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二人はいつの間にか眠ってしまっていた。
先に目が覚めたのは一真だった。そこへ一真の母がやってきて一真を連れて行ってしまった。
多音の目が覚めたのは、一真が連れて行かれてから2時間後だった。今日は月曜日だからもう学校へ行く時間だけど一真がいないことに気がついた多音は一真を探した。相田家の全部屋を見終わっても一真は、どこにもいなかった。
多音は息を切らしながら学校へ行く支度をして家を飛び出して行った。
「一真、今の見た。笑っちゃうはね、あなたを探さないで学校へ行ってしまったわ。」
一真は、母が外からの声が聞こえない部屋に閉じこめていた。窓はついているが一真には見えない高さの位置に取り付けられていて母しか多音が出て行ったことを知らない。
「母さん、多音はそんなことしないよ。多音はきっと僕のことを探していてくれたと思うよ。だって、多音は…」
「あなたは、黙っていなさい。思うってそれはあなたの推測でしかない。あなたは、私とだけいればいいの。」
多音のことを悪く言った母に一真は否定した。しかし途中で母に止められ、逆に怒鳴られた。母は、無能な多音をかばっている一真が嫌で嫌で仕方がなかった。それが、母の一真に対する気持ちが束縛心になっていった。
今回は、一真と母が中心でしたが次回は多音を中心に書いていきたいと思っています。