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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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60.王

お待たせしました

目の前に現れた存在に理解が及ばない。

私はやっと神に会えた。さらにその力を、その片鱗を手に入れた今の私は神にもっとも近いともいえるはず。ならば今までの神同様に好き勝手して何が悪いのしょう、いや悪いことなど無い。

むしろ喜ばれるべきなのです。他の神に代わり、私が世界すべてに神の存在を知らしめる。そうすることで私のように切に神との対面を願う多くの精霊や妖精、ひいては人間たちに【神はいる】と目の前で証明できる。なのに・・・


「邪魔をするな!!!」


スアの急な叫び声には怒りが多分に詰め込まれていた。スアが思考の渦の中にいた最中もレイと泥神の戦いは続いていた。岩が突き出し、泥が飛び交い、無数のつぶてが雨のごとく降り注ぐ。


「『火』、『水』、『風』」


だがそのすべてを軽々払られた。爆炎が岩を溶かし、激流が泥を流し、つぶては暴風で粉々に砕かれる。風を操り、雷を操り、水を操り、火を操る。それもたったの一言でだ。


「なんなんだ、こりゃ・・・」


リュハは既に目の前で起きている戦いに着いていけていない。いや、着いていけるものは例の一人だけなので当然である。彼らからすれば地形が容易に変わるほどの魔法の応酬が間髪いれずに繰り返されている、程度にしか理解が出来ていないのだ。


「凄い・・・ これが神々の戦いなのですね」


唾を呑みながらも戦いから一切目を話さずマリが呟く。


「確かに派手な魔法だけどまだまだ互いに全力じゃないぞ?」

「あれで手を、抜いていると?」


炎が容易く岩を溶解させる光景を指差しながら聞いてくる。人を指差すは失礼じゃ?とマリの行動に内心でそんな感想を持つ。


「レイのやつは実力としては半分も出してないし、泥の神はさっきも言ったが不完全な状態だ」


あ、でも神だから大丈夫か? もっと失礼か。などとレオは適当な事を考えていた。


「レオさんはいつも余裕そうですね・・・」

「お? エリカとクレイ、もう起きて大丈夫か?」


エリカもクレイも目立った傷は無く、擦り傷なども既に塞がっていた。クレイはいつのまにやら人の姿に戻っていた。


「余裕、か。 今回はそうでもなかったんだけどな」


敵の猛攻に回避の素振りすら見せず、ただ淡々と攻撃を受け流すレイを見ながら苦笑いを浮かべる。


「まぁでも、レイがやるっていうから焦りはなくなったな」


ただ・・・と言葉を繋げるレオには何やら不安なことがあるようで、


「ただ、レイはあの状態になると自分の守りたいもの以外には見境が無くなるから~」


と言っている側から雷が地面をえぐっていた。さらに溶解された岩々は小さなマグマ溜まりのように見えるし、間欠泉による穴がそこら中に溢れで、草木は風により雷と風によりボロボロである。さながら地獄と化していた。


「確かに、奥方様の戦い方がいつもより雑な気もします」

「ですけど、あれだけの魔法規模をキチンとコントロールしてるんですから雑に見えるだけなんでしょうけどね」

「ん? いや? あれはクレイの言うとおり雑なだけ」

「え? いや、でも・・・」


レオの言葉に納得がいかず反論しようとするがいい言葉が出てこない。


「レイは魔法は使って指示をしてるだけだからな」

「それはどういう・・・?」

「あれ? 説明してなかったか?」


驚いたエリカに逆に驚いた顔をレオが見せる。


「今のレイは魔力によって火、風、水、雷、土の属性を作ってるんじゃなくて自然界にあるそれを魔力で誘導してるだけなんだよ」

「あの言っている意味がよく・・・」

「魔法は魔力を【流】し、次に流した魔力を使用したい場所に【固】め、最後に固めた魔力を変【形】させて初めて魔法となる」


つまり【流】【固】【形】の並び、一度説明されてるだろ?という問いに首を縦にふる。それはエリカ自身にもわかっていることであり、基礎中の基礎だ。


「だけど今のレイは違う。あいつが今やってるのは【流】と【固】だけで【形】は使ってない」

「ならば奥方はどうやってあれほどの力を?」

「その答えを知りたいならレイの周りの魔力を見ればいい」


クレイとエリカは【魔力感知】を発動させる。レイと魔法修行の際に魔法の対策として役に立つからと覚えさせられた技術だ。相手の魔力の流れを読みとれ、熟練すれば魔法の種類もある程度わかるようになるとか。


「あれは・・・ いろんな色のモヤが見えます、ね」


エリカは未だ不馴れなながらもしっかりと魔力を感知している。


「赤、青、緑、黄、茶。ここまでしか分かりません・・・ 主、あれは一体?」

「まぁ覚えたばかりでそこまで見れれば上出来上出来。ついでに言うならあと黒と白もいる」

「いる? あれは魔力ですよね? まるで生き物のような言い方・・・」


口元で笑みを作るレオがネタばらしをはじめる。


「あれは【属精霊】と呼ばれる精霊の一種だな。他のような精霊とは違い、各個としての意思はない。エリカの言うとおり魔力の塊であり、各属性の源だ」


わざと一拍置いてから話を続ける。


「ありとあらゆる場所。本来、目で見ず【魔力感知】ですら気づけないあれらは属性魔法の発動時に下火として一緒に取り込まれることで威力や速度の手伝いになる」

「もしや、属性魔法の得意不得意とは・・・」

「そう。それらは各個人の持つ魔力に引かれた属性精霊の集まる量と種類が関係している。火の属性精霊が多く引かれれば間違いなく火魔法が得意になる、というか魔力そのものが火への【形】に適しているわけだ」

「つまり、魔力の適正にあう属精霊が集まる、と。では奥方様の場合は五大属性すべてに適正があると?」

「いや、レイにも得意な魔法はちゃんとある。それに集まっているのは闇と光を加えた七大属性だ」


違和感から話のずれに気づいたエリカは疑問をぶつける。


「ならどうしてレイさんの周りにはあれだけの属精霊が?」

「それは━━━」


レオの中で少しの思考が働く。はたしてこの話を二人に自分から言うべきだろうか、本当なら本人が打ち明けるべきことだ。だがここまで来て話さないのは二人に対して申し訳ない。


「(まぁいいか。これからも一緒に旅をするわけだしな)」


一度の調子を整えるように喉をならす。


「それはあいつが【属性神王】だからだ」

「ぞくせいしんおう?」

「七大属性にはそれぞれの最高神がいる。その七神を束ねる神の王、それが属性神王。別名【聖天】、ぶっちゃけ神の中のNo.2」

「「は?」」


ぽっかりと口を開いたまま全員がレイを見る。当のレイは未だに顔色変えず敵の攻撃をさばき続けていた。

気づけば説明回に・・・

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