3.これは魔法ですか?いいえ、魔導です。
説明と戦闘を一緒にしては行けない。真代覚えた。
いつもより眺めになっています。描写などの文字列が多いため睡魔に注i・・・Zzz
「さて、交渉も終わったし急いでるんだろ?」
「はい、一刻を争います。着いてきてもらえますか?
案内します・・・」
「その前に今のあんたの状態じゃ急ぎようにも急げないからな。レイ、頼む。」
「はい、おかませください!
心を癒すは音、身を癒すは光、汝を包む和やかな歌。
『祝福の光鈴』」
レイの詠唱により発動された魔法によりエリカは温かな光に包まれ、光の中では心を落ち着かせるように綺麗な鈴の音が響いていた。光により体の傷が直ぐ様にふさがり、鈴の音により先ほどまでの焦りが一時落ち着く。
「すごい。音と光にそれぞれ治癒の力を・・・。これはⅢ界式呪文?
でも詠唱は1章節、てことは簡略詠唱!?
あなたたちは本当に何者なんですか!?」
「エリカさんは先ほどから驚いてばかりですね。回復の魔法で傷が塞がってもまだまだ安静にしなければならないのですから落ち着いてくださいね。」
「だ、だがこんなのは大司教様ほどの力がなければ出来ないことなのだぞ!?」
この世界でも、もちろん魔法は存在する。魔法は界式呪文と呼ばれ、界が大きいほどにその力と難しさも段違いになる。
Ⅰ界式
無属性魔法、非戦闘魔法の多くがここに分類される。
ある程度の訓練があれば誰でも使える魔法である。
簡単な属性魔法もこの部類にはいる。
主な魔法:肉体強化、火種や少量の水などの生成。
Ⅱ界式
五大属性(火・水・風・土・雷)のうち単一属性の魔法。
初めて属性攻防魔法が使え、大きな戦力に数えられる。
この段階には、魔法の才が少なからず必要となる。
冒険者の中位クラスや司祭クラスにならなれば扱いが難しい。
レイの発動させた魔法に含まれる鈴の音は風魔法応用だがこれに回復魔法を付与させている。
Ⅲ界式
五大属性の二種同時発動、五大属性以外の属性魔法。
火・風、水・土など違う属性を合わせた魔法の行使や、光・闇・回復・結界などの特殊魔法の行使。
冒険者高位、大司教の中でも扱える者は少ないが回復や結界などの特殊魔法に特化した人間は少なからず存在する。
そしてさらに先の段階もあるにはあるが、使える者は伝説に語られるような人物たちである。
「まぁ、おいおい話すさ。それより急ぐぞ。」
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エリネアは人口数百人ほどの小さな村である。周りにあるのはエリの森以外は草原や丘といった自然豊かな場所であるが、エリの森があるためにエリネアの外周には木でできた軽い囲いがあり、魔物の進行を止めている。
人口は少ないがエリの森の魔物を狩ったりするため初心者冒険者が多く訪れるため、商人などの立ち寄りも多くそれなりに賑やかな村である。だが、今日という日はその賑やかさは緊張感のある騒がしさに変わっていた。
最近のエリの森の様子がおかしいことから国から第3国軍とその戦士長が調査兼魔物討伐のために来ていた。そして国軍兵が森に入ってからしばらくののち、伝達兵の1人が森から出てきたのだ。その姿はすでに満身創痍であり、立っているのもやっとの状態である。そんな姿を発見した駐在兵は、すぐさまに駆け寄り助けを呼ぶ。が、それはすぐに伝達兵により遮られ途切れながらも彼に伝えたのだ。【オーガの群れがこちらに向かっている】と。
その報告から数分でエリの村にいる。すべての村にいる人たちに伝達され、戦える者は森の入り口に、戦えない者はすぐさまに避難が開始されたが間に合うわけがなかった。
森から現れた8体のオーガが村に向かって突撃してくる。手にはサイクロプス動揺に大きな木の棒を持ち、その怪力を持って振り回す。抵抗しようと立ち向かうが、村にいる主な戦力は駐在兵・初心者冒険者であるが故にその抵抗は虚しいものである。オーガによる武器の振り回しという単純にしてどうしようもない攻撃に骨を砕かれ、吹き飛ばされ踏み潰された。たとえ剣によって傷を与えても致命傷にはならず、次の瞬間には死の宣告を受ける。
1体を相手にすることすら困難な魔物であり、数人で相手にするにしてもきちんとした技術を持ち合わせなければならないほどの脅威を持っている。そしてオーガに敵わないとわかれば我先にと初心者冒険者たちは逃げだす。
それを追いかけるように村の柵すら容易に破壊し、歩みを止めずに進みだす。1人でも多くの人を殺すため。狩りを楽しむために未だ逃げ遅れた村人にその脅威を振るわんとする。
オーガによる武器のふりおろしが1人、また1人と遅い多くの血だまりができ、村は一瞬にして悲惨な光景に変わる。
『肉体強化Ⅰ』どこからか聞こえた声。
そして再びその脅威が振るわれようとしたとき、ガキン・・・、その攻撃は遮られる。そこにはオーガの一撃をかろうじて受け止めるエリカがいたのだ。『肉体強化Ⅰ』により活性化された姿は青い光が体全体を覆っている。オーガの攻撃を退けるために力を込めるとそれと同時に青い光も濃く発光する。
「はぁああああ!」
バンッ!と大きな音を立てて、押し返された勢いによりオーガがバランスを崩して倒れる。だが押し返したエリカは追撃する余力はなく、青い光もさきほどまでの濃い色も消え失せ今にも消えそうなほどに弱々しくなっていた。
「は、早く逃げてください・・・こ、ここは私が食い止めます。」
「で、ですが・・・そのお体では・・・」
「良いのです、さぁ早く!」
エリカの声に村人が最後に感謝の言葉を述べてから、直ぐ様その場を離れる。そしてこの場に残るエリカにたいし、起き上がったオーガは怒りをあらわにしたまま襲いかかる。すでに『肉体強化Ⅰ』も終わり、立つことすらできないエリカだがその目に恐怖はなく、最期まで戦うために剣だけはしっかりと握られていた。
その決意虚しくその脅威は飲み込む。
ドン!という音がエリカの目の前で起きる。
「・・・え?」
エリカにあたる瞬間、オーガはその脅威を止めていた。いや、正確にいうなら、いつまにか巻き付けられていた鎖のようなものによりがんじからめにされておりふりおろされるはずの武器にさえ鎖が絡み、完全に制止していたのだ。よくみれば胸のあたりに黒い渦のようなものができ、鎖はそこから出てきており、最後にはまた背中側に出来た黒い渦の中に消えていた。
「『鎖縛』×『重縛』×『次元共有』」
その光景に再び唖然としていた。周りを見渡すと、他の6体も同じように鎖により動きを止められ、鎖が異常に重いのか、足元の地面が少し陥没している。
そして最後の一体が今まさに鎖により、動きを止められる。
「おいおい、村を見つけた途端にいきなり飛び出して行くなよ。
俺が拘束しなかったらあんたホントに死んでたぞ?」
そういうレオの片手の上にはオーガにも現れた黒い渦があり、そこからオーガを止めているものと同じ鎖が出ておりしっかり握られていた。逆側の手に激滅の鉄剣が握られている。
「こ、これもレ、レオさんが? いえ、レオさん以外にこの場でこんなこと出来る者がいるとは思ってもいないのですが。
(この魔法はいったい、何界式の魔法なのかも検討がつかないなんて)」
「さて仕上げだな。まとめて一気に仕留める。
『雷派纏鎧』!」
レオの魔法が発動する。体からバチッと音がなると一瞬にして膨大な雷を見に纏った。エリカは目の前での光景に心のそこから畏怖を感じながらもどこから美しさすら感じるレオの姿に見とれていた。
鎖へと一瞬にして伝わったその膨大な雷は8体ものオーガを焼き殺し、その目から完全に生気を刈り取る。それを確認したレオはすべての魔法を解除すると、オーガは同じでタイミングで地面に倒れ、レオの手にもっていた鉄剣は今回は砕けることなくそのまま残されている。
「これで依頼達成だな。」
「レオ、あなたは本当に何者なのですか?こんな魔法、界式の段位すら検討が・・・」
「今のは魔法ではありませんよ?
魔法の先、魔導によるものです。」
「魔、魔導? って、それは伝説に語られるような位置。
Ⅳ界式の魔法だというのですか!?」
「あんたさっきから驚きすぎだ。心臓発作とかで死ぬんじゃないのか?
あとレイ、そっちはどうだったんだ?」
「はい!森の中に残されていたエリカさんの部下たちだと思われる方たちは出来る限りの治癒魔法と結界をはり安全を確保してます。」
「よし、これですべて完了だな。」