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第10話 ウルガ

本日6話目

 


 俺はお嬢ちゃんの奴隷で、執事になったウルガだ。

 1週間だけだが、一緒に暮らしてわかったことがある。


 お嬢ちゃんは狂っている。いや、壊れているという表現が正しいかもしれない。


 俺は執事として買われた。…………表ではそうなっている。本来の用途は違っていた。当のお嬢ちゃんから言われたことだが……




「貴方は私の父親を殺せるだけの力を付けて貰うわ」




 その時は、は? と思ったね。父親を使った比喩な意味かと思ったが、違った。

 マジでこのお嬢ちゃんは自分の父親を殺そうとしているのだ。もしかして、父親から嫌な思いをさせられたから、殺したい程に恨みを持っていると考えた。それなら、理由としては納得出来る。やっていいかは別に。


 だが、違った。


「あぁ、父親だけじゃなくて、母親も殺す予定だから」


 そこで、理解した。お嬢ちゃんは恨みや妬みがあるから殺すのではない。自分が生きていくのに、邪魔だと判断したから殺すのだ。

 どうして、5歳の子供が両親を邪魔だと判断したのかわからなかった。だから、まず観察することにした。


 両親はどんな人なのか。俺が自己紹介した時、両親はニコニコと自分を歓迎するような態度だった。

 自分の娘への態度も注意深く観察したが……、その関係性は良好に見えた。しばらく観察したが、その評価は変わることはなかった。


 何故、自分の両親なのに殺すのか?


 わからなかったので、直接聞いたことがあった。


「あの両親が生きていたら、将来に私は破滅してしまうわ。だから、消すの」


 破滅? 将来? 何故、そんなことがわかるのかと聞いてみたが、答えてくれなかった。

 いつも一緒にいるメイドにも聞いたが、そこは同じように聞かされていなかった。

 メイドに両親を殺すことに賛成するのかと聞いてみた。そしたらーー


「別に?」


 どうでもいいと言う表情で答えていたことに驚いた。御主人様と言うぐらいだから、絆はあると思っていたが…………


「あぁ、お金を貰えるから御主人様ね。御主人様が死んだら、お嬢様が御主人様になるだけだから、問題はないよね。前より高くして貰えるようにお願いをしないと駄目ね!」


 あぁ、わかった。御主人様との繋がりはお金だけということに。でも、それだけじゃないらしい。お嬢ちゃんから何か楽しいことを提供してくれると、楽しみにしていることも言っていた。

 それが何なのかはまだ聞いてないが、それは良い事ではないだけはわかる。

 何せ、両親を殺そうとしているのだから。


「ねー、ウルガ~。父親に稽古を受けて貰っているわよね? どうだった?」

「あぁ、強い。今はまだ遊ばれている状態だ」

「いいの~。いつか、父親より強くなってくれればいいから~」

「あぁ……」


 いつ、父親を殺せるだけの力を持ってくれるか楽しみにしていた。それが少しだけ怖かった。

 だが、期待されているのは嬉しくないわけでもない。


「前に言ったけど、両親とあまり仲良くならないでね。情が移ると面倒だからね?」

「あぁ、わかっている」


 両親と仲良くしては駄目。それはわかる。殺す相手に情が移れば、こっちが隙を見せる事になって、反対に殺されてしまう。

 自分も死ぬのは嫌だ。だから、お嬢ちゃんの言う通りにしている。会話も余りしないように気を付けている。


 それは置いといて、お嬢ちゃんで驚いたことがもう一つあった。

 禁書を読み、伝説級の魔法を手に入れていたことだ。まさか、たった5歳の子供が禁書を解読して、読み切るとは思えなかった。


「解読? してないよ、知っていたんだから」


 何故、古代語を知っているのか意味がわからなかった。そこも詳しく教えてくれなかった。

 相変わらず、秘密が多いお嬢ちゃんだと思った。時が来れば、教えてくれると言ったが、本当かね。

 あ、禁書を集めるとも言っていたな。俺は正気か? と聞いたが、笑顔で本気だよと言い切りやがった。

 本気で禁書を読んで反則的な力を得るつもりだ。

 そんなに強くなって、どうしたいんだと聞いたら、破滅から逃れるために。と答えた。

 どうやら、お嬢ちゃんは破滅と言うものを恐れているようだ。


 破滅が何なのかは、俺にはわからない。…………だが、放っておけないと思った。

 俺より2つも下のお嬢ちゃん。

 俺を暗い場所から引き上げて、執事の仕事をさせられている。裏では父親を殺せるように鍛えさせられているが、充実はしていた。

 前は命令通りに機械的に無感情で人を殺す訓練だけをさせられていた。

 今は同じく殺すために鍛えさせられているが、それだけではなく執事としての仕事もあり、自由な時間も与えられている。

 奴隷の待遇じゃねぇだろ! と何回も思ったことか。


 お嬢ちゃんは壊れている。静かにイカれている。両親を殺す予定を建てているクソ野郎だが、自覚しているだけに無感情であるメイドよりはマシだと思う。

 お嬢ちゃんは悪そのものだ。だが、放っておけない。暗い闇から引き上げてくれた恩もある。

 苦しいと思う時があったら、一緒に分かち合いたいと思う。


 お嬢ちゃんが国を敵に回すなら、俺も回そう。世界を壊したいと思ったなら、手伝おう。

 その考えはおかしいと思われようが、自分で決めたことは曲げない。




 それだけが、俺の取り柄なのだからーーーー








まだ続きます。

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