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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
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85.ガシャガシャ、ボロボロ

お待たせして申し訳ありませんでした。

トロッコから無事全員が生還したのち、再び地上への階段を上り出す。しばらく歩いたのち地上への光が見えてきた。


「あそこまで行けばまた受付に出るが、そこがワシらの目的地であるイー島、そして諸島一の大街【ワドフ】にある頭領治館じゃ」


先導しながら前を歩いていたバダが階段を上りきった時にレオたちを招きいるように両手を広げる。

レオたちが目にした光景は、先ほどの受付とは比べものには成らないほどの豪華な装飾品で彩られたエントランスだった。

まるで大貴族の豪邸を思わせる作りに、シャンデリアや汚れ1つない金糸で刺繍された真っ赤な絨毯が使われている。

よく見れば壁には様々な武器が並べられており、そのどれもが一級品のもので、その中にはオリハルコンで作られた剣や槍なども飾られている。


「すげぇ~! 色とりどりの武器が大量だ!!」


真っ先に声をあげて喜んだのはレオだった。子供のようにはしゃぎ、今にも飛び出しそうなレオをエリカとレイが服を掴みながら必死に取り押さえる。


「ここは?」


唯一冷静なクレイがバダに問いかける。


「さっきも言ったが頭領治館じゃ。頭領の会合に使われる場所、つまりは政治用の会場じゃな」

「なるほど、それでこんな豪華な装飾を・・・」


クレイですら物珍しげに周りを見渡しながら答える。

エリカとレイがどうにかこうにかレオを落ち着かせたタイミングで、受付のドワーフが近寄ってきた。


「ウー頭領、会場は二階の大討論室を用意しています」

「わかった。それで、他の頭領たちは何人かは来たかの?」

「イー頭領、サン頭領、クー頭領は既に。他の頭領方はもうすぐ来られるかと」

「はい、わかったのじゃ」


「それでは」と頭を下げた受付は元の定位置に戻っていった。


「(ふむ、やはりまだ半分程か。どうするかのぅ)」


バダ自身は現状を予測はしていた。特にリャン頭領はイー島から一番離れた二番口の頭領であり急いでこちらに向かっても軽く三時間はかかる程だ。


「(じゃが、急な連絡じゃしの。引き継ぎ等を含めればおそらくあと1時半は来れぬか、のぅ?)」


頭領治館にある時計を見つつバダは一人、思考する。時計が示す時間は14:30。


「何をするにも中途半端な時間じゃの」

「ん? どうかしましたか?」


バダのため息混じりの発言にクレイが反応する。すると、バダは体ごとレオたちの方へ向き直す。


「みな、聞いてほしい」


バダの声に全員が注目する。


「どうやらまだ頭領全員が揃ったわけではなさそうじゃ。

おそらく一番遠いリャンのやつが来るまであと1時半ぐらいはかかると思うのじゃが、その間お主らどうしたいかの?」


バダの言葉に皆がそれぞれの顔を見渡す。


「ん~、とは言っても特には思い付かないな」

「そうですね」

「私は主様と共に」


レオから、レイ、クレイと続くが余り良い案は出てこない。

先にバダが一人ごちったように中途半端な時間なのだ。


「う~ん、正直俺はこのまま待ってもいいぞ」

「私もそれでいいですよ? あ、甘いものとかあります?」

「それならば用意させよう」

「ならばこのまま待つということでいいのですか?」

「あぁいいんじゃねぇか?」


結局、出歩くことはせずとりあえずは待つということで話が収まろうとしている中、一人が恐る恐る手をあげる。


「あ、あのぅ良ければ防具屋に行きたいんですが・・・」


挙げられた手と同様に恐る恐る口にするエリカは小動物よろしくプルプルしている。


「防具屋? 何かいるのか?」

「あの、まぁ・・・」


歯切れの悪いエリカは、試着仕立ての服を見せるかのように自身の格好をレオたちに見せる。


「さすがにいつまでもこれでは・・・あはは」


苦笑いに似た笑いを浮かべるエリカの防具は、エール王国から出たときから変わらず無骨な鎧のままで、今までの戦いのせいでひしゃげたり弾けたりとボコボコである。


「まぁそうだな」

「ボコボコですねぇ」

「エリカ嬢・・・」


全員が哀れ見るようにエリカを見つめる。


「あの、言っておきますけどこの鎧の傷の半数はレオさんたちとの修行のせいですからね!」

「あれ、そうだっけ?」

「そうでしたっけ?」

「そんな時だけ息ぴったりなんですから!」


そんなやりとりを端から見ていたバダは、自分の窮地を助けてくれた恩人が弄られているのが不憫で仕方なかった。


「まぁまぁその辺でどうじゃ?

それに時間もないのじゃ、行くならばとっておきの店を案内するわい」

「とっておき、ですか?」


エリカが真っ先に興味を示し、続いてレオも耳を傾ける。


「そうじゃ。過去、一世代前に総長をなさった方がやっておる店じゃ。武具だけでなく、食器なども手広くやっておる」

「でもそういう店は時間かかるんじゃないのか?」

「そうですよ。そんなに凄い人ならお客さんも多いんじゃ?」

「心配はいらぬ。あの人の店はちと特殊じゃから」


バダの言っている事が理解できないレオたちが頭にクエスチョンマークを浮かべている様を「ほっほっほぉ」と一人笑うバダであった。


「さて、ならば行くとするかの」


受付に16時頃には戻ると告げ、バダはレオたちと共に頭領治館の外、ワドフへと向かっていった。

エリカ強化計画

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