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4.戦後処理と第2戦士長ガルバ・D・ジャヴァ

さらっと、流すつもりだったの気づけばながながと・・・

く、悔しい(/´△`\)

エルネアへのオーガ襲撃より1週間が経いが、エリカは休むことなく戦後処理に追われていた。防衛に回った兵士、初心者冒険者、村人、そしてエリカの部下たちを含め死傷者は100を越えるものになった。エール王国へ伝書鳩を使いすぐさま報告をあげるが、国境沿い近くのために救援の到着が遅れるために今度はできる限りの駿馬を使い周りの村や町へ救援を求め、村の最低限の復興の手助けをする。それに加え、未だにエリの森から数は少ないとはいえ魔物が出てくるためにエリカの部下に当たる兵が交代さで1日中見張りについていたのだ。

そしてやっと王都より救援としてエール王国国軍第2戦士長ガルバ・D・ジャヴァとその部下が駆けつける。

ガルバ・D・ジャヴァ、見た目は30後半ほどで銀髪のオールバックであり、肉体は端から見てわかるほどの筋肉の鎧を纏っている。エリカと同じ戦士長ではあるが実力、権力ともにエリカよりも段違いに高い。


「ガルバ様、救援感謝いたします。」

「マルベス嬢、どうやらかなりの災難にあったようだな。村の状態を見ればわかる。オーガにサイクロプス。

本来ならそれほど危険な魔物が共に行動していることも不可解なのだが、それを倒した人物がいるとか?。しかもたった1人で。」

「はい、ですが本人はあまり目立ちたくはないと言ってまして・・・

あと申し上げ難いのですがマルベス嬢という言い方は・・・これでも戦士長ですので。」

「あぁすまぬな。なんせお主が赤ん坊の頃から知っている身としてはな。了解した、以後気をつけよう。

それと今回の功労者たる人物を不快にさせる必要もなし。今回はあきらめよう。

さて、マルベス戦士長。陛下より伝言を預かっている。


[此度の件、まことにご苦労であった。凄惨なことになってしまったがそなたのおかげで最悪の事態は避けられた。一度部下と共に王都に戻り、今は休息を取られよ。ご苦労であった。]


とのことだ。

これ以降は我々が引き継ぐ。まだ全てが終わってない以上休めるときに休むのも戦士としての勤めだ。」

「わかりました。では後の件、よろしくお願いします。」


二人は最後に顔を見合わせ軽く会釈するとそれぞれのやるべき行動を開始する。ジャヴァは自分の部下たちに号令を出し、エリカの部下たちを手伝わせる。エリカはジャヴァへの引継ぎのため、これまでの行動とこれからの対策を書き溜めていた資料などをまとめて用意し始めた。

それから1時間足らずで引き継ぎが完了し、エリカはレオ達のもとへと向かう。

-----------------------------------------------------------------------------


レオとレイはエリネアの冒険者用宿屋の一室にいた。二人は8つの小さな石を見つめならがら話をしている。


「これが魔石ですかぁ。あちらの世界には無かったものですね。」

「似たような物はあったがな。ただし人が作った物だからそれぞれの魔力個性が出てきて、実用的ではなかったな。」

「ですが、これは魔物から、オーガの中から出てきたのですよね?」

「あぁ、エリカ曰くこれを冒険者ギルドに持っていくことで金銭と交換してくれるようだ。」

「とてもこのままでは使えるようには見えませんね?中の魔力は邪気によって濁ってますから。まぁこれくらいなら浄化できますが。」

「そこら辺は詳しく聞いてないし、興味もないからいいがな。」

「この前、一応お伝えしたと思うのですが・・・」


気づけば部屋の中には二人以外にもう1人の姿があった。もちろん二人を呼びに来たエリカである。


「うわっ!?お前、なに勝手に部屋に入ってきてんだよ?」

「キチンとノックはしましたよ?」

「あ、あれ?そ、そうなのか? まぁいいか。」

「魔石は公共施設や物に関しての大事なエネルギー源ですね。

魔石自体は純粋な魔力の塊なのでさまざまな性質に変化をさせることが出来るために主に雷と火系が多く用いられ、灯りや火元などに使われます。一般家庭にも簡単なものにはなりますが同じように魔石を燃料にしていますよ。」

「ふーん、そうか」

「レオ様、本当に興味がないんですね・・・

私は少し気になりますけど。」

「どうせ必要にならないだろうからな。必要なら自分で発動させればいいし」

「それを簡単に言えるのはあなたたちだけだと思いますよ・・・」


レオの態度に女性陣が呆れたような目で見つめていた。さすがにばつが悪くなったレオは話を変える。


「それで、エリカは何しに来たんだ?忙しく走り回ってたろ?」

「え?あ、そうでした。救援のため王都から新たに第2戦士長殿が来てくださり、我々は一度王都へと帰還することになったので、二人を呼びに来たというわけです。」

「ようやく王都へ行くのか、了解だ。すぐ出るのか?」

「いや、さすがに部下たちも動きっぱなしで疲れているために行動は明朝になります。」

「了解。頑張って起きるよ」

「なんででしょうか。最後の一言で不安が出てきたのですが・・・」

「大丈夫です!私がレオ様を確実に起こします!

もちろんどんな手を使ってもです!」

「ア、ハイ。よろしくお願いします・・・?」


そう言うレイは、胸を張り、えっへん、と云わんばかりの行動をしている。そこ姿に再び不安が募るエリカであった。



次の日の朝早く、木で出来たエリネアの簡易正門の前にレオたちの姿があった。馬車が4台ほど用意され、食料などはすでに積み込まれすぐにでも出発する準備は出来ていた。部下たちも眠気を押さえながらではあるがキチンと装備をした姿で集まり、エリカはその先頭で出発前の最後の点検と確認のために数名の部下たちと話をしている。

そんな中、エリカを含め兵達はチラチラとある場所を見ては目線を外し少し笑いを溢す、という一連の流れを繰り返していた。

そして部下たちと話を終えたエリカが満を持してレオとレイに話しかける。


「あ、えっと・・・ その姿はもしや朝の一件が関係してる、のですか?」


エリカは初め恐る恐るといった感じで聞いてみる。が、後半には明らかに笑いを含む声に変わっていた。

それもそのはずだ。レオの今の姿は髪がアフロのように爆発しており、すごく疲れた目をしているのだから。そして横にいるレイは、やりきりました!、と云わんばかりに昨日と同じく手を胸にあてて誇らしげである。

まだ日が昇るか昇らないかという時間にボッと小さな爆発音が聞こえ、皆が慌てて音の正体を確認するために集まったこともあり、予定も早い段階で多く者が出発の準備をし終わったのだ。

そしてそこに1人の人物が声をかける。第2戦士長である、ジャヴァだ。


「朝から騒がしいな。それだけ元気があれば問題は無さそうだな。」


その言葉に怒っているような様子はなく、小さな子供のいたずらを楽しそうに眺めているような雰囲気である。朝早いためか、見送りのためだけなのか、鎧やそれ以外の防具は着ていない。どころが見た目はただの村人のオッサンにしか見えないほどラフな格好をしていた。


「ガルバ様、どうしてここに? いえ、その前にその服装はどうされたのですか?」

「ん?変か?」

「い、いえ、変ではありませんが・・・」

「なに、気にすることはない。我も元は平民の出だ。これくらいは普通だ。

ここに来た理由は言うまでもないだろ?

結局気になって一目だけでも見に来たのだ。

・・・なるほどな、確かに強い。」


ジャヴァはレオのすべてを見極めようとしているかのように観察したあと、呟くように答えた。


「『視認解析』 ・・・へぇ、あんたはなかなか強いな。」

「く、わははははは。そうか、我は【なかなか】強いか。

わははは。面白い奴だ、一目だけでも見ておいて正解だったな。

さて、マルベス戦士長。もう行く時間だろう。気をつけてな。」

「はい、ガルバ様もご武運を!」


そしてエリカが皆に号令をかけ、エリネアから王都に向かって出発するのであった。

1人残されたジャヴァはいまだに楽しそうな笑みを浮かべながら彼らを見送る。


「(我にたいしてあのような言い回しをするやつは久々に見た。

聞いたこともない魔法を無詠唱にて使う無名の魔法師か。)

いつか機会があれば手合わせ願いたいものだな。」


時を同じくしてレオは揺られる馬車の中で何かやら考えていた。


「(表示レベル42・・・この世界の基準はいまだによくわかってないが間違いなく国の中で1、2を争う実力者だろうな。)

あれがエリカから聞いた第2戦士長か・・・

いつか実際の戦闘を見てみるのもいいかもな。」


二人のそれぞれの思いを胸に今は別れるのあった。遠くない未来にそれがあるきっかけで叶うことになるとも知らずに。

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