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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
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77.こんな日常

戦うだけじゃない!

昼食を取るために皆一度リビングへと戻ってきていた。

キッチンに立つのはレオとクレイの男性陣。女性陣はリビングのソファーに座っている。


「あ、あのぅ・・・ やっぱり手伝います」


エリカは居心地が悪そうに腰を浮かせながら申し出る。

そんなエリカをなんの悪びれも感じていない所か、すっかりぐったりモードのキューレが止める。


「止めとけ止めとけ。あの二人に任せればいいんだよ」

「で、ですけど・・・」


エリカは特に料理が上手いわけではない。現在このメンバーの中では三番目になる。一番は1-2フィニッシュでレオとレイである。

では何故エリカが留守番かといえばクレイがレオたちから料理を学び始めたからだ。

エリカの得意料理はどちらかといえばサバイバル重視の物になり、実際に料理を学んだ経験は少ない。そんな時間があれば剣を握り、体を鍛え強さを求めていたからだ。でなければ若くして一国の戦士長には成れないのである。


「こっちは大丈夫だからエリカはゆっくりしてろ」

「そうです、エリカ嬢。まだ体がぎこちないうちは安静に、です」


リビングに立つ二人は横目でチラリとソファー組を見ながら答える。

実際、今のエリカでは料理ですら足手まといなのは否めないのだが、戦士長を辞めレオたちと共に行動する中で少しずついろんなことに手を出せるような余裕も出てきた。

故に裁縫や料理も始めたのだが、そのどれもがレオとレイに負けており、尚且つ最近では料理だけならクレイにも抜かれそうなのだ。

そんな状態になり初めてエリカの中の女の部分が警鐘を鳴らし始めたのだ、このままでは一般女性としてダメだと。

まぁレオ御一行を一般として扱うには逸脱しているし、そのメンバーであるエリカも言わずもがなではあるが、本人は至って真面目なのである。


「キューレさんは家事を殿方にさせることに抵抗はないんですか?」

「殿方って・・・」


いきなりの丁寧口調に呟くようにツッコミを入れるキューレだが、エリカの真剣モードにそれ以上の言葉を呑み込む。


「あぁ~、抵抗だっけ? ないない」


気だるそうにソファーに首までもたれかかったままいい放つ。手まで振るおまけ付きで。


「な、ど、どうしてですか?」

「あたしに料理をするなって言い出したのが今キッチンに立ってる奴だから」


キューレの回答にエリカはすぐさま首をキッチンに向ける。

同じタイミングで男性陣は鍋と食器類をキッチンからリビングに運び出していた。


「キューレに飯を作らせたら死人が出るからな」

「あぁ? あたしは美味しく召し上がってるつぅの」

「そ、そんなにヤバイものが出来上がるんですか?」


クレイから食器を受け取り食器配りを手伝い出したエリカはレオの言葉に反応する。

レオはエリカから受け取った皿にスープを注ぎ一人一人に配り、クレイは一度キッチンに戻っていく。


「そらぁな。レイが悲鳴をあげるようなものが出来上がる」


ごくり。 誰かが喉をならす。


「主様、それで姉御どのような物をお作りに?」

「レイさんが悲鳴をあげるとか想像出来なんですが・・・」


いつの間にやらキッチンから戻ったクレイまでもが興味津々で話しに加わってきた。


「例えるなら真っ赤な毒薬だな」


レオの例えにこれでもかと悪どい顔したキューレが血染めの鍋を煮立てているような光景を二人は浮かべる。

がだ、感想は真反対になる。一方はそれも似合っていると思い、また一方はさすがにないかと思う。どちらがどちらを感じたかはあえて伏せていた方が良いだろう。


「レオ! 悪ふざけはそこまでにしとけよ、終いには怒るぞ!」

「あぁ~はいはい」

「ったく。別に変なもんじゃねぇよ。ただの辛いスープとかだ」


このままだと要らぬ誤解と扱いを受けると判断しキューレ自らネタばらしをする。


「え? でもそれだけなら普通のような・・・?」

「忘れたのか? キューレは辛いもの好きで、甘いもの嫌いだ。」


レオの補足にエリカは記憶の隅に追いやられた記憶の引き出しをあけ始める。そこに確かにあった、エール王国での会話にそのような話題を話した記憶が。


「キューレとレイは正反対だから、つまりキューレが好きな辛いものは━━」

「レイさんが嫌いなものであると」

「ですが奥方は基本的には好き嫌いなされないはずですが?」


最近料理を学ぶ中でさまざまな味付けに挑戦中のクレイの料理が食卓に並ぶときもある。そんな中には辛いもの含まれていたのだ。


「ピリ辛程度ならあいつは気にしないんだけど・・・」


言葉を濁しながらキューレを見るレオ。レオの態度とレオが始めに言った例え【真っ赤な毒薬】が頭で重なった時、エリカは苦笑いを浮かべる。


「もしかして具材が真っ赤に染まるぐらいに辛いスープってことです、か?」


エリカの問いにレオは小さくうなずく。


「それに加えてスープを近づけるだけで香辛料なのか分からないが、鼻と目をやられるぐらいにヤバい一品だ」


知る人ぞ知る言い方で言うならば、それはまさにデ◯ソースをぶちこんだようなスープなのだ。

デス◯ースとは何かと聞かれたら調味料の名前なのだが、驚くなかれその辛さは最低でもタバスコの数倍、果ては数千倍にもなる。ただ食べ物の領域に位置するのはそれでも十数倍あたりが限度だろう。

つまりキューレ作るスープは料理ではなく化学兵器とも言えるわけである。


「姉御は何故そのような物を食べて平気なのですか? さっき【美味しく召し上がってる】とか言っていましたが・・・」

「こいつらがギャーギャー騒いでるだけでそんなに酷いもんじゃねぇよ」


どっちの言い分が正しいのか程よく混乱してきたエリカたちだがレオから決定的な発言が聞こえてきた。


「そいつハバネロを焼き獅子唐よろしく食べるぞ?」

「「うわぁ~」」


響くような重なる声にさしものキューレもばつが悪そうにしているのだった。


デスソ◯ス、実は食べたことはない

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