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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
33/125

31.エリカ特訓する〜説明編~

ここから始まる

レオに促され二階に上がる二人を待ち構えていたのは、和風の部屋であった。一階を洋風というか現代風に見るならば、こちらは和風、とはいっても畳があるわけではない。ここは特訓をする場所であるため、その作りは道場と表現した方がよいだろう。木をメインに、床から天井に至るまで綺麗かつ、丁寧に作り込まれている。床にはワックスが掛けてあるのか、窓から入ってくる外?からの光で艶々ピカピカしている。


「広いですね」


そう言いながら壁を触ったエリカが真っ先に違和感に気づく。


「? 壁の木に触れる前に何か見えない物に阻まれるですけど・・・」

「おそらく、この部屋全体に衝撃吸収用の結界が張ってあるんだと思いますよ。これからの特訓には必要ですから」


エリカは予想以上に柔らかい結界を少し楽しそうにポヨポヨと押しながら聞いていたが、レイの最後の発言に顔色が変わる。


「えぇと・・・、聞き間違いじゃなければ、これからこの壁に何度も激突する可能性があるという風に聞こえたんですけど・・・」

「はい、合ってますよ。これからやるのはちょっとばかし強引な魔法制御の訓練と大怪我寸前までの模擬戦、さらに魔物相手の実践ですからね。

魔法に関しては私が、模擬戦に関してはキューレとレオ様が担当になります。ですが、たまには私とレオ様の担当が入れ替わるときもあると思います。マンネリが一番ダメですからね~」


最後の一言のレイの顔は、クックックと付け加えれば完璧に見えるほど邪悪な笑みが見える。あぁレイさんもやっぱりレオさんのお仲間の一人だなぁと再確認しながら、自分もあぁなるのかと少し不安に感じているエリカを他所にいつもの笑みに戻ったレイが話を戻す。


「では、さっそく今日の特訓をしましょう。

先程の軽く内容はいいましたが、今日の特訓は【魔力制御】についてやります。

エリカさんは【魔法】の発動行程を理解してますか?」

「えっと、まず魔力を【流】して、次に流した魔力を使用したい場所に【固】める。最後に固めた魔力を変【形】させてることで各能力が生まれる・・・だったと思いますけど」

「はい、流れとしてはあっています。もう少し詳しく話すならば【流】→【固】→【形】の流れの中、たとえば【固】と【形】の間に完成された魔方陣を経由することで【固】と【形】を同時に行い、短縮することができます。そうすることで魔法発動を速くできます。

極端な話になりますが、レオ様がまさにこれの代表例ですね。

(ただレオ様に至っては【完全魔術式保存】により大半の魔法は【固】と【形】を省略できるんですけどね。)

他にも魔法の詠唱も同じく【固】と【形】の短縮になります。詠唱は歌に近い感覚ですから、最初から最後まで歌いきることで、一つの魔方陣と同等になります。なので途中で詠唱が止まれば魔法は失敗します。

これが基本的な魔法師の流れになります。」


魔法師ではないエリカにはうまく理解できていないのか、うんうんと言いながらも頭には?マークが見える。おそらくエリカ自身は理屈よりも行動を優先するタイプなのだろう。

そんなエリカを見て早速苦笑いを浮かべたレイはパンと手を叩くと本題に入る。


「今回、エリカさんに覚えてもらうのは【流】と【固】の短縮、いえ、同時発動において最高ランクの技術になる【圧縮】を、身をもって覚えてもらいます。

まずは利点から見てもらいますね。」


レイが背を向け手をあげる。お願いしまーすと元気良く声を出すと、それに答えるように床が動き始め、下から巻き藁が1本出てくる。

ポカァ~ンとしたままのエリカとは対照に満足げなレイはエリカに向き直り、右手にリンゴぐらいの大きさの魔力の球を作り出す。

レイを覆い隠さんばかりの球を維持しまま話を再開する。


「この球は、【流】と【固】までの過程で作り出したもので、まだ【形】を行っていないため属性や能力もない、ただの魔力の塊です。これを・・・えい!」


可愛らしい声と共に球を藁に勢い良く投げつける。だが実際は、そこまで速度は出ないまま藁にぶつかる。パチンッと音が鳴るも藁にはたいしたダメージは無いように見える。


「と、まぁ、これだけではあの程度しかできません。ですが・・・」


レイはまた先程と同じ球を作り出す。


「これを【圧縮】するとで・・・」


手に作り出したリンゴぐらいの大きさの魔力の球がだんだん小さくなり始める。一回り小さくなれば一瞬止まり、再び小さくなるを繰り返す。最後にはゴルフボールほどになる。【圧縮】された魔力の球からは先程とは違い、かなりの存在感を感じられる。


「これが【圧縮】になります。エリカさんならもう理解できているとは思いますが、一応差を見てましょう。」


今度は、掛け声はなく投げ方もかなり弱めである。だが藁に当たった途端に巻き藁が弾け飛び、半分ほど抉れていた。


「この二つの使用魔力量は同じです。ですが威力は見てもらった通りですね。少ない魔力でもこれ同等以上の威力を作れます。

まぁさらにここから【形】が加わりますから威力は倍以上にはなります。」

「こんなに違うものなんですか・・・」

「技術としては最高ランクですから。ではこれを今からやってもらいますね!」


いやいやと手を横に振りながらエリカが否定する。


「まぁまぁ最初から出来るわけはありませんから問題ないです。

私も全力でサポートしますから! それに最悪な事態になればレオ様に・・・」

「今さらっと最後にヤバそうな発言が聞こえましたよ!?」

「女は度胸です!」

「いや、【男は度胸、女は愛嬌】ですよね!?」

「細かいことは気にしない気にしない、ですよ」

「わ、分かりましたから押さないでぇ~」


これからが本番である。



これからが地獄(誰がとは言わない)

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