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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
55/125

53.組み合わせ

やりすぎ注意!

昨日の宴が嘘かのように静まり返った広場に二つの組があった。一つは6人の組、もう一つは十数人からなる組だ。十数名は六人組を半円の形で囲んでいる。その中からドレスの少女が前に出る。


「これから作戦を開始します。目標はルルファ、およびスア様の確保、または無力化。さらにダークエルフの救出です。」


マリは六人を軽く見渡しながら開始を宣言する。


「マユナ、ティアナ、無茶だけはしないでください。ツリナ戦士長様、マテリス様、お力添え感謝します。そして、レオさん、レイさん、皆様をどうかよろしくお願い致します。

それでは皆様の御武運を願います!」


不安を隠せていない声ではあったが覚悟はしていたのだろう、最後は力強く声を上げる。マリの宣言が終わると同時に皆から声が上がる。応援やら心配やら様々ではあるがどれも暖かな声だ。

昨日の話し合いか、はたまた宴のおかげか何人かのダークエルフからレオたちに声援を送っている者もいる。


「レオさん、レイさん、大丈夫だと信じてますがお気をつけて」

「主様、奥方様どうかご無事で」

「おう。じゃ、あとは頼んだ」

「二人共、お願いしますね」

「お任せください、全力を尽くします」

「ですが、本当に【そう】なるんでしょうか?」


先ほどから話をしているのは昨晩、宴の際にレオがエリカとクレイに頼んだ話についてだ。


「まぁあくまで保険だ。そうじゃないならないでそれに越したことはない」

「ですから、あまり気おらずにいてくださいね?」


頭を縦に振り肯定する。だがその目には何やらやる気が満ち満ちていた。大丈夫か、こいつら?と不安になる気持ちを抑え、レオたちに突入部隊は村を出る。



まず事前の作戦通り、王族の緊急避難用に用意されていた【道】を使い、王城に侵入していた。そこから素早く移動し、現在城外壁側、出入り口であるつり橋を目の前にしてレオたちの姿があった。


「それで、ここからどうするだい?」

「新しく用意された【道】を使う」

「その【道】ってのが僕からしたらよくわからないんだよ」

「今さっきまで使っていただろ?」

「そうだけど、僕はあくまで君たちの後を着いてきただけだし」


マテリスと行動を共にしていたツリナだが、妖精が使う【道】よりもマテリスの【隠匿】の力の方が強力であるため、【道】を使ったことがなく、いまいちよく分かっていない。


「なら我々が先行するか?」


提案をしたのはティアナだ。マユナは昨日からレオたちとは口を聞いていない。


「いえ、ここまで来て一つ一つ行動を共にしていても時間がかかりますから手分けをしましょう」

「だが【道】は一つしか・・・」

「こっちにはマテリスがいるから、そっちに頑張ってもらおう。

頼めるか?」

「はい」


昨日話をしていなかったマテリスの存在と力を話す。


「てなわけで、マテリスの【隠匿】と【道】、救出組と潜入組の二手に別れる」

「なら時間がかかりそうな救出組にマテリスさんが付く方が良いですね」


新たに用意された【道】は長くは持たないため、救出に時間がかかり尚且つ人数が増えることで身動きすら取りづらくなるために臨機応変に対応できるマテリスの力の方が合っているのだ。


「それで、組分けは?」


ツリナは今の話でなんとなく組み合わせは理解できたが、確認は大事だと話をふる。


「僕とマテリス、君とそっちのかm、妖精さんは一緒として、ダークエルフのお二人はどうするんだい?」

「お二人は救出をメインで参加していますからマテリスさんとご一緒でいいと思いますよ?」

「いえ、そうなれば人数差がありますから私かマユナが潜入組の方に着いていきます」

「ならあたしが行く」


息を殺し感情を殺したような声が響く。これまで沈黙を貫いてきたマユナだ。


「ダメ」


だが呆気なく却下された。した人物は言うまでもないだろう。


「何故だ?」


レオを睨みながらマユナが好戦的な態度をとる。対してレオはやれやれといった雰囲気で肩をすくめる。


「今の自分の顔を鏡で見てからもう一度同じ事を言ってくれるか? 今のお前は目の前に親の仇でもいるかのような、今にも誰かを殺そうとしてる目だぞ?」


実際そうなのだろう。家族ではないとはいえ、同族が、同じ亜人が無罪で捕まり奴隷にされている。それが事実であると知る度に心の底に黒い何かが沈み溜まっていく。そしてそれは怒りに変わり、憎悪に変わり、殺意に変わる。その殺意を向けるべき相手にこれから会いに、戦いに、殺しに行く。マユナは既にルルファも、スアすらも生かす気など全くないのだ。


「だから、ど━━━」


言いかけた言葉が詰まる。全身から嫌な汗が吹き出し、息することすら難しくなる。体の感覚すら奪われたかのように動くことすら許されない。その原因は目の前にいる人物、レオだ。

魔力を放っているわけではない、ただマユナを鋭く見つめているだけだ。だが、まさに蛇に睨まれた蛙のように、漠然とした死の気配を感じた。抵抗など出来ない、相手が動いた時が自分の死ぬとき、それだけがやっと理解できるだけだった。カチカチとどこからか音が聞こえる。


「大丈夫か?」


いつもの声と共に先程までの死が霧散する。立つことすらままならず、へたりこむように座る。未だに聞こえるカチカチいう音が自身の口から発せられており、同時に体がガタガタと震えている。


「こんな風に殺気飛ばしてるやつが近づいたら相手に気づかれる。それで警戒するだけならいいがすぐに逃げられたら面倒だろ? だから却下」


自信満々に言いきる。だがすぐさま「ん?」と声を上げる。ここで少なからず反論が来ると思っていたのに反応がない。どころか周りの皆は硬直し、マユナは未だにへたりこむんだままだった。


「あ、あれぇ?」


レオの口から出た不安の声だけが小さく響いていた。

カッ!クワッ!

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