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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
105/125

103.馴れ初め

ついに彼の名前が明らかに!

レオは三人が苦笑いを浮かべ固まっているのをただ眺めていた。


「(まぁこの三人はとりあえず大丈夫そうだな。あとは・・・)」


レオはスッと立ち上がると、レイの元へと近づく。

キューレと似ていると言われたのが、かなりショックだったらしくいつの間にやら地面に降り、ふさぎこんでいた。

そんなレイの隣に座るとレオは何も言わぬまま、レイの小さな頭を優しく撫でる。


「さて、俺の体が大丈夫だと分かってもらえたなら今度はそっちの話を聞いてもいいか?」


レイを撫でながらも、自分の仕事を始める。


「は、はい」


レオの問いかけにようやくフリーズ状態から解放されたドワーフが慌てて返事をする。


「まずは自己紹介を、私はジンチュ。皆さんが言うように現ドワーフの【総長】をしています。

そしてこっちが・・・」


ジンチュは、じゃれるように顔を擦り寄せてきた蛇龍を示す。


「ハイズー。私の命の恩人、恩龍ですね」

「そういえばこっちも自己紹介がまだだな。

俺はレオ、レオ・スフィア」

「私はエリカ・A・マルベス、エリカでいいですよ」

「クレイだ」


レオからエリカ、クレイと続き、最後に一人残る。


「こっちの、ちょっと元気ない奴がレイだ」


未だに意気消沈のレイに代わりレオが簡単に自己紹介する。


「い、いえ、誤って先に仕掛けたのはこっちですから」


そんな中でもじゃれあいは加速し揉みくちゃにされながらも話を元に戻す。


「それで、私が火山の異変調査で深部に下りてすぐ、巨大な魔物と出会いました。

真っ赤な岩石で出来た人型の魔物で、大きさは4mまではなかったと思います。その周囲には魔物と同じ赤岩が下から持ち上げられたようにフワフワと幾つか浮いていました」


魔物の特徴を話すにつれジンチュの声に暗さが出始める。

その声色を聞いたせいか、それとも話の内容を理解してか、ハイズーもじゃれるのを止め真剣になっていた。


「そいつは目があった瞬間にこちらを攻撃して来たんです。

そこをハイズーが助けてくれて」


ジンチュの話ではいきなり周りの岩々を飛ばされた挙げ句、それが最悪にも足に命中、バランスを崩して倒れた所に魔物の拳が振り下ろされそうになったタイミングでハイズーが現れたようだ。


「その魔物はハイズーの咆哮を聞くと、戦うことなく逃げて行きましたが、自分自身は怪我で動けなくなりそのまま回復まで時間が掛かり今に至ります」

「ん? そっちの、あぁ~、ハイズー?はどうしてジンチュを助けたんだ?

元から面識があったのか?」


ジンチュは首を横に振る。


「いえ、会ったのはその時初めてでした。

だから最初はどちらにしろ助からないと思いましたから」


当時を思い出しながらジンチュが苦笑いを浮かべる。

それが気に入らないのかクレイが食って掛かる。


「ならどのようにして自身より強いものを従えた?」


尋問でもするかのように厳しい口調である。


「し、従えたわけではないです。

どちらかといえば仲良くなった、といいますか・・・」

「仲、良く?」


クレイはジンチュとハイズーを交互に見て、到底信じられないという表情でジンチュイに疑いの目を向ける。


「クレイさん、さすがに失礼ですよ・・・」

「だが、私からすればなんの取り柄もない、強者の風格すら感じないただのドワーフと仲を深める龍などいない!」

「クレイ、失礼すぎるぞ。

それにただのドワーフじゃないだろ?」


理解できないからあり得ないと否定するクレイをレオが止めに入る。


「ジンチュは総長だ」

「だから特別だというのですか?」

「ジンチュはドワーフでありながら異例だ」

「それは・・・」

「俺は今まで、ここまで普通の人間に近い身長を持つドワーフを知らない」

「何事にも例外はあります」

「だな。だったら【今回の件】も例外なんだろうな」

「・・・」


決して納得できたわけではない。が、これ以上の問答は主を裏切る行為になりかねないと無意識に判断しクレイは口を閉じた。


「・・・ただ」


口を閉ざしたクレイを見たレオは少しだけ考える素振りを見せると話し出す。


「ただ、この異例が【偶然】とは限らないけどな」

「・・・?」


主からの言葉の意味が理解できずクレイは主の次の言葉を待つことしか出来なかった。


「さっき言ったろ? 【ジンチュは総長だ】って」

「???」

「あ!」


ますます意味が分からないとクレイは頭を悩ませるが、それと同時に声を上げる者がいた。


「もしかしてバダさんが言っていた【儀式】の話ですか?」


声をあげたエリカにレオは口元をニヤリとさせながら小さく頷いた。

逆にそれを聞いたジンチュはばつが悪そうに下を向く。


「話してくれるよな?」


ジンチュが動く前に釘を差すようにレオが先んじて話を振る。


「は、はい・・・」


もう拒否権なんてないんだ、と理解したジンチュは素直に了承するしかないのであった。

ようやく話が進みます

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