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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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45.ターゲット

どろどろ、どろどろ

レオたちを出迎えたまだ幼さが残るエルフはドレスの両端を摘まみながら綺麗なお辞儀を見せる。


「申し遅れました。私はウェルフィナ国第一皇女、マリフェリタ・トゥ・ウェルフィナ。長いのでマリとお呼びください」


マリに合わせマユナとティアナが前に出る。


「ならば我々もだな。パストーゾのティアナだ」

「同じく、パストーゾのマユナ」

「改めてよろしくお願いする」


ティアナが手を差し、レオがその手をとり握手を交わす。


「俺たちも改めて自己紹介だな。俺の名前はレオ、レオ・スフィアだ。で、こっちの小さいのが」


レイは一歩前に出てお辞儀をする。


「レイ・キューレ。レイとお呼びください」

「そっちの赤髪と黒いのが」

「いきなり雑すぎませんか!?」


一言レオに抗議をいれつつエリカとクレイがあとに続く。


「エリカ・A・マルベス。よろしくお願いします」

「クレイだ。私は主の命に従うだけだ。馴れ合うつもりはない」

「クレイ、仲良くしろよ?」


レオの一言に小さく頷き、まるで執事のように丁寧で綺麗なお辞儀をする。


「皆様、よろしくお願い致します」

「えぇ、こちらこそ」


笑顔のままマリが答え、一通り自己紹介が終わると笑顔から真剣な表情へと変わる。


「ティアナさんこの方たちに【現状】の説明は?」

「時間がなかったためにまだだ」

「わかりました。ならばまたいつもの場所をお借りしても?」

「あぁ、構わない」


マリの案内で着いた場所は半径10mほどの円形状の建物であった。

二階はなく、入ってすぐにあるのは広い机と椅子たちである。さながら作戦会議室だ。

マリを中心に左右にティアナとマユナが控える。レオたちを席に促し全員が座るのを確認し、一呼吸置いてマリが話を始める。


「まずは依頼を受けていただけたこと感謝します。ティアナからどこまで説明を受けたかは分かりませんが、【戦力としての協力】をしてほしいという話までは最低限聞いていると思います」

「あぁそれは聞いた。だけど誰と戦うのか、何故戦うのかについては何にも聞いてないな」

「それはレオ様が二つ返事でお請けしたのも原因ですよね?」


レイのじと目を受けながらレオがばつの悪さを感じていると、ティアナが話を進める。


「ごほん、我々からしたら二つ返事で受けてもらえたことで長々と説明する時間を省かせてもらえたので都合がよかった。時間もさほどなかったからな」


ティアナのフォローに心の中でレオが感謝する。


「ではまず、彼女たちの事を話さなくては行けませんね・・・

皆様は、ルフィンでダークエルフを見かけましたでしょうか?」


レオたちは互いに顔を見合わせる。レオたちがルフィンに入り一週間が経っているが誰一人としてダークエルフを見ていないのだ。それを再確認すると全員が軽く首を降り否定する。


「そうです。今、この国において彼女たちダークエルフは【咎人】と【奴隷】という立場にあるのです」

「【咎人】で【奴隷】? ちょっとおかしくありませんか?

それにマリさんは彼女たちの【協力者】なんですよね?」

「順をおいて説明します。まず【咎人】についてですが・・・

彼女たちの罪は【国家反逆罪】になります」


マリの発言にエリカとクレイの表情が変わる。


「・・・【国家反逆罪】? レオさん!」

「我が主、これは・・・」


そんな二人の行動の意味を理解したマリは慌てて止めに入ろうとするが・・・


「エリカさんもクレちゃんも落ち着きましょ?

まだ話は終わってないでしょ?」

「それに心配いらないさ。 な?」


レオが普段と変わらない様子でマリに問う。レオの様子に冷静になり、こほんと咳払いをしたマリは「はい」と答える。


「【国家反逆罪】というのは冤罪なのです。

彼女たち、ダークエルフたちはそんなことをするものたちではありません」

「では何故このようなことに?」


クレイのキツイ言葉にマリは下を向き暗い表情を見せる。


「原因は現議会長、ルルファ・ラルラが【ダークエルフの戦闘技術は国家の火種になりえる】と説いたことです」

「この国は立憲君主制とは聞いてましたが、でもだからと言って議長一人の意見に決定権はないはずですよね?」

「はい。本来ならば議長はあくまでも、話のまとめ役であり相対にたいして一方的な話にならないように誘導する役です。

ですが・・・」


マリの歯切れの悪い言い回しにクレイが苛立ち、エリカが不安を匂わせると、ティアナが話を続ける。


「ルルファ・ラルラ自体が問題ではない。ルルファにつく【精霊】が問題なのだ。ルルファについた精霊は【守護精霊】スア。ルフィンを守る結界の一角を担い、外敵を惑わす【幻影の精霊】だ」

「結界を張ってる精霊ってのは王族にしかつかないんじゃなかったのか?」

「原因は分かりませんが、三年前に突如、スア様はルルファ議長の精霊になりました。この国の精霊や妖精たちにとって【守護精霊】は最高ランクの精霊であり、守護精霊が命令すれば逆らうことなど出来ないのです」

「あぁつまり、その守護精霊がついた議長の意見を、他の妖精や精霊つきの議員たちは間接的に否定出来なくなってるわけだ」


マリが下唇を噛み締め、スカートの裾を強く握る。


「あ、あれは議論ではありません、結果報告です!

国をより良くするための話し合いではありません!【独裁】です!」


溜まった何かを吐き出すように怒りを露にする。


「で、そいつが【国家反逆罪】にした上に【奴隷制度】まで組み上げたと・・・ なんか腑に落ちないな・・・」

「ダークエルフを国家反逆罪にしたならば何故処刑という形をとらないんでしょうか? 生きていればそれこそ【火種】に成りかねないと思いますけど?」

「それは我々でもわからない。だが制度が引かれたのは二年程しか経っていないが半数以上の同士達が捕まっている」

「・・・ダークエルフとは今まで持ちつ持たれつの関係を保つことで私たちは共存してきました。おそらく処刑をすることで他のエルフたちからの批判を避けたのでしょう」


どうにか落ち着いたマリは静けさを取り戻している風ではあるが、言葉の節々にはまだ怒りが見え隠れしている。


「で、俺たちは何をすればいいんだ?」

「ルルファ議長の狙いを暴くこと。そして最悪の場合はスア様の、無力化です」


国を守る【守護精霊】の無力化。やっと知らされた依頼内容は常人の域を越えたものであった。

あ、パストーゾは部族名です

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