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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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36.依頼人

あれは誰だ♪誰だ♪誰だ♪

ルフィン冒険者ギルド。ルフィンに構えられた、エルフ国にある唯一のギルドである。本来、冒険者ギルドは国中に地域毎や、村毎に置かれることが多い。そうすることで各区間ごとに仕分けができ、依頼内容とそれが達成できる冒険者の最低必要レベルを設定することで効率のよい依頼配分ができるのだ。ただ欠点とするならば、いわゆる田舎においての依頼の達成件数が低いことなのだが・・・

エルフの国においては、ここに国中の様々な依頼が寄せられる。そのため一日中、ある意味で賑わった場所であり、他国からの冒険者の多くはここに集まるため、旅をする冒険者の中では情報交換のうえでも重宝される場所である。

ルフィンの冒険者ギルドは建物からして他国と違う。他のギルドが酒場をイメージさせるような建物だとすれば、ここは美術館のようなイメージである。建物自体が大きな正方形をしており、全部で三階建て。その中央をくり貫き中庭がある。 四方をガラスで囲まれた小さな公園と花畑になっている中庭だ。

なぜ中庭に公園があるかといえば、それは建物自体に秘密がある。入り口が2つあるのだ。左が冒険者、右が一般用になっており、中に入れば建物中央、中庭を挟んで左右に完全に分かれている。言うまでもなく左半分はギルドになっているが、右半分は本物の美術館になっているのだ。

そして中庭を通じて互いに行き来ができるようになっている。

なぜ美術館が一緒になっているかといえばルフィンの冒険者ギルドが、他国から集まる冒険者から美術品を買い取っているためだ。

ウェルフィナでは自然を大切にするため、基本的には草木を傷つけたり、自然を破壊になるような行為は法の下で禁止されている。そのため貴金属などによる美術品が少ないのだ。そのため、ギルドが国と協力する形で様々な美術品を集め、国民に紹介しているのである。そうすることで異邦人に関しての差別を減らす目的もある。

そんな冒険者ギルドの二階に高ランク冒険者用の個室がある。Aランク以上の冒険者が自分で依頼を発行し、依頼者を待ち依頼や報酬の確認をする交渉の場だ。

二階の半分を通路と階段を除き、三分割したように作られた部屋だけありかなり広々と作られている。どうやらギルド長の執務室よりも良い部屋にされているらしく、ソファや机も良いものばかりである。そんな部屋の一つにレオとレイの姿があった。

ルフィンで活動を始めて一週間あまりが経ち、レオは最近日課になりつつある依頼人待ちをしていた。レオが発行した依頼受け付け内容は以下の通りである。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

発行者 :冒険者ランクA、レオ・スフィア


依頼内容:なんでもあり(報酬による)

ただし複数同時による依頼の際は報酬が良いもの優先

報酬 :・新旧問わずの製錬器具(武器や工具など

・鉄より上の金属または鉱石 など・・・

これ以外の報酬提示ならば依頼内容確認時に交渉


受け付け時間:午前、午後の二回(早い者勝ち、予約あり

ただし午前の依頼内容次第で午後は休業

交渉場所 :ギルド二階、高ランク専用待機室


詳しくはギルド一階、一般受け付けにて

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あれからもう一週間か・・・

なかなか期待したような依頼はないなぁ」

「まぁそれでも簡単な依頼ばかりで、なおかつ評判も良かったですし、そろそろ大きな依頼があるかもですよ?」

「まぁ初めての依頼が依頼だったからな~」


初めて依頼を発行した日の午前は依頼人など来る様子もなかったが夕方に一人、依頼者が現れる。内容な水路の妨げになっている石をどかす手伝いをしてほしいとのことだった。報酬は使い古された鉄鍬と新品同様の鉄ナイフだったがレオは初めての依頼ということで引き受ける。

水路に行けば、確かに一般人だけでどかすには苦労しそうな石、というより岩が3つ4つ水路をほとんど塞いでしまっていた。レオは重力魔法を使い岩をどかせる。作業自体は短時間で終わり、驚きの表情を示したままながらもかなり感謝された。


「あの時、ふと思ったから聞いてみただけだっだが・・・」

「【なぜ妖精や精霊に頼まないのか】、ですよね?」


レオは依頼完了の手続きのため、ギルドに戻った際に依頼者に先程の質問をした。そのとき一瞬話すのを渋ったのだが苦笑いを浮かべながらも簡単にだが説明を受けた。

この国は妖精や精霊と共存してはいるが、妖精や精霊と協力を得られるのはその中でもほんの一部に過ぎないのだ。妖精や精霊も人間に協力してはくれるが、それはあくまで、【自分のテリトリー】や【自身が認めた人物】に関してのことだけであり、それ以外のことでは動くどころか姿すら見せないことも多いらしい。

エルフの国民でも妖精や精霊を見たことない人は多数いるらしく、だからこそギルドの依頼は絶えずあるのだ、とのこと。


「妖精や精霊も人格を持った一つの命ですからね」

「仕方ないことなんだろうがな。だけど【選ばれなかった】奴らと【選ばれた】やつか・・・

なんかこの国、思った以上に内面はどろどろしてそうだな」


そんな中、ふと、部屋の空気が変わる。


「・・・レオ様」

「あぁ・・・」


この部屋だけではない。いつもなら一階から聞こえてくるはずの騒がしさが息を潜めている。静まりかえった建物、そこに響く複数の足音。扉から入り、階段を上り、最後にはレオたちがいる部屋の前で音がやむ。ゆっくりと開かれた扉から二人の人物が入ってくる。

背丈は共に同じくらいで、全身をマント、といよりローブ近いもので隠し、顔はフードを深々と被っているため確認できない。警戒しているのか慎重な足取りでレオたちに近づく。

近づく際にローブが動き、少しばかり相手の装備が見える。一人は布に覆われた何かを肩に掛け、腰には短剣を指し、もう片方は身軽な軽装で腰には双剣を差す。

レオもレイも明らかに怪しい奴らが入ってきたにも関わらず、特に警戒した様子もなく座り続けている。


「ほぅ、警戒しないのか?」


静かな部屋に凛々しい女性の声が響く。短剣を持つ方だ。


「何かするつもりならとっくにしてるだろ?

この静けさのようにな。」

「確かに・・・ まぁ場合によっては【何かしら】が起きるかも知れないが・・・」


その言葉を言いながらローブの二人は腰の剣に手を掛ける。


「はぁ~、で、用件は?」

「依頼を受けてほしい。報酬は・・・これだ」


肩から降ろし見せた布の中身には一つの弓が入っていた。真っ黒でありながらも光沢により綺麗に磨かれたそれは芸術品とも言えるものだった。


「これは我ら一族に継しょ・・・」

「引き受けた!」

「え?」


そんか間抜けな声が未だ静かな部屋に響くのだった。


ペロッ・・・これは・・・




新キャラ!

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