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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
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73.魔法師の戦い方

レオのターン!

前座が終わり張りつめた空気も少し緩和される。休息にも似た短い時間はエリカやクレイにはそれでも短く、あっという間のものだった。

ただでさえ邪気の汚染により心身ともに削られ、張りつめた空気の中で呼吸すら厳しい時間だったのだ。二人からすれば水中にギリギリまで潜っていたのも同然で、やっとありつけた空気を肺一杯に吸えたのにすぐにまた水中に戻されたような感覚だ。


「エリカにクレイ、よぉく見てな」


感情を取り戻したキューレの言葉に二人は、瞬時に覚悟を決める。これから始まる次の戦いに向けて、決して目を離さないように。


「純粋な魔法師に対してあたしやエリカがやってはいけないこと」

「そして俺やクレイのように魔法を使う奴が敵にやらしてはいけないこと」


キューレとレオが打ち合わせたかのように言葉を続ける。


「それは距離を離されること」

「それは距離を詰められること」


普通に考えて当たり前のことだ。魔法師の得意距離は中遠距離、それ以外は基本、近中距離である。

さらにいえばどちらも中距離同士ならば初動の早い方が強い。つまりレオのように無詠唱魔法を使えなければ魔法師に残された優一の距離は遠距離しかないのだ。


「さっき近距離の相性はあらかた理解できたろ?

だから今度は中距離ではどれだけ変わるか見せてやるよ」

「本来、キューレやエリカのように速さを持ち得た戦士相手は魔法師に取っては中距離でもキツいんだかな?

それは念頭に入れてくれ」

「そうだな。例えギリギリ中距離、ほぼ遠距離だとしてもあたしを押さえれる奴はそうはいないからな」


一通りの話が終わるとレオとキューレはそれぞれ後ろに後退する。二人の離れた距離は計約15mほど、本来ならこれでも魔法師が圧倒的不利になる。


「道場はもう少し広くするか? せめて20m~30mは距離がほしいよなぁ」


ため息混じりなレオにキューレは笑って「作ったのはお前だろうが」と返す。

道場のほぼ端同士の位置に二人とも立ってはいるがエリカでさえ覚醒なしでも肉体強化を使えば数歩で詰めれる距離である。


「じゃ再開するか」


掛け声と共にキューレが突撃の構えと共に勢いをつけるために右足に力を込め邪気を高める。一秒にも満たない時間で、レオとの距離を一歩で縮められるまでの力が溜まり、今にも爆発させんとしたタイミングでキューレはその力を抜いたのだ。

エリカやクレイが何事かと思った瞬間、キューレの正面に6つの光が左右斜め上から落ちてくる。

光の交差した箇所は、キューレがあのまま突撃していたら当たっていたであろう、その位置だ。


「ふんっ」


自分の行動を阻害されてか、少しばかりのムスっとした態度でキューレが見つめる先には先ほどとは打ってかわって余裕そうな表情を見せるレオであった。


「次、来てるぞ?」


レオの声と合わせるように今度は後方、死角からまたもや左右斜め上から魔法弾が迫り来る。キューレは後方の魔力弾を視認すると両手に邪気を集め瞬く間に切り払う。

呆気なく終わった奇襲を気にせず正面を向き直したキューレの表情が強張った。目の前に黄色い球体が現れていたからだ。


「『七星弾 ━黄━』解放」


パンっと風船が割れるように黄色い球体が爆ぜると、そこから別の何かが飛び出して来る。

バチバチと音をたて、全身に光が何度も走る。キューレ一人なら軽く覆えるほどに広げられた両翼と鋭い嘴、鉤爪から眼差しに至るまで明らかにキューレを敵対視している。


「『雷鷲』」


レオにより名を呼ばれたことを喜ぶように敵へと突撃する。全長2mにもなる巨体に稲妻を走らせる鷲はバリスタの矢のようにキューレに迫る。


「生意気、なんだよ!」


キューレは右足を高く突き上げた今まで以上に邪気を集中させる。雷の矢に合わせるように右足を振り落ろす。


「《魔王の進撃》」


キューレのスキルと雷鷲がぶつかり合う、が均衡など存在せず抵抗すら許さないまま雷鷲を一蹴する。

だが悪足掻きだろうか、雷鷲によって発生した最後の稲妻によりキューレの右足を一時とはいえ麻痺させたのだ。


「『七星弾 ━青・緑━』」


キューレの麻痺に瞬時に反応しレオは畳み掛ける。キューレの左右に展開された青と緑の球体が先ほど同様に弾ける。

青の球体からは吹雪と共に巨大な氷柱が、緑の球体からは風刃纏う暴風がそれぞれ発生する。


「『雹乱』『裂旋』」


どちらもキューレの逃げ場を無くすように広範囲による魔法構成だ。


「『七星弾 ━白━』」


そこにすかさず次手を加える。

今度はレオの正面にあった白の球体が弾けると、中から真っ白な槍が出てくる。飾りっけはなく刃と槍杵しかないが神々しい光を放ち出す。レオは槍を掴むと迷わず正面のキューレ目掛けて投げる。

左右からは氷柱と風刃の壁が、前方からは槍が迫り来る。片脚を麻痺したままのキューレには回避は出来ない。

迫り来る攻撃の波に、今度はキューレが微笑みを浮かべていた。


決着は次回!(たぶん

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