10.お任せあれ!
平和な話
活動報告にてアンケート実施中!
よかったらどうぞ!!
エリカは重い瞼を必死にあけ、少しずつ意識を覚醒させていく。まだ頭がぼんやりしているせいか「ここは・・・?」といいながら、ようやくに目を開きったとき、明るい太陽に青空、そしてエリカの顔を覗き込むようにして見ているキューレの姿だった。
驚いたエリカは直ぐ様起き上がり、状況を確認した。どうやらさっきまでキューレが膝枕をしていたようだ。
「え、あ、な、なぜ?」と取り乱したエリカにキューレは、気にした様子はなく問いかける。
「身体に異常はないな?」
「え、あ、はい。問題ないと思います。
・・・あ、あのうぅ、いったいどうしてこんな状況に?」
「レオに頼まれただけだ。あたしがやった結果だからな。」
その言葉に少しばかりの違和感が出ていたエリカだが、納得いく理由だったので受け入れようとした時、明るい声がかかる。
「違うだろ、キューレ?
お前が心配して、自分から勝手出たんだろうが。」
トレーニングを終えたのか様子を見に戻ったのか、すこしばかりの汗を書きながらレオがそこに立っていた。
「キューレは気に入らないやつにはトコトン無慈悲だが、気に入ったやつには逆にトコトン甘いんだよ。」
「うるせぇぞ、レオ!
別にそんなじゃねぇよ!」
笑いながらも優しい声色でレオが話し、キューレは軽く顔を赤くして否定する。
そんなキューレの姿には先ほどまでの強烈な印象はなく、普通の女の子という感じである。エリカはまだまだ違和感が残る中ではあるが、認められたと思うが巡り嬉しそうだった。
それから朝の訓練を終えて遅めの朝食を取ったあとで今度こそエリカによる王都の案内が始まった。
案内といっても一日で王都をすべて回るのは不可能なので観光スポットや市場などの大きなところだけ回る。市場で多少の買い物を終えたあと、レオはエリカに武器屋の案内を頼み、「行きつけがあります」とエリカは案内し。
「ここが私の行きつけの武器屋になります。」
そのまま武器屋の中にレオたちを招き入れると、真っ先にカウンターの奥へと声をかけに行く。
レオはエリカを気にせず壁に掛けてある槍や盾、雑におかれた剣などをざらっと見渡す。多く武器は鉄を基本として使っている武器ばかりで、珍しい金属は見当たらない。一番良いものでもエリカから受け取ったダマスカス鋼の武器である。
レオが明らかにガッカリした顔をしているのに気づいたキューレは、やれやれといった感じで眺めている。
すると、奥からさっきまで鍛冶場にいたのだとわかるほどにすす汚れた1人のオヤジがエリカと共にやってくる。身長は高くはないが肉体はがっちりとした体系である。
「いつもお世話になっている、ディースさんです。この武器屋の店主であり、鍛冶師でもあります。
ここにあるものはすべてディースさんが作った作品なんですよ。」
「おぅ、まぁ好きにみていけや」
「ただちょっと口が悪かったり、ぶっきらぼうな所がありますけど悪い人じゃないですから」
エリカがディースの紹介をしている最中、当の本人はレオとキューレの何かを見極めるように観察する。レオたちもそれに気づいてはいるが嫌な顔一つせず、されるがままにしている。
初めて武器屋に来た際にこういうことはよくあることだと知っているためだ。体格や肉付き、立ち方など色んな要素をもとにそれぞれの相性の良い武器や愛用の武器が何かを知ることができるようだ。ただし全員が全員、的確に把握出来るわけでもないらしい。
「お前たち・・・」
ディースがレオたちに声をかけるタイミングでレオが割り込む。
「ここに置いてある武器以外に物はあるのか?
たとえば、ミスリルやオリハルコンとか。
出来れば剣かナイフのような形がいいんだけど・・・」
ディースはレオの言葉に呆れた様子で返す。
「・・・、うちは基本的に中級者用の武器屋だ。
そんな高価な物は扱ってない。それに、あんたが剣を愛用としているようには見えない。
そもそも、ミスリルはまだしもオリハルコンは人族には製錬出来ん。出来るのはドワーフ族だけだ。」
「ですから、オリハルコンの武器は武器屋ではなく商人や場合によってはギルド、一番確実なのはドワーフの国で鍛冶依頼を出すことですね。」
エリカはディースの説明を補足し、レオの知りたい情報であろうことを付け加える。
話に納得し、ふむふむと頷きながらどうしようか考えているレオにディースは構わず話を振る。
「あんたはどんな武器を使うんだ?。まったく想像ができん。
そこのねぇちゃんは何となくわかる。おそらく無手だろう。いわゆる、格闘家だ。
だが、あんたはいろんな物が混ざっている。なのにどれとも合わない感じすらする。正直初めて見たよ、あんたのような奴は。」
「まぁ武器は使ったり使わなかったりで、基本はべつの理由で武器を集めているんだ。」
レオの発言にディースが眉をひそめ、追及しようとしたとき、店の扉が勢いよく開かれた。そこには一人の兵士が息を切らしながら立っていた。
「やはりここでしたか。近隣にいるすべての戦士長に緊急召集が掛かっております。マルベス戦士長殿も、お急ぎ城へとお戻りください!。
どうやらエリネアの一件も関係しているようです・・・。」
「わ、わかりました。」
話が終わると伝令に来た兵は直ぐ様、店から出ていき先に城へと向かっていった。
残されたエリカがレオとキューレの方を向く。
「すみません、レオさん。約束が中途半端で終わる形になってしまって・・・。」
「いや、大丈夫だ。必要なところはだいたい回れたからな。」
「それで、こんなこと頼むのも気が引けるのですが一緒に城まで来てもらえませんか?
エリネアの一件も関係しているならおそらくまた魔物が関連しているのは確かだと思います。それに戦士長に緊急召集がかかる事態なんて今まで聞いたことありません。
国の危機に成りかねない事案のはずです・・・。ですから・・・」
エリカの言葉を遮るようにキューレがやさしく肩に手を置く。
「心配すんな。あたしが手を貸してやる。
なぁレオ、お前はどうするよ?」
「やれやれ・・・、ここに来て仲間外れは嫌だしな。
話ぐらいは聞きに行くさ。」
「なら決まりだな。」
平和なんてないんや(´Д`|||)
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エセ関西やめぇや!(自虐