2.初めての依頼と報酬
前書き・・・いったい何を書くのが正解?
え?正解とあんのこれ?w
「わ、私はエール王国国軍第3戦士長 エリカ・A・マルベスと申します。
あなたの力を拝見させてもらった上で依頼したい!
どうか!お願いがあります!この近くにある村を守ってもらえませんか!!」
「「え???」」
「あ、あんた。戦士長なのか?『視認解析』開始・・・
またか・・・表示がおかしい。おい、あんたレベルはいくつなんだ?」
「レ、レベル?いったい何のことですか?
そ、それよりも依頼は受けてもらえるのですか?
事態はかなり深刻なんです。」
エリカの顔には先ほどまでの唖然とした表情はなくなり、余裕がなっている。だがそんなエリカの質問を無視して二人は思考しながら話を続ける。
「レベルというものを知らない?まさかそんなわけ・・・
だが表示がぶれていたとはいえ見えたのはLv.26。
あっちの世界では戦士長になんてなれないレベルだぞ?」
「いえ、おかしいことではないのです。世界が変われば法則が変わります。本来であればただの人間ならその法則に逆らえずに一部変化が出るものですがレオ様の場合は、2回の神殺しの経験により肉体じたいが神のそれに寄っているだと思われます。」
「ってことはつまり本当の意味で俺は人間をやめてるってことか。」
「あ、あの、お話は終わりましたか?」
「あぁ、すまん。で、なんだっけ?依頼だっけか?
正直面倒だなぁ・・・」
「とりあえず話だけでも聞いてみましょう。それに異世界に来てしまったのならこちら側のお金も必要ですしね」
「そうだな、まぁ話だけ聞くなら損はないか。
受ける受けないは、話の内容次第ってことでいいか?」
「は、はい。どのみちこの場所から応援を呼んでも間に合わないですから、あなたたちだけが頼りなのも事実です。時間がありませんから手短にお話します。」
エリカの話をまとめる。
エール王国の東の国境線近くにあるこの森(エリの森)は昔から魔物が発生する場所であった。だが普段は森の奥、日の光すら当たらないほど深いところからは滅多に出てくることもなく、出てくる魔物も駐在兵士が倒せるほどに弱い魔物(スライムやトビ兎)である。たが最近森の奥よりゴブリンやワーウルフなども現れ、さらには先ほどのサイクロプスやオーガも森の外周付近に出てきているという。今回の依頼はその中のオーガの軍勢が近くの村に向かっているのを倒してほしいというものだ。
「ふむ、オーガの正確な数は?」
「い、いや、正確な数まではわかりませんが10匹前後だと思われます・・・
本当なら私たちだけで奇襲を行い殲滅する予定だったのですが先行隊が戻り報告を受けてる際にオーガとサイクロプスに襲われたのです・・・」
「つまり本当に正確な数はわからないと・・・
(だが妙だな・・・サイクロプスとオーガが共に行動し群れをなすような知能を持っているはずが・・・)
結局見てみないとわからない、か」
レオの質問におどおどしながらもエリカは答える。そして、そのときの状況を思い出し、自分が不甲斐ないばかりに戦場に置いてきてしまった部下たちを思い表情がさらに暗くなる。
「レオ様、この件、かなり不気味な雰囲気を感じます。
魔物の件もそうですが、このあたりいったいの魔素の流れが一点に集約しているように感じます。」
「魔素に関しては俺自身が大きく感じるわけじゃないからわからないが、そのことが本当ならちょっとまずいことになりそうだな・・・。
さて、依頼の件はわかった。引き受けてもかまわない。」
「受けてくれるのですか!」
「ただし報酬はこっちの言うものをとおりにしてもらう。」
「う、すみませんが無理難題な報酬は払えないです。金での報酬でも支払えるのは私個人からになりますので・・・」
「そう心配するな。こっちの要求は3つだ。
1つ.今、あんたの持っている剣を俺に譲ってくれ。
2つ.この件が終わったあと俺たちをエール王国の町まで一緒に連れていてほしい。
3つ.町の案内を頼みたい。
てなところでどうだ?」
「そ、そんなことでいいのですか!?
あなたの実力は先ほど見させてもらいましたが、本来なら冒険者の中でも最低でも中位、今回の件なら上位に依頼するような危険なものなのですよ?かなりの金銭を要求されても文句がいえないほどに・・・」
「俺たちにとってオーガの10匹や20匹程度じゃ大差はないし、金に関してはオーガにかけられた報酬でいい。かけられてるだろ?」
その言葉にエリカは少し困惑した表情をし、肯定としてちいさくうなずく。反対にレオは相変わらず余裕の表情であり、エリカとの見解の差より端から見ればエリカが1人で騒いでいるように見えるほどである。
「それに俺個人としてはあんたの剣のほう価値がある。
なぁそれ、どんな金属で作られてるんだ?」
「こ、これはダマスカス鋼ですよ?」
そういうレオの顔は子供のような無邪気な顔でありながら少しニタニタとした笑みが含まれていた。
「こんなもので本当によろしいのですか?」
「あぁさっきも言ったが俺にはそっちのほうが価値がある。
俺個人的な理由で強力な武器がいるんだよ。」
「(そういえば先ほど持たれていたナイフは魔力の付与が感じられましたが鉄製でしたね・・・)
わかりました。あなたがそれでいいというならもう私のほうから何か言うべきではないでしょう。
ですが、報酬はこの依頼が完了した後でもよろしいですか?さすがに今この場で剣を渡してしまうと・・・」
「もちろんかまわない。」
「では交渉?成立ですね。よければお名前を教えてもらってもいいですか?」
「そうか、まだ名乗ってなかったな。俺の名前はレオ・スフィア。こっちの小さいのがレイ・キューレ。
俺のことはレオでかまわない。」
「私のことはレイとお呼びください。間違えてもキューレとは呼ばないでくださいね!」
レオの紹介のあとレイはレオの前に出てエリカに挨拶する。何かあるのか、レイはこれだけは間違えないでくださいと念を押す。
「え、えぇわかりました。レオさんにレイさんね。どうぞ、よろしくお願いします。」
エリカは最後に深々と頭を下げる。その行動に2種類の意味を込めて。