表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
69/125

67.報酬

これで本当の本当に、エルフ編完結です

レオたちは中央広場から離れ作戦会議に使った建物へと来ていた。さきほどまでの騒がしさからうって変わりドアを閉めれば静寂に包まれている。


「やっと落ち着けるな」

「先程の宴も楽しいものでしたけどね」


レオの呟きにエリカが続く。


「皆様、此度は本当にありがとうございました」


改めてお礼を言うのはマリフェルタだ。それに続くようにティアナとマユナも「ありがとう」「助かった」と頭を下げる。


「それはさっきの宴でもう十分頂いたから大丈夫。

で、伝えたい事ってのは?」


マリフェルタは下げたままの頭を上げレオ達に視線を合わせる。


「はい、まず今回の依頼の報酬の件、ご用意が出来ましたのでお持ちしております」

「報酬? レオさんの依頼はあの【弓】ですよね?」

「あれとは別のやつ。今話をしてるのは姫さんから直接受けた依頼の報酬の件だからな」


飄々と言い出したレオに「いつの間に・・・」という表情を浮かべている。


「提示された報酬通り、エルティダイト鉱石を10キロほどご用意させていただきました。本当にこれで良いのですか?」

「あぁ構わない」

「ですが依頼の内容だけで言えばこれの倍以上の報酬でさえ安いように思えます。それにエルティダイト鉱石ならば守護精霊の方々に頼めばまだまだご用意も出来ます。

今回の件で守護精霊全員、特にカラ様からは協力を惜しまないと・・・」


何処か必死なマリフェルタにレオは待ったを掛ける。


「いや、これで十分だから。それに明日には次の旅に出る予定だし」

「そ、そんな急n・・・」

「え!? 私たち聞いてませんよ!」


レオの発言にマリフェルタ以上に驚いているのはクレイとエリカだ。クレイは声こそ上げてはいないが顔には全く聞いていないと書いてある。


「あれ? あ、そうか。お前たち動けなくて宿にいたんだもんな」


すまんすまんと笑いながら謝るレオにエリカが微かな怒りを覚えながらも、いつものこといつものことと、自分に言い聞かせながら怒りを抑える。


「で、次は何処に行くんですか?」

「ドワーフの国だ。前に手に入れたオリハルコンや今回のエルティダイト鉱石を武具にしてもらうと思ってな。あとちょっとドワーフに興味が湧いてきたから」

「なら私も連れていってほしい」


何処かで聞いたような台詞に嫌な予感を覚えていながらレオは声の主に目を向ける。その先にいたのはティアナだ。


「我らからの感謝はさっきの宴や言葉でいただいたとレオ殿は言ったが私個人からはまだ感謝の異を示せてはいない。だから・・・」

「なら! あたしも行く。ティアナが行くならあたしも行く。レオ、に止めてもらえなかったら、あのままだったら殺人者になっていた。いや、最悪【あいつ】と同じところに堕ちてた。この恩は簡単に返せるもんじゃねぇ」


二人の決意は固く、綺麗なドレスとは噛み合わない真剣な表情を見せる。それこそレイと闘ったときのように。


「いや、盛り上がってるとこ悪いが連れてかないぞ?」

「何故だ!」

「どうして!?」

「どうしても何も押し掛け人は一人で十分だ」


レオの発言にエリカが勢いよく顔を背ける。それに釣られるようにティアナとマユナがエリカに顔を向けた。


「あ、忘れてた。これ返すわ」


レオが『次元収納』から取り出したのは借り受けていた物だった。


「返すってこれはレオ殿に報酬として渡したものだ」


レオが取り出したのは報酬予定のベールマ・イントロスである。


「いや、これはお前らが【今は】持っておくべきだ」

「今は、とは一体どういう・・・」

「ベールマ・イントロスを解析した結果、そいつは限りなく神器に近い武器だ」


【神器】

神が生み出した武具や物の総称。それぞれに生み出した神の力を内包し、そこから放たれる力は天変地異すら起こすこともできると言われる伝説級の代物である。


「だがこれはいにしえにドワーフによって作られた武器・・・」


いきなり神器だと言われて納得できないティアナ。それもそうだろうとレオ自身もわかっている。


「だから【限りなく近い】だけだ。だがその武器の本質は神が持つことで発揮される」


レオは自身で話をしながらも自分でも理解が及ばないと顔を歪めながら話を続ける。


「神が使うことで初めて神器と成り得る武器をどうして当時の族長に親愛の証で渡したかは俺にはわからないが、ただこれを持つべきなのは俺じゃないことだけは理解できる」

「そんなに難しく考えなくて良いのでは?」


話に入ってきたのはマリフェルタだ。


「当時の方々の状況は分かりませんが、少なくともベールマ・イントロスを渡した理由は簡単なものだと思います。それはおそらくダークエルフの方々に神と共に過ごしてほしいという願いからだと思います。そうじゃないにしてもこれから共存してほしいと願ったのでしょう。

だって・・・パストーゾの側には神がその意思で【守りたい場所】があるのですから」


当時のダークエルフが神と接触があったにせよ、無かったにせよ、共に生きていく中でいつかは信頼関係を気づける者が出てくる。おそらくそんな時に友愛の証として神に渡すための贈り物だったのだろうとマリフェルタは考えたようだ。

だがレイもあながち間違いではないと考えはいるようで、


「ベールマ・イントロスの本質は【如何なる時空】にいようとも自身が【護る】と決めたモノたちへの脅威を【射ぬく】こと。

であれば神がいない間、ダークエルフたちが守護領地を護り、ダークエルフへの脅威が迫るとき神がその害意を【射ぬく】。

それがダークエルフと神との信頼関係に成り得ると【彼の打ち手】は考えたのかもしれませんね」

「それに俺たちの中で弓をメインで使うのもいないしな。俺も使えないことはないが、これを【使う】のは正直勿体ない。だから返す」


レオの意思も固い。それに切羽詰まっていたとはいえ一族に代々継承された大事な武器である、返してもらえるならそれに越したことはない。


「だがそうなれば我々からの報酬はどうなる! 君に助けられ御返しすら出来ない我々はただの笑い者だ」

「なら一つ、頼みたいんだよ。次期族長さん」

「何故それを・・・」

「宴の席でな。皆が口々に嬉しそうに話してた。そんな次期族長であるティアナ、それにその補佐になるだろうマユナ、そしてパストーゾのダークエルフにしか出来ない頼み事」


レオが小さく頭を下げる。軽い会釈にも見えるがそこにきっちりとした動きが重なり真剣さが生まれる。


「そう遠くないうちに守護領地内に再び神が訪れる。その神は小さな女の子、名前はチイタ。その子と仲良くなってほしい」


レオは加えて守護精霊事件の結末を皆に話す。そうあの守護領地が誰のものであったのかを。


「おそらくですがチイタが再び現れた時にはもう一人いる可能性があります。チイタよりも強大で水の力を操る神。その方とも仲良くなってあげてください」


レイも頭を下げる。


「これは運命だったのかもしれないな」

「あたしもそう思う。こいつらに会ったあの時からあたしたちの未来は決まってたのかもな」

「ダークエルフが長きにわたり果たせなかった役目を果たすための第一歩。ベールマ・イントロスのこと、守護領地のこと、本当に大変なお願いになりそう」

「ダークエルフが残したツケ、あたしらで無くすよ。

だからその依頼、確かに受けたぜ」


頭を上げた二人の表情に安堵が浮かぶ。


「あぁ任せた」

「チイタのことお願いしますね」


次の日にはレオたちはドワーフの国へと旅立つ。

それから数ヶ月後、ルティンの町は花と水の都と呼ばれるようになる。その原因はとあるダークエルフの村から始まったと噂がまことしやかに流れるのだが、それはまた別のお話。

綺麗にまとめれた、のか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ