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異世界で最強底辺な俺の気ままな武器貯蔵  作者: 津名 真代
第三章 ボルバック諸島国
102/125

100.小さな決意

少し短めです

【総長】と呼ばれ顔を伏せたドワーフは、深いため息を一つ吐き出すとゆっくりと顔を上げる。


「誰に頼まれたんです?」


本当は聞きたくないが、聞かないと話が進まないから仕方なく聞いてますという様子を全面に押し出している。


「お、俺たちに、依頼をしたのは・・・はぁはぁ・・・」


未だ息を乱し続けているレオの身体は、初め見たときよりも全身の炎が弱々しくなっている。

大火のように荒々しく燃え上がり人の形をしていることに違和感を感じる程だった姿が、今は燃えカスのような弱々しさであった。

見た目だけならば真っ赤な人型スライムにチラチラ炎が体から生えている状態だ。


「レオさん! 無理しなくても大丈夫ですよ・・・」

「主様、後は我々が分かります」


エリカとクレイはレオの姿を再度確認すると直ぐ様駆け寄った。


「私たちに依頼をされたのはウー頭領です」

「ウー頭領・・・ なるほど」


エリカの返答に、【総長】は少し考えるように大槌を持たない手を顎に添える。

数秒と掛からずに何かしらの答えを導きだし、独りでに納得していた。


「貴方がドワーフの【総長】で間違いないんですね?」

「・・・、いや人違いだ」

「え?」「は?」


ここに来て急な否定回答にエリカもクレイも間抜けな声を上げる。


「俺は総長なんかじゃない。それに――――――」


【総長】を否定する男は、大槌を自身の体に立て掛ける。

すると、そのまま状態で両腕を大きく広げだした。


「この姿の何処がドワーフに見えます?

僕の身長は君らと変わらないでしょ?」


身長や筋肉の付き方など、多くの面ではドワーフとは異なっている。


「えぇ、確かにドワーフよりもただの人族にしか見えないですね」


これまで会話に参加することなく沈黙していたレイが口を開く。


「ですが、顔を覆う毛の生え方や質、細身でありながら身の丈ほどの大槌を容易に扱い、それを苦とも思っていない様子から見るに――――」


レイは喋りながら【男性】の前までゆっくりと浮遊する。


「ドワーフに良く似ていますよね?」


少しだけ幼さを感じる明るい声と共に、レイは首を少し傾げるように質問した。

無邪気な子供が大人に可愛らしく質問するような和やかさすら感じる。


「・・・!?」


だが、その和やかさが【男性】にとっては、頭から来る全身の震えを起こす原因になる。

目の前で可愛らしく振る舞う妖精は、先ほどまで龍を倒そうとしていた人物であり、【自分】が止めなければ間違いなくそれを達成させていた妖精なのだ。

そして今、そんな人物が目の前にいる。それが堪らぬ恐怖へと無意識に変えていたのだ。


「僕をどう――――」

「まぁそれは後にしましょうか。

一時間もしないうちに結果は出ると思いますから」


【男性】が喋り出したと同時に、それを遮るようにレイが口を開く。


「どういう意味、ですか?」


言葉の意味が分からないといった雰囲気で、つい質問を口にしてしまう。


「言ったままの意味ですよ?

私ならここから外に出るのに苦労はしませんから」

「つまり貴方が外のドワーフたちに確認しに行く、と?」


レイは、ふふっと笑う。


「それにそれまでに私の主様も【元】に戻るでしょうから」


レイは身体を【男性】に向けたまま顔だけレオの方に向ける。

それに釣られるように【男性】の目線もレオに向けられた。


「なっ!」


先ほどまでの、残りカスだった姿は赤い色を完全に失い、人型炭がそこに出来ているように見えたのだ。

だがそれは早計である。

炭のように見えたのは、単に身体全身に纏う衣類が漆黒であったから、ただそれだけのことだった。


「龍のブレスを食らって生き残った? ・・・信じられない」


更なる驚きは、あれだけの炎を身に受け、全身を炎に変えられていたはずの人物の肉体に目立った外傷が一つとしてないことなのだ。


「何がどうして・・・」


そして極めつけは、激しい息切れとダメージで立ち上がることすら出来なかったレオが少しずつではあるが息を整え立ち上がりつつあることだった。


「ね? 言った通りでしょ?」


再び子供のような声が響く。

それにより意識がレオから、目の前にいた妖精へと引き戻された。


「あの人はそう簡単には死なないから心配は要らないんです」


独り言のように呟かれた言葉を、それでもハッキリと聞こえた【男性】はこの時「逆らってはいけない」と心の中で強く思ったのだった。

なんだろう・・・

レイがヤンデレのように見えなくない?

違うからね!

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