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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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41.切り札

自分の表現力の無さが恨めしい(TДT)

残り一人となったティアナは違和感の正体を必死に探り続ける。


「余裕のつもりか・・・」


実際にそうなんだろうと思った。どんなに【弓】自体の性能が良かろうと、そこに【流】による常人の二倍の連射が加わろうとティアナの魔力には限りがある。このままには何も発見できなければ魔力が切れた時点で敗けが決まる。負けてはならない試合ではないが・・・


「(このままでは私だけじゃなく他の皆もこの程度だと思うだろう・・・ それは何としても避ける!)」


決意を新たに攻撃の手数を減らしながらもレイを観察する。佇むようにこちらを見てはいるがレイからは手を出してこないこと。唯一攻撃したのはマユナへの風の魔法であること。


「(あれほどの魔法を【一言】で発動されては無理に近寄れない。

それにこの距離でも理解できるほどに魔力が桁違いに大きい。

・・・桁違いに大きい? ならなぜ・・・?)」


ティアナの新たな疑問、それはマユナの魔法斬りである。レイの魔力からすればマユナが簡単に手が出せないほどの魔力を込めることが出来たはずだ。なのにそうではない。意図も容易く切り裂かれたのだから。


「(マユナを油断させて確実に倒すためか? いや、違う。

例えそうだったとしたらマユナはあの場面で倒されていたはずだ。それとも倒すつもりはなかった? いや、これも違う。

だとしたら何故とどめを刺そうとした?

最初からそれだけの力を込めれたはずなのに・・・)」


何か、何やら一つの答えに届きそうなのに届かない。そんな焦れったい気持ちが込み上げる。だが時間は、相手はその努力を許してはくれない。


「そろそろいいですか?」


レイの声により現実に引き戻される。


「荒れ狂う火よ『業炎』」


巨大な火の玉が出来上がる。『火球』の上位互換に入る魔法であり、『火の魔法』の重ね掛けによるⅢ界式の異例種である。


「くっ!?」


容赦なく放たれた魔法はティアナに襲いかかる。


「さぁどうします?」


ティアナは賭けに出た。襲い来る『業炎』を避けることは出来るが、避けた先で追い討ちをされれば今度は直撃だろう。ならば迎え撃つことで威力を殺すほうがダメージは少なくすむ、と。

そしてもうひとつ、疑問の答えを出すために。


「あはぁああああああああ!」


先程までの速射優先とは違い『業炎』を迎撃できるギリギリまで魔力を練り込ませる。放たれた矢は炎とぶつかりせめぎ合うが、最後には矢が火を呑み込み、完全に打ち消す。矢はそのままレイの方へ飛び、レイは矢を【避けた】。


「え? っ!」


小さな声をあげたのはティアナだった。自分の放った矢は確かにレイの方へ飛んだ。だが、それはレイの横を通る軌道であり、直撃する軌道ではない。にもかかわらず、レイは半身になった。まるで矢を避けるように。


「(今ので【仮説】が立てれた。あとは・・・)」


『業炎』を撃ち抜き、再び速射優先の攻撃に切り替える。だが今度は一度に二本の矢を同時に放つ。狙いは・・・レイの左右である。一歩でも左右にずれれば当たりかねないほどギリギリまで調節されていた。レイは軽く苦い顔を見せる。


「我が護り手『魔障壁』」


矢と自身の間に魔方陣が縦に浮かび上がると、それが矢を破壊する壁の役割を果たす。


「やはり・・・ あなたは何かしらの方法で我々の視界を歪めていたのだな。だから、それだけの魔力と魔法がありながら一撃一撃の威力が低下していた」


『魔障壁』で矢を破壊したのが何よりの証拠になる。もっというならばあの場面でじっとしている以外の選択肢を選ぶことがまさに【認識阻害】の証明になるのだ。


「魔法の【同時展開】はさすがの妖精でも難しいというわけだな」

「気づかれちゃいましたか。ですが、どうします?

分かっても貴方には【これ】をどうにか出来る策があるんですか?

見たところ残り魔力も少ないみたいですが」


そうティアナの魔力の残数は少ない。


「(『業炎』にかなり魔力を持っていかれた。同じくらいの一撃を射てるかどうかも怪しいぐらいに・・・

それに【認識阻害】が分かってもキチンとした位置まではわからない。けど・・・)」


ティアナは腰の短剣、黒曜石の弓の順番に自身の武器を確認する。そして小さく頷くと意を決める。


「(これしかないならこれで行く。これが今、私にできる全力!だ)」


最後の攻防を予感させる小さな間。先に仕掛けたのはレイだ。


「侵略するは爆炎、加勢するは旋風。旋風は竜巻へと変わり、爆炎すら呑み込め!『火爆旋風』」


レイの詠唱が終わる。すると目の前には炎が広がり、同時にその頭上では小さな竜巻が次第に大きさを増し、最後には炎を取り込んだ爆風を伴う火柱が出来上がる。旋風の温度は1000℃を越える。

だがティアナは驚くことはない。


「想定の範囲内・・・ではないが、やることは変わらない」


自身の魔力を根こそぎ注ぐ勢いで魔矢を作り出す。『業炎』の時と同じく迎え撃つ。


「はぁはぁ・・・ ありったけの魔力を注いでもあれは止めれない・・・」


ティアナの言葉通り、魔矢と『火爆旋風』がぶつかり合うがせめぎ合うどころか矢すら呑み込まんとする勢いである。数秒持てばよいだろう。


「これで終わりです」


レイが最後のだめ押しに魔力を上乗せしようとする。


「!?」


次の瞬間、レイの目の前に赤い光が見える。レオたち、観戦者側から見ればその正体がすぐにわかった。先程までとは異質な魔矢である。


「正確に私を!? 一体どこから!

いえ、ですがこれを防げば・・・!」


そう、赤い魔矢は正確にレイを貫く軌道を描いていた。さらにいえば矢は『火爆旋風』がある正面から突如現れたのだ。

レイはすぐに『火爆旋風』を独立させ、『魔障壁』展開する。


「(『火爆旋風』はあのままでも押し勝てる。なら、こちらの矢を完全に止めてしまえば文句なしの勝ちです!)

重層なる盾、『多重防壁』!」


『魔障壁』が一枚の盾であるならば『多重防壁』は言葉通り複数枚の『魔障壁』を掛け合わせさらに強固になった防御魔法である。レイが瞬時に展開したのは5枚、高位の魔法師でも短縮詠唱で出来るのは多くても3枚程度である。


「これで! ・・・え?」


この戦いが始まって初めてレイの気の抜けた声が響く。その声を聞き口許に小さな笑みを浮かべる人物がいた。そうティアナだ。

ちょっと中途半端だったかな?

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