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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
35/125

33.ちょっと一息

生き抜きも時には大切

エリカの叫び?声から大小合わせて十数回の爆発音と激突音が聞こえて、とうとう20回目になろうかというタイミングでパッタリと音が止む。それを合図にしたかのようにレオは二階へと続く階段に目を向けると、レイに肩を借りるように?降りてきたエリカが目に入る。その視線をゆっくり下に下げれば、肩を借りているのではなく完全に背負われているのがわかるほど、足が浮いていた。


「お疲れさん。大丈夫・・・ではなさそうだな。」

「はい、ちょっとやけになった感じで・・・」


レイはぐったりしたままのエリカをソファに寝かせながら答える。


「まぁ、あれだけドンバンと音が響いてたからな~

でも、降りてきたってことは一応今日の分は終わったんだろ?」

「はい、とりあえず感覚だけは掴んでいるようなので・・・」


所々汚れたエリカを見ながらレイもレオも苦笑いを浮かべる。


「よし、なら時間もいいし昼にするか。

用意はできてるから外にでも行くか? いい天気だし」

「私はいいんですけど・・・」


レイはエリカを見ながら言いよどむ。


「だ、大丈夫です。行きましょう」


体をゆっくりと起こしながらエリカが返事をする。

エリカが動き出すのを確認しながらレオはキッチンのバスケットと手鍋を取りながら玄関?に向かう。


「(クレイ、飯にするから一度側道に寄ってくれ)」

「(わかりました、我が主)」


結局クレイという名前になってしまった魔馬?との念話で指示を出し、完全に止まってから外に出る。

外は進行方向右側に小さな森、逆側に平原といった場所である。通常の馬であればエール王国から半日近くかかる位置になるのだが、クレイのおかげで数時間に収まっている。


「思ったよりもかなり進んだんですね。」

「そうなのか? まぁ普通に馬に比べれば倍近い速度かもな。」

「それでもまだ全力じゃないんですね、クレちゃん?」

「(主の命で力を抑えていますから)」


さて、といいながらレオは近場の開けた場所に向かう。


「『創製-木-』」


さらっと魔法を唱えたレオにより、木が形を変える。気づけば簡易な木製の椅子やテーブルが出来上がっていた。そこに持ってきたバスケットと手鍋を置く。


「あとは食器、と。『次元収納』」


最後に食器を3人分、テーブル並べて下準備完了である。

準備ができたのでレオが適当に椅子座ると、後に続くように2人も座る。

バスケットの中身は、簡単なBLTサンドやバケットなどのパン、手鍋の中には簡単なスープが入っていた。各々が好きなものを取りこれで準備万端。


「うんじゃ、いただきます」

「「いただきます」」


手を合わせていただきますの挨拶が終わったのでみな好き好きに食べ出す。

さっきまでぐったりしていたエリカもサンドイッチなどの消化が良いもの食べ、体が次第に食欲を取り戻すと、まるでさっき使ったエネルギーを補給するといわんばかりに食べ始める。

レオとレイはそんなエリカを見ながらひとまず安心し食事を始める。


「あ、そうだ。クレイにはこれな」


レオからクレイに渡されたのは魔石であった。クレイは馬の状態から体の一部を変化させ、触手のようなものを伸ばし魔石を受け取ると体の中にそのまま吸収する。


「クレイさん?の餌、といいますか、食事は魔石なんですか?」

「(正確にいうのであれば魔石ではなく、その中にある魔力と邪気です。

あと、私のことはクレイと呼び捨てでかまいません。)」

「そういえばクレちゃんはどうしてさっきから念話なのですか?」

「(私が普通に話をすれば周りの者にいらぬ誤解をされかねないから、と主が)」

「まぁ今は力の制御も中途半端だからな。

あ、そうだ。今のうちに言っておくけど、エリカの特訓の中に魔物との実践もあるんだが、クレイの成長も兼ねて一緒にやってもらう予定だからよろしく。」


道場では対人訓練しかできないため、魔物などの普通とはかけ離れた相手と戦うことも必要である。なので旅の資金確保の名目と一緒にクエストや野良魔物狩りすると同時にクレイのレベル上げと実力の確認をしようという考えである。


「ところで気にはなっていたんですが、クレイさんっていつからレオさんと一緒に?」

「うん? エール王国を出る前日に俺が生んだ」

「う、産んだ!?」

「レオ様、言葉は正確に使ったほうがいいですよ。

クレイはレオ様が【作った】唯一無二の魔物なんです。」

「魔、魔物をつ、作れるんですか!?」


もうリアクション芸人にでもなれるのではないかと思わせれるほどに、何度目になるかもわからないエリカの驚きの声が響く。


「こっちの世界じゃ知らないが俺のいた場所では、ビーストテーマー、魔獣使いってのがいて、そいつらの技術に魔獣同士を掛け合わせて新たな魔獣を生む【魔獣融合】ってのがあるんだが、それ自体は魔法の延長線上だからな。見れば覚えるわけで。それを使わせてもらった。」

「・・・・あれ? でも、魔物はどこから?」

「エリカ両手を出しくれるか?」


言われるがまま手を出したエリカにレオはその答えを渡す。渡された物は見たことないほどの大きな魔石が2つであった。それぞれこぶし大の大きさはあり、ずっしりと重い。だが不可解なこともあった。普通の魔石は全体に黒ずんだ色をしているのだが、今受け取ったものは半透明というべき魔石でまるで抜け殻のようである。


「あの、これは・・・魔石、ですよね?」

「そう、それは、エール王国に進行してきた魔物の親玉である【ディラハン】と【エティン】から出てきた魔石の成れの果てだな。」

「いったいどうしたらこんな・・・」

「初めてオーガを倒した際に出てきた8つの魔石、そのうちの1つを売らずに持って帰ってな。エリカと再開するまで少し時間もあったからいろいろ魔石について調べてたんだよ。もしかしたら魔石自体が俺の魔法の【燃料】になってくれるかもと思ってたし。

で、結果から言えば魔石の中にある邪気が【各魔物の固体情報】になってることがわかったわけだ。」

「固体の情報が残っているならばそれを元に受肉させれば再び魔物を呼び出せるとレオ様は考えたわけです。」

「えっと、つまり、倒した魔物を復活させて【融合】させて出来たのがクレイ、ってことなんですね。」


レオの説明に納得しているエリカではあるが、「魔物、なんですよね」とか「でもレオさんがいますし・・」とか一人ごちっている。


「勘違いさせないように言っとくがクレイが勝手に暴れ回るようなことはないぞ。それに契約により魔物ではなく【魔獣】という区分になるから主に絶対になってる。」

「(主は私の主であり、父上なのです。なればそこに迷惑がかかるような行動はするはずがありません。)」

「そう、ですよね。・・・勘違いしてすみません。これからよろしくお願いしますね」

「(こちらこそお願いいたします。皆様)」


エリカとクレイは握手?を交わしたのだった。


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