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22.偽善orめんどくさがり

レオ側ですます

キューレがバナラ山の破壊活動の最中、レオとエリカはアオチェ平原のど真ん中にいた。レオが『思覚転移』を使い数秒とかからず移動してきたのだ。エリカが一緒なのは「もう私がやることはすべて終わってますから」と、強引に着いて来たためである。


「少しは慣れたつもりだったんですけど・・・」

「一度視認し、覚えている場所であれば転移できる。

(まぁマップ機能があるから覚えてなくてもいいと言えばいいけどな)

さて、と・・・」


レオとエリカの後ろからはドタドタと大量の足音が聞こえてくる。エリカは冷や汗をかきながら足音の正体を知るために後ろを向く。それに釣られるようにレオも後ろを見る。

まぁ予想通りといえば予想通りの結果だが、オーガやゴブリンなどの人型魔物が平原を覆い隠すような大群でこちらに向かってきている。

数匹がエリカ達を見つけると下卑た笑みを見せ迷うことなく突撃してくる。それに気づいた他の魔物も我先にと向かってくる。

エリカは腰に下げた剣に手をかけ構えながら敵の動きを観察する。カタカタと剣から音が鳴っているのに気づいたレオがエリカを見れば、手足が震えていた。


「(明るく見えていても、受けたばかりの恐怖は簡単には消えてないよな・・・)」


横並びに立っていた二人だがレオはスッとエリカの前に立つと、はぁとため息を軽くつきながら魔法を発動させる。


『重連渦』


魔法の能力は発動すれば一目瞭然だった。我先にと向かって来ていた魔物のおよそ半数、数十匹を一瞬にして地面のシミへと変えながら大きなクレーターを作り上げる。あとから来た魔物もある地点を境に同じように押し潰されてる。

約百匹近くを数秒のうちに葬った魔法を警戒し、先ほどとはうって変わり、勢いは消え、警戒音を鳴らしながら距離を保つ。


レオが重連渦を解き、別の魔法を発動させようとしたとき魔物の群れの後方からガラガラと、まるで荷車で走っているような音が聞こえ、次第に大きさを増せばその正体が見え始める。

荷馬車3台分以上の大きさもある馬車のようなものに乗ってこちらに向かってくる。きちんというなら押しているのが頭が2つある2mはあろう犬が3匹がかりで引いているため犬車といったところだ。

自分が王だといわんばかりにふんぞり返り犬車に乗るのは4m以上ある巨体で、全身がまるで赤レンガような肌の色をし、頭が三つある巨人だった。

そいつが現れるや否や、ゴブリンやオーガ、サイクロプスまでもが怯えるように道を開けて出迎える。


「人間!俺の仲間「「殺したなぁ」」」

「許さない。「そうだ、許さない」」「だが待て、こいつ強い」

「確かに強い」「魔法使える」「ならどうする?」「「どうする?」」


赤巨人は自分の頭同士でいきなり会話を始める。あーでもない、こうでもないとレオ達はすでに意識に無いようだ。


「ま、魔物が喋って、いる、?」

「珍しいものじゃないだろ。魔法が使える魔物もいるからな

にしても、まさかエティンが出てくるとはなぁ」

「エティンというのがあの魔物の名前なんですか?」

「エティンは魔物の中でも知能高いやつで亜人系の魔物では珍しく、上位の魔法を扱えるやつもいる。

さて、と・・・」


未だに三頭で話を続けるエティンにキューレと同じ問いを投げ掛ける。


「なぁ、エティン!」

「「「グガっ?」」」


レオの大声に言葉に驚いたのかビクッと身体を震わせたあとレオをにらむように三頭が向く。


「お前らの事情はなんとなくわかってるけど、ここら辺で自分等の巣穴に帰ってくれないか? 俺個人的にはお前らがここで退くなら追いはしないからさ。 じゃないと戦うことになるし。」


「仲間殺しておいてそんな言い分通じない」「「通じない!」」

「人間、仲間殺す。」「巣穴居ても変わらない」「我ら生き残るため」「「「縄張り増やす! 人間事情、関係ない!!」」」


「そうか、まぁ、そうだよな・・・

(人間側にも魔物事情は関係ない、もんな)

なら、悪く思うなよ。このまm・・・」


レオの声を遮るように何かが上から襲ってくる。直ぐ様回避行動に移ったためダメージはないが、レオが元いた場所には小槌、というより石斧のような武器が地面に刺さっている。

エティンが武器を引く時、左頭が舌打ちをし、真ん中はなにやら詠唱を始める。

レオが魔力を練り始めれば、右頭がそれに反応し武器を持たない手で妨害をする。


エティンは頭それぞれに違う意思を持ちその頭に応じて動きが変わる。故に1体で、相手の魔法を妨害しつつ近距離戦ができ、その合間に自分だけが強力な魔法を放つことができる。

まず一対一では完全に不利な戦いを強いられる。

現に今、レオも魔法の発動するための時間どころか一息つく間もなくエティンの攻撃を回避し続けている。


エリカとエティンの仲間は彼らの攻防に参加することで邪魔になることを本能で理解し、手を出しあぐねていた。


「(このままだと面倒だな・・・ キューレかレイがいれば良かったけど、仕方ないか)

エリカ! 手を貸してくれ!」

「はい!」

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