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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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34.エリカ特訓する〜組手編~

さてこれで一応特訓が一通り終わります!

お昼休憩後、午後からの組手は普段レオたちが行っている組手に参加するという形だった。

ただし、エリカは強化魔法を含むすべての魔法を、キューレはスキルを、レオは遠中距離魔法を禁止するルールを加えてのバトルロイヤル形式である。もちろん、気絶した相手を攻撃または盾にするのは禁止だが、道場内の環境もあり、キューレに関してはかなりの暴れっぷりである。


「レオ、それにしてもエリカの魔法を縛るのはダメなんじゃないか?」


軽く額に汗をかき、壁に立ったまま軽くもたれるキューレが、同じく軽い汗を流すレオに話しかける。レオは少し乱れた呼吸を整えキューレの横に座りながら答える。


「魔法の訓練を始めたから今までの魔法の癖をある程度、抜いときたいんだよ。目標は『肉体強化』を【圧縮】を使って意識しなくてもできるぐらいにはな。」

「あぁ~、だから今までの魔法の感覚を思い出すようなことはしたくないわけか。」

「まぁ最終的な完成形はエリカ自身で組み上げるしかないけど。

それに・・・素の状態でも多少なりとも戦えないと不意打ちや魔法が使えない、武器がない何て時に戦えませんじゃ離しにならないからな。」

「そりゃそうだ。いつでも正面から戦いに来るような馬鹿正直なやつは倒すのもいなすのもやり易いしな、あいつみたいに」


そういうキューレの目線の先にはまたもや逆さまの状態で壁にぶつかり転がったままのエリカの姿だった。ぜえぜえと肩で息をし、全身からすごい量の汗を流しながら目を回している。


「30分であれか、やっぱ強化なしじゃ話しにもならないな。」

「そういうなよ、キューレ。それにバトルロイヤルは実践時の動きに近いから、良し悪しが見れる。」

「エリカの悪いところは、やっぱ馬鹿正直なところか?」

「まぁそれもある。敵の隙をつくことは出来ても、バックアタックに躊躇いが見えるから、そこは直さないとな。

あとは、戦いのスタイルが曖昧な部分がある。」

「早さを売りにしてるのに、困ったら力業になるところだろ?」

「そう、技で対象できない超近距離においては、かなりその傾向があるみたいだ。」

「けどそれに関しての改善は難しいんだろ?」


キューレの最後の問いにがっくりと首を落とすようにして下を向いたレオはため息混じりに答える。


「そうなんだよなぁ~。今ここにエリカに剣術を教えれるやつが1人もいないんだよなぁ。」

「お前は剣を使うが【剣術】を使う訳じゃないんだったか?」

「俺のはあくまで【繋ぎ】の技で、剣一本に絞った闘い方じゃないんだよ。基本は見よう見まねだし・・・」

「エリカにたいして【力業】って言えないくらいに、魔法頼りの力業だもんなぁ?」

「うぅ~、はぁ~。結局のとこ、最後は全部エリカ次第になる。」

「ならあたしたちがやれることは・・・」


キューレが壁から離れ、レオが立ち上がる。


「一つでも多くの選択肢を無くすこと、そして一つでも多くの選択肢を残すこと。」

「言ってることがメチャクチャだよな」


笑いながらレオが答える。

だが実際にはそれしか出来ないのも現状である。数多の選択肢からエリカに合わないものを片っ端から消していき、エリカに合うものの中から、エリカ自身が望むスタイルを選択できるくらいに選択肢を残す。


「さて、休憩も終わりにしようか」

「そうだな・・・ エリカ!いつまで寝てんだ!

今度はあたしと一対一だぞ!」

「うぅ~ん、ん?」


目を覚ましたエリカはキョロキョロ辺りを見渡し、自分の状況を理解し始める。逆さまの状態から起き上がるが寝起きのせいなのか身体が軽くふらついているようだ。


「す、すみません。まだやれます!」

「よし! さすがに根性だけはあるな。

あたしとの一対一だから気を抜くなよ?」

「はい、いきます!」


再開された組手は、エリカの状態に合わせキューレが手を抜いたりもしているが、基本はできた隙に躊躇無く攻撃を入れ視野の狭さと弱点の克服をメインにしている。


「(今はまだ基礎を徹底する。エリカの剣術はおそらく、女性が使用することを考えられていないんだろうな・・・

だから筋力で劣り、ガタイで劣る部分を魔法とエリカ自身の才で賄おうとしている。)」


隙をつかれながらもどうにか避け、受け続けていたエリカをキューレの拳が次第に当たり始める。避けきれず、受けても押し込まれ体制を崩され、次の攻撃を受けてしまう。


「(この流れは魔法が使えないから起きてるんじゃねぇよ?

エリカ、あんたも少しずつでも理解できてるだろ?)」


手数が次第に落ち、避けることすら出来なくなり、最後には足すら動かせなくなり棒立ちになる。


「(もう、腕が上がらない・・・

こんなに魔法に頼りにしてたなんて思いもしなかった・・・)」


数分、エリカが素の状態で戦える時間、余りにも短い時間。

そんなエリカの状態を理解しているはずのキューレが、容赦のない一撃を放つ。容赦のないとは言ってもこの場において死ぬようなものではないが、殺気を込めているために威力以上の拳には感じられるだろう。


「(よ、避けないと・・・足が!?)」


すでに余力はなく、足も言うことをきかない。

ならガードを、と腕をあげようとするが咄嗟に考えを否定する。


「(今の状態じゃ受ければ確実に落とされる!

でも、避けるにも足が・・・)」


足に力を溜めれば溜めるほど鉛のように重く、動かせないと実感する。それでも避けないと! そんな意志が駆け巡る。


スッ・・・ぽふん


拳が当たったはずのタイミングでなんとも気の抜ける音が鳴る。

気づけばエリカがキューレの胸の中にいた。避けようと意思を持ち続けた故に、全身に力が入らない故に、力んだ力を抜くことで偶然にもキューレの拳を避けることに成功したのだ。


「え、あ、す、すみません!」


不可抗力とはいえキューレに飛び付いたのだ、急いで離れようとするが当然力は入らず、離れようにも離れられない。


「ぷっ、アハハハハ」


キューレが笑い声が響く。


「レオ、見たかよ! アハハハハ

あんなのであたしの拳を避けやがったよ、アハハハハ」


何かやら上機嫌なキューレは、そのままエリカを抱える。

エリカ自身もまだ何が起きたか分かっていないのだろう。

まさに柔の動き、流れるような静の動き、そしてそれはエリカの身体にあった動きに見えた。


「偶然の産物、(いや、【覚醒】の影響か?)何にしてもこれでひとつ、試してみる価値がある物を見つけたな」


でもここからが本当に大変なのだとエリカを除く二人は理解していた。

やっと次からエルフの国に!


行く予定です(予定です・・・)

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