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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
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94.暗底

探索開始!

日が変わり、レオたちは早速探索に出掛けていた。

皆それぞれ変わった様子はない。変化した所をあげるとするならばエリカの装備がインチョンチアになっているところだろう。

そんなレオたちはある場所を目指し暗い坂道をクレイを先頭にし全員がランタンを片手に歩いていく。


「そろそろでしょうか?」

「たぶんな」


クレイの問いにレオが適当に返す。

だが本当はここにいる全員が「目的地」が近いことを理解できていたのだ。

何故ならばもうすぐ坂道が終わり平坦な道に出るからだ。


「それにしてもどうしてあの場所何ですか?」


レイがレオに問いかけ、それに同調するようにエリカは何度か頷いている。。

今向かっている目的地はレオがまずはここ、と勝手に決めた場所なのだ。

まぁ勝手には決めたが他に案もなかったため最終的には満場一致で決まっていたりする。


「ちょっと気になってな」

「例の音の件ですね?」

「そそ」

「「音?」」


話を理解できているのは男性陣だけで女性陣にはチンプンカンプンである。


「主がトロッコに乗っているときに奇妙な音を聞いたそうで・・・」

「ゴォだか、ガァだがいう変な音だったんだが・・・

どっかで聞いたことある気がするんだよなぁ~」


レオ一人が首を捻る。


「そんな音、聞こえませんでしたよね?」

「私も聞いてませんね。

レオ様だけが聞こえたとなると・・・」

「幻聴、ですかね?」

「いえ、レオ様は身体能力だけならキューレとタメを張れますから・・・」

「いつ聞いてもレオさんは規格外ですね・・・」


レオに対して失礼極まりない女性陣の発言にレオ本人もさすがに黙っておけないようで―――


「人を化け物みたいに言うじゃない」


怒りこそしないが言葉の中にそこまでにしとけよ?という脅迫じみた感情が見え隠れしていた。

そんなレオの方へレイが立ち止まり向き直す。


「そうですね。レオ様は化け物ではないです。

・・・子供ですよね!」


初めは悔い改めるような後悔を滲ませる声を発するレイであったが、最後ら謝るどころかサラッと煽るように言葉を締める。


「お、お二人とも?」


エリカが恐る恐る声をかけるがゴゴゴッとでも表現するべき無言のにらみ合いが発生していた。

エリカが軽く唾を飲み、クレイは止めるべきかどうか迷いながらも軽く身構える。


「それについては否定できないなぁ~」


ため息混じりの軽い声に先程までの雰囲気など何処へやら、いつも通りの二人を見ながらエリカとクレイは緊張を解くように苦笑いを浮かべた。


「お前ら落ち着いたか?」

「「え?」」

「昨日からお二人とも何処か強張った雰囲気を見に纏っていましたからね」


レイの言葉に二人は少し心当たりがあった。

そもそも二人が本気で喧嘩している場面など見たことがなく、いつもどちらか(基本はレオ)が折れたり茶化したりして終わるのだ。

それすら忘れるほどに、エリカたちは無意識で警戒心とも呼ぶべきものを高めてしまっていた。


「何に対してどう感じてるか知らないが、本当に緊張感を持たないと行けないのはここからだぜ?」


言葉と共にレオが指差す方には底無しの暗闇が広がっていた。

横幅100mを越え天井も20mほどの大空洞の中央に自然と出来上がった橋の上から、さらに下を指し示す先には最底は見てとれない。


「ここ、ですか・・・」


小さな恐怖を含みながらエリカが呟く。


「洞窟の暗さもありますがかなり深いですね」

「最低でも100m以上の深さはありそうです」

「よし」


レイとクレイがしゃがみこみながら橋の下を覗き混む。

エリカはその後ろから立ったまま下を見ていると、その横から一つの影がサッと通りすぎる。


「・・・?」


目に映った信じられない光景に頭が理解することを放棄するが、段々と否応なしに頭が働き始める。


「何やってるんですか!!」


手を伸ばしその影を掴もうとするが、既に思考の段階から遅れた行動では影をカスることすら出来ぬままそれは下に落ちていく。


「レオさん!!」


エリカの叫びを聞き他の二人が初めてレオの行動を理解したのだ。


「あ、主様!?」

「あぁあ・・・」


エリカ同様に驚き示すクレイに対し、レイは落ちていくレオの顔を見てすべてを察した。

レイが見たのは、その先にある答えを誰よりも早く知るために考えるより先に体が動き出した子供の表情。

ワクワクの中にも緊張感のようなものを感じさせている。


「先いくぜ」


見投げするように落ちていくレオは大声ではないが、確かに全員に届く声で告げる。

先ほどのレイの言葉、【子供】は適切であった。

レオの根っこはその子供のような心であり、それがあるからこそ絶えず好奇心を持ち続けることが出来るともいえるのだ。


「主様お待ち下さい!!!」

「仕方ないですね」


真っ先に続いたのはクレイであり、その後にレイがやれやれと続く。


「え、ちょっ・・・ 置いて行かないでください!」


最後に取り残されたエリカも覚悟を決め、四人は暗闇の底へ飛び降りていくのだった

暗闇の底の底へ

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