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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第二章 ウェルフィナ国
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29.新たな朝

第2章開幕だぁ!

早朝、雲一つない空は東から昇ってくる太陽により少し明るみが増していく。とはいってもまだまだあたりは暗く動き始めている者も少ない時間である。そんな中にレオとレイ、二人の姿があった。


「よし、こんなもんだな。あとは・・・」

「いいんですか、このままで?」


荷台に必要な荷物を乗せながら確認をしていたレオは一旦手を止めてレイを見る。


「その話は昨日、一応話終わっただろ?」

「ですが・・・」


二人が話しているのはエリカの件についてである。イレギュラーとはいえ、レオと正式に魔従契約を交わした関係であるため、レイはエリカを旅に誘おうと言ったのだが、これをレオが断ったのである。


「昨日も言ったけど、エリカはこの国の戦士長であり、ここに家族もいる。ならここで、生きていく方が幸せに決まってる。

なにも俺たちと一緒に旅に出る必要はないさ。なにがあるかも分からない旅だし。」

「だからといって、なにも言わずに旅立たなくても・・・」

「あいつは根が真面目でお人好しだから話をすれば何を言い出すか分からない。着いていく、なんて言われた日にはこっちが断っても着いてきかねないだろ?」


レオは肩を竦めて苦笑いを浮かべる。


「確かに、言われてみれば想像できなくもないですけどね。」

「だろ? あいつはあれで意外と無鉄砲な行動をするからなぁ」

「・・・誰が無鉄砲ですか!」


そんな声に驚きながら恐る恐る振りかえったレオの視界には、いつもの純白の鎧ではなく、鉄で作られた無骨な鎧、通常兵が装備するような物を着こみ、それぞれの肩に提げるように大きな荷物を二つ持ったエリカの姿がそこにはあった。

何かに気づいたのか、隣のレイをチラ見すれば、してやったりといわんばかりに笑みを浮かべるレイがおり、そこで確信を得る。


「やってくれたな・・・」

「こうでもしないとレオ様は会おうともしませんからね。」

「ったく・・・」


なんだかんだ言いながらも今のレオに本気で嫌がる素振りはない。


「一応確認させてくれ。 見送りに来たって訳じゃないんだよな?」


エリカの格好を見れば一目瞭然ではあるが、本人の意思をキチンと確認するために行っている。これからの旅は全て自分の意思のもとで進むのだという証明とするために。

そんなレオの問いにエリカは力強く頷く。目には力を感じられそこからも強い意思を感じさせる。


「はぁ~、仕方ないな。 今のエリカに何か言っても無駄だろうしな。

でも、軍の方はいいのか? 戦士長なんだろ?」

「はい、大丈夫です。以前別れたあとには既に手続きはしてましたから。

あとは声をいつ掛けて貰えるかと待ったのですが・・・」


レオをジト目で見ながら言葉を終わらせたエリカの表情からは明らかに拗ねた様子が分かる。


「レオ様ぁ、やっぱりエリカさんは待っていたようですよぉ?」

「だとしてもせっかちすぎるだろうに・・・ まぁこうなったら仕方ないから、今さらダメとは言わない。が!」


最後に声をあらげるとエリカをビシッと指差して宣言する。


「着いてくるなら最低限の実力、自己防衛ぐらいはできるようにしてもらう。

そのために道中にできる範囲でいろいろ学んでもらうからな!」


もちろん、エリカは戦士長にまでなった実力者である。だがここでいう実力は、あくまでもレオから見たものであるためこの世界の常識からすればかなりのハイレベルを要求されているのだ。例を挙げるならば、ジャヴァのレベルで【最低限】である。

エリカは、そんなことを露とも知らず、レオたちから鍛えてもらえるという思いがけない朗報に心を弾ませていた。


「あ、そういえばさっきから気になっていたんですが荷台はあるのに肝心の【馬】はどうしたんですか?」


今ここにあるのはレオたちが荷物をさっきまで詰め込んでいた荷台だけで、肝心の馬の姿はない。荷台事態もかなりの大きさであり、快適な旅を保証してくれそうな装いではあるが、これを引こうと思ったら最低でも馬二頭といったところである。

そんなエリカの疑問にレオは「あれ」と言いながら上を指差す。

指差した方向をそのまま見上げていくとそこには不思議な物体がいた。

球体のようなものが浮遊し、色は吸い込まれそうなほどに深い黒、周りには不気味なモヤがまとわりつき、ゆらゆらと揺れる度に色が紫→藍→黒→紫… と繰り返している。ぱっと見だけならば、某モンスターマスターのゴ○スのような姿である。ただし球体があるだけで目や口があるわけではない。

不気味な姿に少しばかり苦笑いを浮かべながらも直ぐ様、疑問の表情に戻る。それを確認したかのようにレオがエリカが再び話し出す前に動き出す。


「【馬】でよろしく」


レオを指示に反応し、頭上にいた【それ】は自分達の目線まで降りてくると、球体部分がうごめき始め次第に球体から真っ黒な馬の形に変わっていく。まるで粘土で形だけ作られたような今が出来上がる。大きさは約2~3mほどあり、横幅は人間二人分に近いほどある。最後に裏側から浮き出るように、たてがみや蹄、顔のマーキングなどが現れる。周りのモヤ自体も核の変化に合わせ大きくなり、今でも馬全体を覆っている。モヤと大きさを除けばそこには不自然なところが見当たらない立派な黒馬がいた。


「こいつは、昨日生まれたばかりのやつでな。名前もまだ無いんだが、特性は見た通りの変身能力。

人物や、さまざまな動物に変身できる。ちなみにまだ大きさは変えられないらしい」

「そ、そうなんですね」

「レオ様! やっぱり名前が無いのは可哀想ですよ!

だからこの子の名前は今日から【クレイ】のクレちゃんです!」


ドンッと自信満々に言い放たれた言葉に真っ先に反応したのは名前をつけられた張本人である。首を左右に揺らしながらイヤイヤと動かして否定する。


「クレちゃんは嫌なのですか!?」

「出来ればもう少しかっこいい名前がいい」

「「シャ、シャベッター!!」」


いきなり低めの格好いい声で喋りだしたことに驚いた女性陣といきなり大声をあげられてビクッと身体を震わせる【馬】。そんな漫才のようなことを繰り出す三人を、一人大爆笑しながら見つめるレオであった。


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