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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
119/125

117.前哨戦

赤い奴、登場

━━━ガンッ!ガンッ! ゴリ、ゴリ、ガキン!━━━


地下深く、暗闇の洞窟に怪音を響かせ進む者がいた。

灯りなど一切使っていないが、【それ】は迷い無く深く深く己が目的地へと歩を進ませる。

さらに深くへと潜り続けていくと、次第に道の隅々に溶岩溜まりが出来始め、【それ】を照らし出す。


「も、う・・・す、ぐ」


そこにいたのは真っ赤な岩石で出来た人型の何か。

大きさは3~4m、その周囲には魔物と同じ赤岩が下から持ち上げられたようにフワフワと幾つか浮いていた。

そしてさっきから鳴っていた怪音は、岩がぶつかる音やひこずる音だ。


「ふ、ん?」


快調に歩を進めていた赤岩人が急に足を止める。

睨み付けるように見据える先は火山の最深部であり、心臓部。

赤岩人が目指した目的地だ。


「だ、れ・・・だ」


目的地を目の前にした赤岩人は溶岩の灯りによってできた影に向けて問う。

その姿に一切の隙はなく、既に臨戦態勢へと移行されていた。


「流石にそんなうまい話はないか」


姿を表したのは黒髪藍眼で黒をメインにした服装をした青年だった。


「ですからそんな大規模な罠は気づかれると言ったんです」


その後ろからは薄い紫髪に赤い目、童顔の妖精が現れる。


「きさ、まらは・・・」


赤岩人は二人をキッと睨み付ける。


「よう、赤岩人。いや、風神様かな?」

「先ほど見たよりも岩が少なくなってますね」


そんな風神を他所に、レオはいつものチャラけた雰囲気である。

レイはしっかりと風神を観察する。


「初めて見た時よりも会話が出来る程度には封印が解けていますね」

「だな。あの時よりさらにヤバそうだ」


初めて赤岩人は、全身が大小さまざまな岩岩の寄せ集めにしか見えず【歪】の一言であった。

しかし、今はその歪さが少しずつ抜け落ち、人型ゴーレムと言える段階までスリムアップしている。

さらに所々には既に岩が剥がれ落ちた場所があり、その下からは生身の姿が見えている。


「邪魔、だ」


風神はレオたちに向けて、周りに浮遊していた拳サイズの岩を数個飛ばす。

飛来する岩をレオもレイも身動き一つ取らず避ける。

いや、正しくは風神が当てる気などなかったのだ。


「次、は当、てる」

「脅しか?」

「でしょうね」


己が脅しに対しても一切の緩みを見せないレオたちに多少イラッときた風神は次手を構える。

今度も同じように岩を飛ばすつもりなのだが、今回は岩岩が風の衣を纏い出す。

ヒュンヒュンヒュンと風切り音が響くと次第にその音が速く、高くなっていく。

そして岩纏う風が渦を作り出し、その渦を正面に標的へと狙いを定める。


「貫、け」


風神の言葉と共に十数個の岩が二人を襲った。


「重量な盾。猛威の剣。貸し与えたまえ!

簡易『岩窟王の盾剣』」


レイの簡易詠唱により、巨大な岩の壁が競り上がる。

そしてそこへ全ての岩が衝突する。

そこで、終わりかと思ったが不快に音が響く。

ガリガリガリガリガリと複数の音がレオたちのもとへと届く。

その音に混じり、先ほどの風切り音が微かに聞こえてきた。


「レオさま!」


真っ先に事態に気づいたレイはレオを強引に引っ張り、作り上げた壁の影から脱出する。

それを見計らったのように壁の一部から数個の岩が、壁を突破して来たのだ。


「危なかったですね」


間一髪避けたレオたちの前には悠々と立ち尽くす風神がいた。

風神が岩に仕掛けた細工は簡単である。

岩に貫通力を持たせたのだ。つまり、風を使って疑似ドリルを作り上げたのだ。

もし仮に、これをただの障壁などで受けていたならば、体に大きな風穴が出来ていただろう。

レイは瞬時にそれを理解したからこそ咄嗟に岩壁を作り回避できたのだ。


「最初からかなりえげつないことするなぁ」

「邪魔、をする、ならば次は、死だ」


その言葉を裏付けするように風神の魔力が膨れ上がる。

風神の魔力に耐えきれなかった浮遊する岩岩が一つ、また一つと砕け散る。


「どけ! これは、めい、れ――――」


風神は言葉を言い切る前に何か違和感を覚えた。

それが何かは理解できないが、無意識に頭上を見上げる。

そこで目にしたものに風神は目を見開き一瞬硬直する。

眩い青い光とどす黒い漆黒の塊がもう目の前へと迫っていたからだ。


「『一閃』!」

「《魔人の鉄拳》!」


頭上から同時に放たれた二つの攻撃が風神を襲う。


「なっ!」

「くっ!」


だが、無情にも二人の攻撃は三重に張られた障壁によって遮られ、そのうち一枚を破壊するまでにしか至らなかった。

結果を見たエリカとクレイは直ぐ様レオたちとは逆側に回避し、風神との距離を離す。


「挟ま、れたか」


そう、二人がレオとレイと合流しなかったのは風神を挟み撃ちにするためだ。

そうすることで、片方だけを意識した隙をつくという戦法を執れるからだ。


「さて、揃ったことだし。ここからが本番だ」


風神との戦いが始まる。

俺たちの戦いはこれからだ!(打ちきりじゃないたよ

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