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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
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102.属精霊化

説明会

「皆落ち着いたか?」


開口一番、全員の状態を確認するのはレオだ。

おそらく肉体面ならば一番疲弊しているのだが、精神面だけを見れば一、二を争う健康さだからだ。


「「「・・・」」」


最後の阿鼻叫喚な結末から10分少々、どうにか全員最低値からは回復できたようだが未だに重苦しい雰囲気だけは続いている。


「話が出来ないと先に進めやしないんだけどなぁ・・・」

「レオさん、そう焦らなくても良くないですか?」


ここで唯一精神ダメージのないエリカがレオを説得し出す。


「それにレオさん自体もまだダメージが残ってるんですよね?」

「いや、もうほとんど治っているから大丈夫大丈夫」


心配そうに気遣うエリカにレオは身体の状態を確かめるように座ったまま身体をストレッチし出す。


「・・・本当に、悪いことをした」


重苦しく口を開いたのはドワーフだった。

意気消沈した状態は未だに続いているがどうにか話をしようとしてくれているようだ。


「身体は本当に大丈夫、ですか?」


少しだけ震えの残る身体でレオを見つつ問う。

そんな彼を心配するようにハイズーと呼ばれた蛇龍は彼の周りを囲うように渦巻き、全身を使い彼に寄り添っていた。


「ん? あぁ、【属精霊化】も解除できたから問題なし」

「【ぞくせいれいか】?」


直ぐ様、聞きなれない単語に対して反応したのはエリカだった。


「あっ、そうか。 エリカに見せたことなかったか」

「・・・主様、私も初耳です」

「クレイにもなかったっけ?」


あちゃー、と一人頭を押さえて「やっちまった~」と呟くレオを三人は不思議そうに見つめ返す。


「そっかそっか。だからあんなに心配してたのか。

それは悪いことしたな~」


レオがエリカとクレイに対して「スマンスマン」と軽い口調で謝る。


「【属精霊化】ってのは簡単にいうと肉体を魔法そのものに変える技術、いや奥義っていう方がいいのかな?」


【属精霊】とは属性魔法の根元たる魔法の核となる存在であり、各個人の魔法に反応し集まる意識なき精霊である。

それ自身になる、つまり身体を構成するすべての要素を魔力、または魔法に変化させることが【属精霊化】である。


「【属精霊化】のメリットは自身が魔法のそのものになるため、物理攻撃や相性によっては魔法攻撃すら無効化できること。

加えていうなら本人の魔力と意識が途切れない限り【属精霊化】中は肉体の再生も容易なこと。

最大のメリットは変化させた属性そのものの能力を得られ、魔法の発動をノンタイムで行使できること。」


つまり、体が魔法そのものになのだから腕や足が吹き飛ぼうとも再び作り直せば元通りと同じ、という意味である。

そして属性そのものの能力とは、今回で言えば火。

火のメリットとしてレオが使ったのは、火を火では消せないこと。

要するに、どれだけ強力な龍の炎のブレスでも同じ火にぶつけたところで火は消せない。

故にブレスを食らっても無事で居たのだ。


「属性によってはもっと使いやすいものもある。

例えば、雷や光ならばまさに光速の世界を行き来できるし、風ならば全身を刃の変え、近寄るすべてを切り刻んだりとかな」


他にも性質によっては隠密なり、情報収集に特化した行動なり出来たりもする。


「まぁデメリットもある。まず、習得が異常に難しい。

そもそも属精霊は意思なき精霊だからな。

それになろうとした時、自身と属精霊との境界たる割合を間違えたら自分の意識が消滅する。

そうなったら最後、あとは魔力が霧散して空気中に消えてなくなる。つまり、完全にこの世から跡形もなく存在が消失しておしまいだ。

さらに境界線を理解してもそれを維持し続けるだけの技術が必要となる。それが出来ないと一瞬で元の姿に戻っちまう。

んで、最後のデメリットとして【属精霊化】の解除に失敗すれば、肉体麻痺を起こす可能性があることかな」


つまる所、おおよそ一般人からすれば手を出そうなどと思いもしない技術だということである。

だが、これはまさに魔法という技術の中でも秘技、奥義と呼ばれるに値する力である。

なぜここまでのデメリットを背負いながらもこの奥義を使うのか、その理由はレオの環境を考えれば分かる。

普通、人間が天災に勝てるだろうか?

いや、勝てるわけがないのだ。

ならば天災と天災であればどうだろうか?

それならばやってみなければ結果は分からないのではないか。

さらに言えばレオが今まで相手取ってきた最高の敵は、その天災を意思をもって引き起こせる神々である。


「(使えないからって勝てない訳じゃないが俺自身のデメリットと相性が良かったからな・・・)」


レオのいうデメリットとは【完全魔法式保存】によって生まれた魔法の威力を0にする障害のこと。

だがレオ自身の魔力に初めから威力が無いかといえばそれは違う。

単に魔力の塊をぶつけるだけならばそのままでも威力を出せるのだ。

つまり【完全魔法式保存】の異能を使わないで行使された魔法であれば問題ないのである。

よって【属精霊化】のメリットの一つ、【変化させた属性そのものの能力を得られ、魔法の発動をノンタイムで行使できる】は完全魔法式保存の適応外になるというわけである。


「まぁそんなわけで【属精霊化】で龍のブレスは無効化したし、解除の方も終わったからもう平気ってわけだ。

ん? どうしたんだ?」


三人が理解できない高次元の話を淡々と言いのけるレオに、三人が三人とも「(で、デタラメだぁ)」と思ったのは仕方のないことなのだろう。

プロのスポーツ選手がさらりと「ただこうやっただけですよ」とかいう感じに近い感覚

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