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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
64/125

62.待ってました!

ちょっとはしょってしまいました・・・

大気が震え空からは轟轟と唸り声が響く。どこからかピシピシとヒビが入るような音すら聞こえだした。どうやら守護領地そのものの空間が悲鳴をあげているようだ。

自身の体と共に魔力を抱え込みながら必死に抵抗する泥神はまさに噴火寸前の火山口か、あるいは時限爆弾である。


「スフィア!」


レイは振り向きもせずに咄嗟にレオの名を叫ぶ。それだけですべてを理解する。


「━━エリカ、クレイあっちは頼む」


レオは二人の方をチラリと見ると一瞬迷ってからお願いをする。レオとレイのように言葉の真意は分からなかったが今自分達がやれること、やらなければならないことは理解できた。


「はい!」

「お任せを」


返事と共に二人は同じ場所を見る。狙う先はスアだ。逃げ出したスアを追いかけ二人で再び戦いを挑む。


「っ! あ、貴方たち程度なら・・・ふふ」


レイへの攻撃で魔力を失っているとはいえ、スアの実力は未だにエリカやクレイを凌駕していた。

だがそんなことは二人とて理解している。


「はぁああああああ、【覚醒】発動!」


エリカとレオの魔力が重なる。


「なっ!」


一瞬にして跳ね上がる魔力はスアがレイから感じていたそれに近い。魔力だけではない。威圧感や存在力というべきだろうか、それらも含み、まさに別人である。


「擬似《魔人の覚醒》!」


クレイの体から邪気が溢れだしそれを身に纏う。魔力とは違う、触れただけですべてを侵食する力が別ベクトルの威圧を放つ。


「クレイさん、それは」

「姉御に教えていただいた力だ」


《魔人の覚醒》はキューレが持つスキルの一つである。

人間の限界を越え、魔に落ちた者に与えられる【スキル】で、『肉体強化』との違いは魔力ではなく邪気を纏うこと。比にならないほどの強化を得られ、触れるものには精神的にもダメージを与える。ただし使用者にも邪気が侵食し精神を犯す諸刃の剣。


本来、スキル自体は本人しか使えず継承は出来ないのだが、これだけは例外にあたる。何故ならスキル獲得条件がハッキリしているからだ。さらにいえばあくまで邪気を纏うことが出来るスキルであるため、邪気の発動とそれに耐えれる肉体であれば使えるのだ。

ならば魔獣であるクレイにとって条件などあって無いようなものだ。


「魔力から得た邪気を還元しているため、永くは持たないがな」

「なら、私と同じですね。もって数分です」

「ならばさっと終わらせて主たちの元へ戻るとしよう」


決着は時間ギリギリまで続き、最後はエリカとクレイのコンビネーションで幕を閉じた。スアの敗因は、悪あがきにレイに『混幻乱夢』を使ってしまった事、あれが無ければ結果は分からなかっただろう。


時は戻り、エリカたちがスアを追いかけ離れる中レオはレイの横に立つ。


「さて、暴走を止める手っ取り早やり方は・・・」

「あのクリスタルを破壊する」

「だな。『観取の魔眼』」


レオの片目に魔力で出来た片眼鏡が浮かび上がる。レンズの部分には魔方陣が刻まれており、それにより視たもの真理を見抜く。

『視認解析』の完全上位互換だが魔眼発動中はそれに集中する必要があり他の魔法が扱えないデメリットもある。なので普段は使われないのだ。


「どうですか?」

「うーん、駄目だな。クリスタルが中で動き回ってるわ」

「やはり力ずくでやるしかないようですね」


レイが苦い顔をする。


「あんな魔力の塊に、あの神さんを飛ばすほどの魔法をぶつければそれこそこの辺り一面消し飛ぶだろ?

それにそれが嫌だから俺を呼んだんだろ?」

「ならばどうするのですか?」

「手がないことはないんだが・・・」


レオは自分の腰に提げた二本の剣に手をかけながら答える。


「外に被害を出さないだけなら『空絶』でこの場所ごと世界を隔絶すればいい。ただしそうなると俺たちが戻れるかは分かんないけどな」


『空絶』は空間魔法の中でも上位にあたる魔法で、効果は指定した空間を切り取り隔絶する、というものだ。切り取られた空間は外からの干渉を一切受け付けず、さらに内側から強引に抉じ開ければ空間の捻れにより異空へと飛ばされかねない。ただし対処法もある。

『空絶』は術者もその効果範囲に含まれる。そして術者の任意で『空絶』を解除できるため術者に『空絶』を解除させるか、『空絶』への魔力供給を断てばいい。つまり術者を殺せばいいのだ。


「それは・・・最終手段ですね」

「だな。とは言いつつも時間はない」

「他にないのですか、レオ?」


口調が少し妖精のレイに戻る。そんなレイを見ながらレオはもう一つの案を頭に浮かべてはいた。だがそれには重要なピースが足りない。だから今は苦笑いを作ることしか出来なかった。


「レオさん!」


レオを呼ぶ声に顔を向ければそこにはベールマ・イントロスを持ったティアナがいた。


「最後のピースがどうやら間に合ったみたいだぜ?」


レオの呟きに不思議な顔を浮かべるレイはティアナを見てその意図を理解する。


「外からも分かるほどの膨大な魔力の渦を感じたが、一体?」

「説明はあとでする。だから【それ】、貸してくれ」

「これか?」


レオが言う【それ】とは他でもない。ベールマ・イントロスである。


「・・・わかった」

「サンキュー! じゃ直ぐ様そこの姫さんと族長さん連れて回れ右してくれ」

「え、いや、待て!」

「早くしないと時間がないぞ?」


大気が乱れ、突風が吹き出し世界が悲鳴を上げる。泥神の魔力も高まり続け、既に守護領地自体が維持できなくなっている。


「あとは任せろ」

「ご無事で」


状況を理解したティアナはこれ以上は聞かず移動を開始する。


「さぁて、それじゃ最後にキッチリお仕事しますかな」


いつもの声、そう気楽ないつも通りの声だった。

エリカとクレイの戦う場面はこの先もあるのでお楽しみにね!





すみませんでした(´Д`|||)

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