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16.観戦者

話自体は進みません・・・


すみません・・・

ジャヴァとレオの戦いが始まりを告げ、他の者たちは固唾をのみ見守る。


「『肉体強化Ⅲ』!!」


最初に仕掛けたのはジャヴァでありレオとの距離を一気に詰め攻勢に出た。


「初めから『肉体強化Ⅲ』か。それほどまでの相手だと思っていたのか・・・」

「へぇ面白い魔法だな。『肉体強化』による魔力の無駄な放出を押さた上で、必要な場所に必要な数だけの魔力を付与してんだな。

そうだろ? そこのおっさん。」


ノレズの呟きに対してキューレが楽しそうに問う。ノレズは少し驚きながらキューレを見ていた。


「キューレさん、見ただけで魔力の動きが分かるんですか!?」

「あ? なんだエリカ、あんたは分からないのか?」

「いえ、放出系であれば分からない訳ではないですが・・・

ジャヴァ戦士長のは体内だけで魔力を扱いますから・・・」

「なんだあれは!?」


エリカの話を遮る形でマナキスが声をあげる。話をしていた三人の目にはレオの両手にいつの間にやら半透明な双剣が握られジャヴァの一撃を受けとめている光景が映る。


「レオさんはいつの間に双剣を?」


エリカは浮かび上がる疑問を口に出す。


「あれは両手に付けられた籠手を変化させて作ってんだよ。」

「そんなことができるのですか?

ジャヴァ戦士長の攻撃を受けとめれるほどの強度がある鉱石を瞬時に加工するような技術なんてドワーフ族以外に聞いたことありませんけど・・・」

「あの半透明な鉱石はガラジウムと言われる鉱石で強度はただのガラスと同じくらいに脆いやつらしい。ただ魔力を流すことでその量に比例する形で強度をあげることができるとか言ってたかな?」

「それで武器に変化させているんですか?」

「いや、あくまで強度があがるだけで変化はしない。

変化させてるのは銀の部分に刻まれた魔方陣を使って【錬成】を使ってるらしいぜ。あたしも詳しくは知らないがな。」

「武器の【錬成】だと・・・!?

錬成は失われた技術のはずだが・・・

彼はいったい何者なんだ・・・」


キューレの言葉を聞いていたエリカはよく分かっていないらしく、ただただスゴいことだとは理解しているようだ。

聞き耳を立てていたノレズはその凄まじさを理解できていた。

この世界にとって【錬成】とは神の技術と言われるほどに特別なもので、古い書物に記載されているだけで、現在に至るまで使用者は確認されていない。世界中のあらゆる国が魔法による【錬成】の再現を繰り返し、失敗に終わっている。

ドワーフ族が使える【武装精製】が【錬成】の下位互換と言われているがドワーフにしか扱えない特殊な魔法であるため結局のところ再現できない。


彼女たちが話をしている間に戦いはさらに進展している。

レオが『炎双十華』を放ちジャヴァがなんとか避ける。そのまま槍での追撃。と、一瞬にして行われる攻防に目を離す暇はない。


「レオさんがここまで凄いなんて・・・

ジャヴァ戦士長を接近戦で追い込むほどとは思っていませんでした。」

「彼は魔法師ではなかったのか?」

「あいつは紛れもなく魔法師だよ。ただ一人ですべてをするしかなかっただけさ。」


戦況を変えるためにジャヴァは前に出て、レオは雷槍を持って応対する。雷槍の軌道を変えるためとはいえ犠牲にした左腕はズタズタに引き裂かれ雷により焼かれる。精神ダメージに変わることで傷も瞬時に治るとはいえ見ている側からすれば堪ったものではない。


「うっ!」

「ガルバのやつ、なんて無茶なやり方をするんだ!

お前ならもっと良い方法がいくらでもあっただろうが・・・」


エリカはジャヴァの左腕の傷に一瞬目をそらす。戦士長になったとはいえまだまだ半人前だということを見てとれる。

逆にノレズはしっかりと戦いを目にやけつけながらも無茶をする友に少しばかり苛立ちを見せる。だが心配する気持ちが前に出ているところも見てとれるため口調自体は強いものではない。


「無茶はしたがこれでジャヴァの距離だ。これからだな。」

「いや、それはさすがに早計だろ、おっさん。

あんたはもう忘れてるのか?」


ノレズの言葉にキューレがダメ出しをする。ノレズはその言葉を聞き、目線だけをキューレに向ける。キューレを見た途端、ゾワッと鳥肌が立った。そこには獲物を見据える獣のような眼をし、邪悪と表現するのが的確であろう笑みが浮かんでいた。

直ぐ様視線を戦う二人に戻す。そこにはキューレの言葉を証明する光景が広がっていた。

新たに姿を変えた武器により攻撃を弾かれるジャヴァと逆に無防備になったジャヴァの腹部を狙い打たんとするレオの姿である。

辛うじて避けた先には本命の攻撃が待ち構えジャヴァは剣で防ぎながも無理矢理後退させられていた。


「バ、バカな、有り得ない・・・」


声にしたのはマナキスである。戦いが始まる前の威勢などどこにいったのか、口をあけ自分の目に映る光景を必死に否定していた。


「【錬成】の件もそうだが、それよりも問題があるだろう!

なんなのだ、あの魔力量は! 戦いが始まり多くの魔力を使っているはずなのに未だに魔力量に変化が見れない・・・

見えている魔力がすべてではないのか!? いや、有り得ない!」


頭を片手で頭を抱えてながらも再び思考のなかに入っていく。


「それにさっきから使われている魔法は端から見ればⅡ界式だが威力はⅢ界式にも匹敵する。いや、武器に付与した上で魔法を放出する技術なんて聞いたこともない。

一番の疑問はあの男の【属性適正】だ。本来、【属性適正】は一人につき多くとも2種類まで、それを極めることでⅢ界式に踏みいることができる。場合によれば無詠唱すら扱える。

なのに・・・あの男は既に3種類もの属性を無詠唱にて発動させている。私が今までの知識が何一つ当てはまらない・・・

まるで今までを否定さているような気分させられる・・・」


レオとの格の差を見せられ下を向き、悔しさと怒りで唇を噛み締める。

たがそんなマナキスは悪寒を感じ直ぐ様前を向く。そこには神々しさの中にも威圧感を放つジャヴァがまさにレオの竜巻を真っ二つにした場面であった。


「あ、あれは 《破魔の聖》、なのか?」


マナキスはあれを知っている。いやこの場にいる中で知らないのはレオとキューレだけである。

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