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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
39/125

37.いい加減にしなさい

やってやるです!

なんの躊躇いもないレオの軽い返事に、フードで顔が見えずとも驚いていることは一目瞭然だった。後ろで双剣の柄を掴んで構えたままだった人物も唖然としている。

そんなこと気にもかけず目をキラキラさせ続けるレオは、弓をあらゆる角度から観察し続ける。全体的に細身でありながら使われる鉱石のおかげで折れるような心配など微塵も感じさせないほどにしっかりとしている。驚くべきは弦がないのだ。姿形から弓なのは間違いと思うが弦がないため、見方を変えれば少し歪な杖?にも見えないこともない。そんな不思議な弓を見つめながらいつものごとく『視認解析』を使い、弓を魔法による観察をしようとし・・・弾かれた。


「(クッ! 弾かれた!? それに今見えたのは・・・)」


原因を確かめるために弓を手に取ろうとした瞬間、目の前から消える。いや、正しくは依頼者が袋にしまいながら回収したのだ。

それを目で追いながら渋い顔をしたレオと依頼者の目線が合う。


「まだ、渡すことはできない。これは我ら一族に代々継承されてきた物だからな。」

「依頼は受けるって言ったろ?」

「確かに。だが、我々の依頼は力を必要とする。筋力ではなく、戦闘力としての意味合いだ。」


そう言いながら短剣を抜く。


「我らが望む力があるか見極めさせて貰いたい」

「またか・・・ なんでどいつもこいつも考えが物騒なんだよ」

「レオ様、でしたら今回は私がやりましょうか?

最近はエリカさんとの特訓ぐらいしかやることもありませんでしたし、久々に体を動かしたいですから」

「あぁなら頼むわ」

「はい!」

「ちょっと待て! 貴様!」


男勝りな女声で待ったをかけたのは、ずっと後ろで控えていた双剣士だ。


「貴様の実力を見ようとしてるのに【妖精】に戦わせて逃げる気か! 妖精いなければ戦えない腰抜けをうちらは望んでない!」

「いや、別にそうじゃないが、レイがやるっていうならそれでいいだろ? 依頼を受けるの基本俺たち二人だけだからな」

「だから貴様の力を見せろと言っているのだ! 妖精の力が強いのはある程度知っているからな! 」

「いや、だから・・・」

「腰抜け野郎ならば今回の話は無しだ!」

「・・・分かt」


プツンッ・・・

何やら嫌な音がしたと思いレオが横を見ればレイが下を向きながらふるふる震えている。両手は力強く握られ、フフフと声が漏れている。


「レオ様が腰抜け? 実力を見せろ? 何様なんですかね?」


ゆっくりと上げられた顔には大きく変化はしてないが目元まで影が落ち、小さな笑みと共に怒りが露になっている。


「レオ様は私よりも強いんですよ? ですからレオ様と戦いたいなら私を倒してからにしてくださいね?

まぁあなた達じゃ・・・出来ないでしょうけどね」


最後の台詞と共にレイから酔ってしまいそうなほど濃い魔力が膨れ上がる。ねっとりした魔力がまるで生き物のように、獣のように相手を狙っている。


「そこまでだ!」

「そこまでです!」


レオと短剣使いが同時に制止させる。レオはレイの頭に手をのせるように軽くポンポンと頭を叩く、短剣使いは冷や汗をかきながらレイと双剣士の間に立った。

暫しの静寂が起きる。そこに今度は部屋の外、廊下から駆け足で近づいてくる音が響きだす。

バンッ!と勢いよく開かれた扉から入ってきたのは、身長190㎝ほどの長身に、褐色よりも更に濃く強くした肌、長髪気味ではあるがキチンと整えられた髪に、全身をレオのように真っ黒な装備で身を包んだ男だった。

部屋に入り辺りを見渡し状況を確認する。武器を構え、レオ達に立ち向かう(ように見える)不審者二人に、すさまじく攻撃的や魔力を放ち不審者を見つめるレイ。入ってきた男からすれば状況は明らかであった。レオ達が襲われている。


「ご無事ですか、主様!奥方様! こやつらは・・・殺す!」


一番近くにいた双剣士に狙いを定め、首を狙う。手に集まる異様な気配からは死を連想させるほど強烈なヤバさを感じさせる。双剣士は一歩後退しようとするが時既に遅し。その手はいつの間にやら喉元に迫っており、回避は間に合わない。咄嗟に腕を振り払い難を逃れるが二撃目に気づけなかった。

死の腕が双剣士の腹狙う。本人を含め誰もが、腕が腹をえぐり抜く光景を見た。が、それは現実にはならなかった。


いきなりの乱入者に驚きを隠せずにいた短剣使いだが実力の差に気づく。直感と呼んでもよいものであるが、小さいながらも確信もある。


「(【人払いの結界】内に入ってきた時点で普通じゃない!)」


相手から距離を話すように呼び掛ける間もなく仲間に忍び寄る死の気配に、絶望を浮かべることしか出来い。なぜなら身体が動いてくれなかったからだ。だが目を離すことも出来ず、仲間の死を見ることしたできなかった。

故に、よく見えた。仲間の腹が腕に貫かれる【幻想】を払うかのように一瞬にして彼らの間に割って入るレオの姿が。

迫る死を難なく受け止め、そのまま軽々と投げ技と関節技の一連の流れを決め、押さえ込む。


「こら、クレイ。いきなり人様を襲うなよ・・・

状況判断は大事だと言ってあるだろうが。

あと、ちゃんとキューレと組手してないだろ?

重心が高いからこうやって簡単に押さえ込まれるだぞ?」

「す、すみません・・・我が主」

「「(あ、いや、普通はそんな簡単な話じゃ・・・)」」


そう乱入してきたのはクレイだった。変身が出来るため、街にいる間は人間の姿で行動していたのだ。街についてからはエリカと魔物退治をメインに修行をしていたため、どうにか人間サイズになっても違和感がないレベル?にまでなっている。

すると、また廊下から扉を勢いよく開く。


「クレイさん、どうしたんですか? いきなり走り出して!

なにがあったんですか!?」


慌ててクレイを追いかけてきたエリカが見たのは見知らぬ二人の目の前でレオが綺麗にクレイを抑え込んでいる姿だ。


「えぇっと、ホントにいったい何が??」

「あぁ説明するからとりあえず部屋に入ってきてくれ」


未だにクレイを抑え込んだままエリカを部屋に促すレオに、訳もわからないまま「はい」と答えるしかないエリカだった。


怒らせたら恐い(;゜∀゜)

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