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17.破魔の聖

後半戦!

神々しい姿のジャヴァに対してレオは追撃の構えを解く。


「さて、あれはヤバイな・・・(たぶんあいつと同じだろうなぁ)」


心の中で小さくため息をつく。圧倒的有利だったはずのレオが今のジャヴァに無意識に追い込まれる。

いや、圧倒的有利であったと思っていたのは端から見た者たちであり実際に攻撃を受けていたジャヴァ本人である。レオは戦いが始まってから流れは得ていたが有利にはなってない。


「決定打がないんだよなぁ・・・」


実際、レオが与えたダメージは雷槍による一撃のみで、それ以外はすべて間一髪の所で避けるか弾かれている。

だが得体の知れないと怯えている訳にはいかないために今度はレオから攻める。

武器が再び変化し扇の形になる。もっと正確にいうなら鉄扇のような形でありそれを両手に持っている。


「さてものは試しだよな!『水扇龍舞』」


レオが魔法を唱え扇を開きその場で舞うように一回りするとジャヴァの周囲に4つの水柱が正方形を描くように地面から天に向かって吹き出す。それはすぐに渦を巻きうねりを生み出し次第に龍のような形へと変わる。

レオが舞を続けるとそれに応えるように4体の水龍がジャヴァに襲いかかる。まずジャヴァの正面側にいた2体が頭から突っ込む。

ジャヴァに焦る様子はなく一体目を難なく避け、避けた先に突っ込んでくる2体目を剣で切り裂く。

水龍は抵抗なく真っ二つにされただの水へと戻る。その隙に後ろ側の二体がジャヴァを囲み、渦巻く身体を使い巻き付く。

凄まじい水量と全方位からの水圧、水流により普通なら振り回され、ただではすまないはずの威力である。

だがジャヴァはそんなものなど存在しないと云わんばかりに日銅駝にせず当たり前のように地面に立ってる。いくら水流を強くしても効果はなく、ジャヴァの一閃により二体の龍はただの水に変わりはてる。

レオが残った水龍を再び突撃させようとしたのと同時にジャヴァはさきほどの様にレオに素早く接近する。

水龍を盾がわりにするが足止めにすらならずに水に戻された。

水龍が全滅したため舞を一度止め、剣による攻撃を片方の扇で受けとめ、もう片方で攻撃という形をとる。

さながら双剣での型に似ているが扇を使っているためか、さきほどの舞が頭に残っているせいか、戦いでありながらさながら演舞である。

いつまでも見ていたいと思える光景だが終わりはすぐに来た。

ピキッ・・・という小さな音を聞きレオの顔が初めての少しの恐怖を含む驚きの表情に変えたのだ。

ここでレオはこの戦いにおいて2つ目となる初めての行動をする。

全力でジャヴァから後退したのだ。


「ガラジウムにヒビが・・・ これは本格的にマズいぞ」


ヒビが入った箇所を庇うようにさらに違う形に組み上げる。先ほどまでの近距離対応武器から完全な遠距離武器、弓へと姿を変える。ただし矢と弦は一切存在していない。

それでも構わず弓を構え弦を引く動作をする。それに合わせたように光の魔法で作られた矢と弦が表れる。


「『光弓連雨』」


弦を放し、光矢は放たれたのち、分裂し二本、四本と増えジャヴァに届くまでには十本以上の光矢の雨が降り注ぐ。

さすがのジャヴァも増える矢に顔を軽くひきつらせるが、すぐに対処に移る。剣に光が集まり強く輝きを放ち、光を纏ったまま目前の矢に向かい剣を振るう。剣の軌跡をなぞるように光の幕が出来上がり、矢は光により完全に防がれる。


「なら!『光弓極矢』』


再び構えた弓には先ほどとは違い、強光が溢れ、矢の大きさも倍以上になっている。

槍同じく貫通力をあげるため放つ前に弦をひねり回転をつけて放たれた矢はその威力を示すかのように触れていないはずの地面を軽く抉りながら突き進む。

が、剣と少しの間、競り合うが最終的には競り負ける。


「まさかと思ったけど・・・魔法を無効化してるのか、参ったなぁ」


レオの独り言にジャヴァが入ってくる。


「これが我のスキル《破魔の聖》。気づけば持ってしまっていたスキルだがの。魔法を無効化というよりは対【魔】のスキルでな。【魔】物であれ【魔】法であれ破壊する代物よ。(まぁ格上の力には効力も薄れるがな)」


ジャヴァの説明にレオは愚痴をこぼす。

「(対【魔】か・・・魔法師殺しもいいところだな・・・)」


話が終わり、ネタばらしも終わったことでジャヴァは容赦なく攻め立てる。

レオは弓を大剣に変えてジャヴァが接近する前に地面に突き立てる。


「(まずは・・・)『地剣墻壁』」


相手の進行を止めるため、レオを中心に半円を描き地面が隆起する。簡易ではあるが土壁が出来上がり、互いの視界を奪い、完全に二人の姿を消し去る。

レオは大剣を両手で構え、目を閉じ耳を澄まし集中する。ジャヴァも視界が切れたことで極力足音を消して動いているようだ。

ザッ、ザザッと小さな足音を頼りに、ギリギリまで待ち構える。


「(『地剣重牙』)


いつでも攻撃できるように構えられた大剣に魔力で岩を産み出し纏わせる。岩の塊にさえ見えるそれは端からみてもかなりの重さがあるだろうことがわかる。

大剣の準備が完了したのを感じとると目を見開き大剣をふりおろす。

ふりおろす先は正面。タイミングぴったりに土壁を切り裂いたジャヴァが姿を表した。

ジャヴァからすれば壁がなくなったはずなのに目の前に新たな壁が今度は押し潰すように迫ってきているに見える。


「さすがに気づかれたか。」


そういうジャヴァには何処か楽しそうな雰囲気を感じ、焦りはない。負傷した左腕を上げて、迫る壁に触れるように当てる。大剣を包んでいた岩は朽ち果てるようにボロボロと崩れ去る。

ジャヴァは初めてニヤリと笑うような笑みを見せるが、それも一瞬だった。次には驚愕に変わる。

岩が崩されてなお、レオの顔に笑みが浮かんでいたからだ。

岩の重さにより威力を上げた大剣がそのままジャヴァに襲いかかる。さすがにヤバイと悟ったジャヴァはすぐに剣で受けとめるが、そこにさらに異常な重さが加わる。

重力魔法を合わせ、一気に押し潰す。


「うぐっ! ・・・そう来なくては!!」

「マジか・・・勘弁してくれよ」


ジャヴァは今まで以上の光を放ち、そこに自身の魔力まで合わさり一気に解放する。パキンッと音をたてて大剣が真っ二つになり、勢いそのままにレオの左肩まで切り裂かれる。

だがジャヴァとて無傷では済むはずがなく、魔法の無効化は出来ても重さやそれに加えた重力は無効に出来ず、押しつぶれた形になるため足へ負担は尋常ではない。

だが肉体強化によりギリギリのところで倒れずに済んでいる。


「ぐふっ、やはり物理攻撃自体はどうにもならないな」

「はぁはぁ・・・腕は、なんとか動くな。」

「ダメージ的には我の方が不利だが・・・」


力の使いすぎで弱くなっていた光が元にもどる。


「これをどうにか出来なければ我の勝ちは分からぬな」

「すぅ、はぁ・・・仕方ねぇ、後悔するなよ」


レオは体全身から黒々としたオーラを放つ。よく見ればオーラに見えるのは真っ黒い魔力であり、異様な威圧感も感じる。


-闇はすべてを食らう-

あれ~?

これで終わるはずだったのに・・・

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