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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
71/125

69.発展

二話同時投稿になります


この前に68話が投稿されています

ご注意ください

「さて、今度みんな来たな?」


二階の道場の中、レオとキューレ、エリカとクレイに別れて対面する形で並んでいる。


「よし、さくっと本題に入るぞ」


周りを見渡し全員いるのを確認し話にはいる。


「こんな真っ昼間から移動を中止したのはエリカとクレイ、お前たちの不甲斐なさと今後の方針転換のためだ」


レオから受けた「不甲斐ない」という言葉に二人がビクッとする。そんな二人を無言で見つめているキューレがいた。


「キューレやレイには先に話したんだが、二人にはエルフの国でスアの確保を頼んだよな?」


レイにより追い詰められたスアが泥神(チイタ)を暴走させ、その対処にレオとレイが当たる関係でスアの確保を二人に頼んだのだ。

二人はタイミングこそバラバラではあるがしっかりと頷く。が、同時にエリカから抗議が飛び出す。


「た、確かに頼まれました。で、ですけどキチンと【無力化】はできましたよ!?」

「エリカ嬢!」


エリカの抗議に姿勢正しく座っていたクレイが静止の声を上げる。重苦しい雰囲気には何処か覚悟を決めたような気配すら感じさせる。さながら自害をしようとする武士だ。

そんな雰囲気に呑まれ、エリカは体を縮ませるように丸くする。


「主様、不甲斐ない我々をお許しください。スアの確保を命じられた身でありながら結果は・・・」


そう、二人はスアの【無力化】こそ成功したものの【確保】は出来なかったのだ。

その理由は━━━━タイムリミットによる肉体限界のためだ。

スアに止めを刺し行動不能に出来た二人はそれを確かめると二人とも意識を手放してしまったのだ。

その後、守護領地から脱出中だったティアナたちによりスアは拘束され、その時二人とも救出されていたのだ。


「・・・盛り上がって、は、いないか。

まぁ最後で聞けって、スアの無力化の件については【よくやった】って誉めてやるつもりだったんだよ」

「え?」

「それはどういう?」


てっきり怒られると思っていたのにそうではない様子にエリカが間抜けな声を出す。クレイはどうにか抑え込みレオに真意を聞く。


「泥神の暴走で、俺もレイも最悪の事態のために動けなかったから、あの場面でスアを止めれる可能性があったのは間違いなく二人だけだったし。最終的にはキチンとスアも確保出来たからな。

俺自身はあんまり言うこと無かったんだけど・・・」


歯切れ悪く言葉を濁しながら目をそらす。その視線の先にはキューレがいた。


「キューレからレイへ、最後には俺まで巻き込む形で訓練の見直しをすることになったんだよ。それが【今後の方針転換】ってわけだな」


話を一区切りつけたレオは未だチラチラとキューレの様子を伺っている。その様子が気にくわないのか次第にキューレがイライラし出す。


「エリカ、クレイ!!」

「は、はい!」

「━━!」


いきなり名前を呼ばれピシッと背筋を伸ばしエリカが返事をし、クレイはサッと動き、無言で騎士のごとく服従を示す。


「限界ギリギリまで無茶な戦いをした挙げ句、敵を拘束する前に共倒れ。あぁ情けねぇ!

あの程度の奴なら一人でも勝てたはずだ。それが二人がかりで相討ち、ホンットに情けねぇ!!」


無言で聞き続ける二人を見つめるキューレの目にはそれぞれの感情がよく見えていた。エリカは仕事中に上司に怒られたかのように自身の過ちをある程度悔いている様子である。クレイは表情自体は顔を下に向けたままなので読み取れないが自責の念と自身の無力さに怒りを覚えているようだった。


「だから・・・その力を自在に使いこなすために修行するんだよ」


言葉の端々にどこか照れくさそうにそうキューレ言う。そんなキューレを見て「フフっ」と笑うレオに今度はキューレからレオを見る。いや、正確には睨む、である。

そんないつも通りの姿に目をぱちくりさせてエリカとクレイが顔を見合わせる。


「おらおら、早速修行するんだよ! レオもいつまでニヤけてんだ!!」

「て、訳だからこれからより厳しい特訓になるけど頑張れ、な」

「はい!」

「全力で努めさせてていただきます」


元気な返事と共にすべてがまた元通りになっていく。


「あ、エリカとクレイは今後の訓練中は基本的に【覚醒】と擬似《魔人の覚醒》を常時展開だから、頑張れ」


さらりとレオから投下されたこの爆弾がなければ・・・


「ええええええええええええええええええ!?」

「み、御心のま、ままに」


どうやら元通りとはいかないようだ。

次回から本番(特訓)

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