わりに参加させて頂きました。私は第二王子のアルディン・リクドリアと申します。お誕生日、おめでとうございます」
「あ、はい。アルディン様、わざわざ来て頂いてありがとうございます。私はリリアーナ・オリエントと申しますわ。親しい者からはリリィと呼ばれています」
「私もリリィと呼んでも構いませんか? 私はアルと呼ばれています」
「構いませんよ。私もアル様と呼んでも?」
「ええ、これからもよろしくお願いしますね」
爽やかな挨拶をする2人だったが、リリィの内心は違っていた。
アイツが、私を破滅へ誘う敵の1人ね。ふふっ、いつか殺してあげるわ!!
リリィはさっき会ったばかりの王子をどうやって消すかばから考えていた。普通の7歳が考えることではないが、何よりも自分の命が大切であるリリィには関係はなかった。
「では、私は他の貴族へ挨拶に回りますので、また」
「はい、いつでもお待ちしておりますわ」
社交辞令の言葉を言い、去ったのを確認してから小さく息を吐いた。
「お嬢様、ジュースはどうですか?」
「ありがとう。貰うわね」
「いえ」
ジュースを渡したのは、9歳になったウルガだった。首に奴隷の首輪があるから、周りは話し掛けることがないが、銀色の髪に狼のような鋭い吊り目でイケメンだと判断されるウルガに眼を奪われるお嬢様もチラホラと出ていた。
「ふふっ、さっき話していた人。わかるわね?」
「あぁ。名前は知っている。ある対象の1人だな」
2人しか聞こえない会話をして、確認し合う。ウルガの口調は、外と身内で使い分けている。身内だけだったら、お嬢ちゃんのままである。
「お嬢様はあんなのも敵に回そうとするなんて、壊れているな」
「うふふふっ、いいでしょ。やらないと私は終わりなんだから」
「ふぅっ、わかっている。俺はお嬢様の言う通りにするさ」
「さて、長く話しすぎたわ。行きなさい」
まだ挨拶してない貴族もいる。いつまでも話していたら、なかなか話しかけられないだろうと思い、ウルガを遠ざけた。
その考えは正しかったようで、次々と貴族が挨拶してきた。挨拶は順調だったがーーーー途中で変なのに話しかけられた。金髪をキッチリと仕上げて、変な服を着た公爵家で、2つ上の歳上の男性である。
「ふっ、奴隷を執事にしているとは、情けないね。公爵としての誇りはないのかね?」
「……」
うわぁ、面倒そうな奴が来たなぁと相手を見るが、相手は気付かないまま、話を続ける。
「公爵としての誇りだけではない。貴族としての誇りを捨て去ったのでは、恥ずかしいとは思いませんか? やれやれ、同じ公爵家として、注意してあげるよ。ありがたいと思いなさい」
「……ぅざ」
こういう相手は疲れる。こんなのと同じ公爵家とか、おかしくないか? と思う。
どうやって躱すか考えていたらーーーー
「ねぇ、貴方? 主役に説教とか、貴方こそが常識がないのかしら?」
「なんだと?」
「考えてみなさいよ。誕生会で皆の前で自分が説教をされていることを。しかも、自分より2つも下の女性に」
2人の間に入ってきたのは、リリィも知らない女性だった。公爵に意見を言えるぐらいだから、同じ公爵か王族だと思うが……
「ミスアート男爵? 男爵ごときが私に意見するとは、貴方こそが常識がないと思わないかね?」
「あら? 人間として、どうなのかしら? 2つも下の女性を恥をかかせるのが人間として正しいわけ?」
まさか、男爵が公爵相手に自分を庇うとは思わなかった。
「私は公爵家として、正そうとしているだけだ。それを男爵ごときが邪魔をしないで頂きたい」
「公爵家、公爵家と貴方はそんなに偉いの? 公爵家として地位を上げたのは、貴方の親であって、貴方ではないのは理解してないの?」
「なっ!?」
「貴方も私も子供で、まだ政治に関わってもないのよ? それなのに、親が作り上げた公爵の地位を使って、2つも下の女性に説教とか、恥ずかしいわね」
「貴様!」
口で反論出来なくなったのか、いきなり公爵家の男性が殴りかかっていた。男爵の女性はそれを予測していたのか、腕を取って極めていた。
「うがっ!?」
「今はパーティをしているのよ? なのに、女性に殴りかかるなんて、ゲスな男ね」
「う、くっ、離せ!!」
女性は甚振る趣味はないので、すぐ離してやった。男性はこの場の空気に居られなく、女性を睨んで去っていった。
「大丈夫かしら?」
「ありがとうございます。お強いのですね」
「父親が騎士でね、剣と格闘を教えて貰っていますわ」
「そうなんですか。あ、自己紹介がまだでしたね。私はリリアーナ・オリエントと申しますわ」
「私はレイラ・ミスアートですわ」
「もし、さっきの男性が公爵家の権力を使ってきたら、いつでも言って下さい。私のせいでこんなことになってしまったので」
「うーん、親が出張ってきたら、お願いしていいかしら? さっきの本人が来たなら、自分でなんとか出来ますので」
「ふふっ、わかりました」
レイラと友達になったリリィ。レイラがこの場を離れていくのを見届けていると、ウルガが話しかけてきた。
「引き込むの?」
「多分、無理でしょうね。アレは正義側だもの」
「そうか、あとーーーーーーか?」
「そうね、邪魔されると面倒だからお願いするわ」
「わかった」
ウルガが放った言葉はリリィだけにしか聞こえていない。リリィはウルガの言葉に了承した。どんな話だったのかは、2人にしかわからないことである。
そして、少しの邪魔があったが、誕生会は無事に終わった。
翌日、公爵家の一子がベッドで血塗れになって死んでいたと騒ぎがあったようだが、犯人はまだ捕まってない。注意を呼び掛ける声があったが、リリィは笑みを浮かべるだけで死んだ男のことはすぐ忘れた。
まだ続きます。




