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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
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79.新たな影

ドワーフの国までもう少し

助けたドワーフと共にエリカは丘から街道に戻るべく歩き始める。いつでも戦闘できるように腰の剣に手を当てたまま警戒しながらだ。

だが、エリカは警戒しつつも頭の中では別の事を考えていた。


「(不思議な感覚です・・・)」


たった2ヶ月ほど前まではサイクロプスどころかオークですら一人では苦戦していた。さすがにオーク負けることはないが余裕があるわけでも無い、と、なんとも情けない戦士長だった事を今になって再確認するはめになるとは思ってもいなかっただろう。


「(ですが先ほどの一撃は・・・)」


サイクロプスが見せた渾身の振り降ろし、2ヶ月前であれば確実に抵抗なく殺られていたであろう攻撃だが━━


「まるで時間の流れが遅くなったような・・・」

「ん? 何か言うたかの?」

「な、なんでもないです」


どうやらエリカは無意識に口に出していたようで慌てて誤魔化す。


「(でも間違いなく動きは見えていた)」


エリカ自身は驚いているが、よくよく考えれば驚くことはない。

何故ならこの2ヶ月、エリカが組手を、相対をしていた人物はサイクロプスなんぞ目じゃないほどに速く、鋭く、キレも、力も最高位に位置する相手なのだ。


「(比べる相手が間違っているとは思いますが、キューレさんと比べれば動きは、遅くて単調ですからね)」


そう、キューレとの戦いに生き残り続ければ嫌でも強さは引っ張り上げられるのだから。

目の前にいる目標が高すぎて自分が強くなっている実感など感じられていなかったエリカからすれば今回の件は自身の力が着々と成長をしていることへの証明になったのだ。


「見えてきましたね」


丘から街道に出ればすぐに荷馬車を発見できた。


「ほぅ、あれはお主の荷馬車か? ・・・ん?」


エリカの進行方向にある荷馬車をドワーフも見つけることができたが何やら疑問を浮かべる声をあげる。


「お主、馬はどうしたのじゃ? まさか逃げられたのか?」

「あ、いえ、そういう訳じゃ・・・」

「あぁ~なるほどの。もしや休息の間、離しておるのか」

「ま、まぁ・・・アハハハ」


どう説明したものか悩みながらも苦笑いしか出来ないエリカにドワーフは話題を変える。


「お、そうじゃ! お主には世話になったからな」


ドワーフは腰につけた革袋を何やらゴソゴソ探りだすと、すぐにお目当ての物を見つけて取り出す。


「これをお主にやろう、助けて貰った礼じゃ」


取り出したのは青いブレスレットだった。


「これはサファイアを使ってワシが作った物じゃ。それなりの価値にはなるじゃろうて」

「そ、そんな、受け取れません。それに好きでやったことですし」

「じゃがそれではワシの気がすまぬ」


遠慮しがちなエリカにそれでも食い下がるドワーフだったが、どうにも部が悪いと理解する。どうしたものか考えた時、妙案が浮かぶ。


「そ、そうじゃ! ならばお主、ワシの依頼を受けてはもらえぬか!?」

「依頼ですか?」


いきなりの依頼話にびっくりしながらもエリカは話を聞く。


「そうじゃ、ワシがここにいるのは今ドワーフの国で起きている異変を解決できる強者を見つけ出すためなのじゃ」

「異変、ですか・・・」

「そうじゃ。そのためにエルフの国の冒険者ギルドで依頼公布するつもりじゃったがお主の力を目の当たりにして、申し分なしと思った訳じゃ」


他にも、公布したとして受理者が見つかるまで一週間以上かかることも稀ではなく、そこまでしても実力者が集まるとは限らないのもいたい所である。

それを考えれば実力は申し分ない相手が目の前にいるのだ。


「それにお主も、ドワーフの国に用があるのじゃろ?」

「なぜ、そう思うんですか?」


エリカは目的地を言っていないのにズバリ言い当てるドワーフに驚きと、純粋な疑問に質問を返す。


「ふぉっほっほっほ。いやなに、この先にある港は大きな町ではない。そしてそこから行ける先はドワーフの国じゃ」


エリカは心の中で納得する。

マリフェルタ姫にも同じようなことを言われていたのだ。小さな港町で、ドワーフとエルフの国の玄関口ではあるが基本的には、外人が立ち寄るのような場所でもないらしい。


「さらにじゃ、ワシは初めてお主を見たときは商人の護衛冒険者じゃと思っておったが荷馬車を見たときに違うと理解したわ。

あの荷馬車は積み荷を運ぶ用ではないことくらいは見ればわかる」

「さすがドワーフですね、そこまでわかるんですね」

「これでもプロじゃからの! ふぉっほっほっほ」


背が低いドワーフだが胸を張り笑えば中々の迫力がある。


「でじゃ、依頼を受けて貰えるならさっきのブレスレットは前報酬として受け取ってもらいたい。もちろん依頼完了時にはキチンと別途報酬は払う。どうじゃろうか?」

「うーん、そこまで言われてお断りするのは気が・・・」

「では!」


食い入るように決断を迫るドワーフだがエリカはそれでも迷いを見せる。


「で、ですがレオさんたちにも聞いてみないと・・・」

「ん? 他に仲間が居ったのか」

「私は旅に同行させていただいているだけなので、皆さんにも聞いてみますね」


エリカはドワーフと共に荷馬車の中に戻っていった。

エリカのお人好しは変わりません(確信

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