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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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63.真価

おまたせしてすいませんでした

「よぉし、んじゃ取りかかりますか」


ティアナたちが逃げていくのを確認し終えると、きちんと目標を見据える。


「『観取の魔眼【一追捕捉】』」


レオは魔眼の次式を発動する。片眼鏡に刻まれた魔方陣がフッと消えると泥神の中を這いずり回るペンダントを捉える。


「あれの魔方陣の位置がペンダントの位置ですか」

「観取の魔眼の効果の一つ、任意の相手を追尾するってやつ。これ以外の効果が使えない代わりに魔眼に集中する必要が無くなるのがいい点だ」

「魔眼・・・ 人が人成らざる者になるために得た力。神には扱えない、いえ扱う必要性を感じられない不完全な力」

「魔眼の多くは呪いから始まる力が多いからな。キューレのほうがその点だけは詳しいかもな」

「理解できないですね、人間は。 ・・・ですが」

「おっと、お喋りする時間ももうないみたいだ」


丸まったままの泥神が今にも内側の力で弾かれそうにほど膨らんでいる。さらにいえば少しずつ位置がずれていた。


「ペンダント自体に意識があるかのような感じだな」

「術者同様に往生際が悪いですね」


レイの中から黒いものが声に孕んで出てくる。


「逃がすわけがありません」


スアにぶつける予定だった怒気、憎悪をすべてペンダントに向ける。

レオはレイを横目にベールマ・イントロスを構え、腰から剣を一つ抜く。レイとティアナたちの戦いを見ていたレオはティアナが最後に放った矢の動きを真似るように、抜いた剣を矢に見立ててを弓に添える。


「(あとは詠唱を・・・ ?)」


レオの頭の中に声のようなものが入り込んでくる。いや声というより文章だろうか、初めから知っていた知識を掘り返し頭に浮かべるようなそんな変な感覚だ。


「おいおい、これを作ったやつは何者だよ・・・」


レオは頭の中の文章のもと、初めにベールマ・イントロスに魔力を走らせる。矢を作るためではなく弓にレオの魔力を馴染ませるために。

魔力が十分回りレオの魔力を関知すると今まで隠れていた六芒星に近い形をした【刻印】黒く光だす。近いという表現の理由は、六芒星に本来あるはずの外周の六つの三角形、その一つが抜け落ちているからだ。一番上から時計回りに1~6の数字を割り振るとするならば2番目の位置にあるはずのそれが欠けている。

黒い光は次第に弓全体に広がり全てが光に包まれると同時に、光が弾けとぶ。まばゆい光の後には弓が金色に輝いていた。


「これが本来の姿なんだな。だけど・・・」


レオは自身とシンクロしつつあるベールマ・イントロスの全容を魔力を通じて理解できていた。だからこそレオは行動に移す。


「レイ、これはお前が使うべきみたいだわ」


レオは隣に並び立つレイに剣と共にベールマ・イントロスを差し出す。その行為にレイは意を理解できない。


「触れば分かる。これは【俺たち】じゃなくて【お前たち】用の武器だ。正直、作った奴と話をしてみたいくらいに凄いもんだよ」


レオの手からレイにベールマ・イントロスが渡ると輝きがいっそう増す。さらに魔力を通じてレイにも同様にベールマ・イントロスの情報が流れた。


「まさか、こんな・・・」

「な? お前の方が良いみたいだわ」


小さく頷いたレイはベールマ・イントロスを構え、レオから続いて受け取った剣を添える。弓に剣を添えるという可笑しな姿だがレイの服装と相まって日本神話に出てきそうな雰囲気を醸し出す。


「我、守り手也。我が愛するものたちのため、それに仇なす脅威を払う。我、敵を射つ射手也。如何なる場所であろうとも全てを射抜く。神の意思に答えよ、ベールマ・イントロス」


レイの詠唱に答え、ベールマ・イントロスはその力を解放する。金色の魔力が剣に注がれ、その姿を矢の姿に変えた。


「『神の射守』」


レイが矢から手を離した瞬間、矢はパチンと弾け気づけば泥神の側にまで接近していた。泥神から放たれる特濃の魔力の中を異に関せず目標まで進む。

這いずり回るペンダントにしっかり目標を定めた矢は、あっさりとその役目を果たす。


「があ"あ"あ"あ"あ"あ"ああああああ」

「これマズいか? 『空ぜ━」


暴走が止まらないのを見るやレオが最後の手を使おうとする。だがそれをレイが手で止める。


「大丈夫です。もう大丈夫ですから・・・」


いい聞かせるような声はレオへではない。見つめる先、あの神に対してだ。もう爆発まで時間はない。


「(なら、最後までレイに任せるか)」


レオは緊急の際に動けるように警戒はしながらもレイに後を委ねる。ほどなく半球体に膨れ上がっていた魔力が次第に上下の円柱に変わっていく。変化と同時に空と地面が揺らぎ割れていく。


「魔力を収束させるために無理やり天地に魔力を放出しているのか、だが・・・」


既に全壊しつつある守護領地ではそれを受け止めることが出来ず、さらには崩壊の加担となっている。だがそれでも泥神は放出し続け、レイも動く気配はない。

成り行きを見守っているとレオは異変に気づくいた。


「空が、止まった?」


放出は続いているにも関わらず空の崩壊が止まっていた。不思議に感じたレオは役目を終えた魔眼を再び発動する。

そこに見えたのは面白い現象だった。膨大な魔力によって破壊された空間が、空に分散した魔力により修復されていた。それがいつの間にか拮抗していたため空の崩壊は止まっていたのだ。

ならば修復の魔法の素があるはずと魔力を辿ればそこには半壊した神殿があった。それはレオが初めて守護領地内に入った際に探索した場所だった。


「(なるほどな。あれはこれようだったのか)」


レオが言う【あれ】とは神殿内で見つけた【刻印】のことだ。しっかりした神殿の中、中央に巨大なハンマーで打ち付けたのかと思えるほどの刻印があり、刻印を知らぬものから見ればただの模様と思うだろうほどだ。

刻印に施された魔法により崩壊は一時的に止まっているがそれも長く持つかはわからない。刻印に傷がつけば魔法が停止してしまうからだ。


「もう少しだよ」


ふと、レイの声が聞こえ視線を神殿から泥神に戻すと動きが進展していた。天地に余分な魔力を放出し終わったのか、再び半球体を描くように魔力が流れる。そのまま圧縮されるように次第にその範囲を狭めていく。

泥の体まで魔力が到達すると今度は体を巻き込むように範囲が狭まる。だがそれに対して痛みを感じていないようで呻き声すら聞こえない。最終的に体長3mあった巨体が半分ほどになるまで圧縮され、泥で出来たかまくらのような出で立ちになった。


「もう安心です。安定期に入りました」

「何が起こってるか、聞いてもいいか?」

「なんとなく察しているかもしれませんが、これは【再誕】です」


簡単に伝えた今のレイの表情は現在から過去、未来に至るまでどの聖母にも負けないであろう慈愛に包まれたものだった。

も、もう少しだけ続きます

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