表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/125

9.最恐の組み手

さてキューレの実力はいかに!!




活動報告にてアンケート実施中!

よかったらどうぞ!!

開始の合図と共にエリカから青色オーラが包みこむ。『肉体強化Ⅰ』である。その力を確認するように力強く踏み出し、キューレの元へ一瞬にして距離を積める。

レオはそれを見て納得したように頷いていた。

「(やっぱりエリカの得意とするのは【速さ】か・・・)」

エリネアでエリカがオーガに無謀にも突撃したとき、たとえ一瞬とはいえレオがその姿を【見失った】のだ。おそらく速さだけなら後れをとらないだろう。ただしそれは【この世界では】だ。

エリカが距離を積めた勢いで剣を瞬速のもと切り払う。

が、次にエリカが目にしたのはキューレに届いた刃ではなく、反転する世界と地面であった。何が起きたか理解できず、何をされたのかすらわからない。諦めが浮かび頭が冷めたとき、レオに言われたある言葉が響く。

【落とされる】・・・。

響く声を理解した瞬間、無意識に剣を持たない手が伸び、受け身とまではいかないが衝撃を押さえるために防御体制とる。

なんとか危機を脱したエリカはキューレを睨む。そこには片足を高くまであげ、蹴りの後のような体制で制止するキューレがいた。


「ちっ、あれで終わればよかったのに・・・」

「私の攻撃するタイミングに死角からのカウンター・・・

しかも、蹴りによる打撃ではなく、脚で私自身を反転させて落とす、どちらと言えば投げ技に近いもの。」

「へぇ~よくわかったなぁ。その通り、あまりにも無能な特攻だったし。利用させて貰ったんだよ。」

「(レオさんの話を聞いてなければ今ので終わっていたのでしょうね・・・)

ふふ、【冷静を欠けば即ち死】でした。」


エリカはさっきまでとは比べ物にならないほどの集中力をみせる。キューレの様子はさっきまでと変わらず余裕の態度である。

エリカの集中力がどんどん上がるにつれて『肉体強化Ⅰ』による魔力は次第に濃く、強くなる。


「『肉体強化Ⅱ』!!」


エリカが叫ぶ。包むように発動していた魔力がエリカに張り付き、まるで鎧を纏うような形に変わる。

エリカは再びキューレに向かって突撃する。

キューレは呆れたような表情をし、またカウンターを合わせるように迎撃の体制をとるが・・・キューレのカウンターは空を切る。いや、カウンターにすらならなかった。完璧なタイミングと思われたカウンターだが当たる瞬間にエリカが再加速し、ギリギリで避け、凄まじい加速のもとキューレに刃が届く。

「!? チッ!」と無意識にキューレが舌打ちをする。

次に響いたのは硬質同士がぶつかるようなキンッ!とした音である。

キューレの手刀がエリカの剣を止めていた。いつの間に発動したのか、キューレの体にも纏うようなオーラが出ている。ただしエリカとは異なり禍々しく練っとりとしたものであり、魔力というより邪気のような雰囲気を感じる。邪気自体から異様な恐怖を感じ、エリカは咄嗟に飛び退いた。


「あー!ムカつくな。まさか無意識とはいえ使っちまうとは・・・」

「はぁはぁ、いったい何が・・・?『肉体強化』なの?

いえ、違う。もっと強力でもっと厄介な力に感じる。」

「それは【魔人】の力を【スキル化】したものだよ。」


レオが二人の話に入り、説明をする。


「【魔人】?

それよりも【スキル】って・・・まさか、あの!?」


エリカはキューレを見て驚愕する。

【スキル】とはありとあらゆるものにある技の最高地。魔力を使わないただの武術だとしても極めれば魔法すら凌駕する力に到達できる。それこそが【スキル化】であり、個が持つ中でも最強クラスの力である。

達人と呼ばれる人たちでも【スキル】を獲得できるものほんの一握りであり、1つとして【同じスキルはない】とされる。

継承しようにも型を真似ただけでは【スキル】には昇格できない。まさに各個人専用の技である。


「《魔人の覚醒》。人間の限界を越え、魔に落ちた者に与えられる【スキル】だ。『肉体強化』との違いは魔力ではなく邪気を纏うことで、比にならないほど強化を得られ、触れるものには精神的にもダメージを与える。

ただし使用者にも邪気が侵食し精神を犯す。諸刃の剣だ。

(まぁキューレにはそのデメリットもないに等しいけど)」

「レオ!、いらん説明はすんなよ!

それよりあんた、えっと・・・、エ、エリカ?だったか?

これが発動したらしばらくはこのままだが・・・まさか怖いからって止めないだろ?」

「はぁはぁ、や、やります。私はまだ負けたわけじゃありませんから!

(とは言っても魔力も、もう残りは多くはない・・・)だから!」


エリカは先程までの特攻とは違い、手数の多さで勝負に出た。端からみればただの一撃には微かにぶれ、5連撃であることがわかる。それを縦横無尽に突きまで加えて連打を重ねる。

初めこそ、その速さに苦もなく対応していたキューレだが今のエリカは、この連打に残りの力すべてを使い、高い集中力を維持しているため一撃ごとにその精度はあがり、回避のみでは対応できない。そのためキューレも回避をしつつ攻撃に転じる。

位置としては大した移動がないが二人の動きは激しく攻防を繰り広げている。その光景は、エリカが見たレオとキューレの組手と同じレベルだろう。

だが、この攻防は長くは続かず次第に魔力と共に集中力すら切れてきたエリカの動きからは繊細さが消えていき、剣は次第にぶれ始める。もちろんそんな致命的な隙を見逃すキューレではない。

左手で剣を弾き飛ばしながらエリカに呟く。


「多少は出来るやつだったな。ならこれはあたしからの詫びだ。

スキル《魔人の鉄槌》」


新たなスキルを発動させたキューレの右腕にすべての邪気が集まり、その力を格段にあげた一撃は、剣を弾かれ無防備になったエリカに向かう。

それを視認した時にはエリカは、すでに魔力も切れ立っているのもやっとな状態である。回避は無理なことからエリカは自然に目を閉じその先を委ねた。

キューレの右腕がエリカを狙いうち放たれる。バンッ!と音が響き渡る。

が、その一撃はエリカの頬を掠めただけで直撃はしなかった。先ほどまでの邪気も消え去り威圧感すら完全に消えていた。

エリカは頬を掠めたために邪気により精神を刈り取られ気を失い、キューレが支える。


そんなキューレをレオは微笑みながら見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ