8.キューレとプライド
さて新たなキャラ登場です!
活動報告にてアンケート実施中!
よかったらどうぞ!!
エリカは早朝、ある場所に向かっていた。
エール王国の王都に到着してから丸一日、報告や今回の戦いで亡くなった部下の弔いの準備、装備品などの補充手続きなどで動き回っていたのだがやっと一段落着き、正式に休暇をいただいたのである。
「(レオさんたちの王都案内を約束していたのですから)」と眠い目を擦りながらも歩いている。目的地はエリカがレオに教えた宿ではなく、冒険者ギルドの裏にある膨大な敷地を使った訓練所である。宿にも行ったのだが朝早くからここに行くと宿の受付に話をしていたようだ。
見た目には運動公園のような形であるが、その中でも一際目立つのは中央付近に作られた2つのコロシアム状の建物だ。ここでは模擬戦を行えるようになっている。一回使用に使用料が取られるが中でのダメージを肉体から精神へと変える特殊な魔方陣が大量に組み込まれているために、それに使う魔石分が使用料となる。
闘技場には、使用者にレオの名前があり、エリカは迷うことなく中に入っていく。
中央の広場へ向かう道を歩いていると次第に戦闘音が聞こえてくる。魔法などによる大規模な攻撃ではなく近接格闘による攻撃の応酬だろうことがわかる。
エリカが広場にたどり着くとそこにはレオと見知らぬ女性が打撃戦をしていた。
たとえ、素人が見たとしてもわかるほどにハイレベルの打撃戦はエリカを釘付けにした。
「(あれだけの魔法を使えるのに、格闘まで達人レベルなんて・・・)」
エリカ自体もジャンルは違うとはいえ武人である。だからこそ先程から行われている紙一重の回避、一撃において3度にもおよぶフェイントの数、そこまでしても決定打を互いに受けることなく戦い続ける二人はさながら決められた演武を踊っているようにすら感じてしまう。
だがその攻防は何ともあっさり終わりを迎える。見知らぬ女性に向けられたレオの右ストレートをあたる瞬間に腕を掴み、制止させたと思えばそのまま反転させるように腕を回し関節を決めたのだ。
そこでやっとエリカに気づいた二人は、組み手をやめ、エリカを見て話しかける。
「こんな朝早くから何かようか?」
「あ、はい、約束していた案内をやろうかと・・・
そ、それよりもさっきのは!
いえ、その前にそちらの女性は誰ですか!?」
エリカはビシッと音がなりそうな勢いでさっきまでレオと組み手をしていた女性を指差す。身長は170cmほどありレオと対して変わらないほどである。髪は短めでぱっと見では男にも感じられるがそのまま視線を下にすれば女性であることがわかる。武術において邪魔にならないほどの胸であるが決して小さいわけでもなく、ほどよい大きさであるが、身体全体が鍛えぬかれており、スレンダーでありならがボンキュッボンな体型のせいで実際より胸は大きく感じる。
服装自体は女性もののズボンタイプスーツに似ているが動きやすさを重視しているために肩や脚回りにはゆとりがある。
エリカに指差しされたのが気に入らないのか少し苛立ちをみせる。
「?、なに人を指差してんだテメェ!
たとえ、レオの知り合いでも殺すぞ?」
「キューレ、エリカを威嚇するなよ・・・
悪いなエリカ、朝早くにこんな所まで来たのにな。」
「いえ、それに関してはいいのですが・・・
あれ?、今キューレって、それはもしかしてレイさんの・・・
そういえば何処と無く目や髪の色が似て・・・」
「あいつと一緒にするな!
あんな軟弱なやつ、あたしは認めてない!」
キューレが声をあげるとエリカは少しばかりビクつき警戒する。そんな二人を見て苦笑いを浮かべているレオはエリカに説明をしだした。
キューレとレイは元々が別々の存在であったが何かしらの原因で2つの存在が交わり一つの存在になったという。片方が表に出ているときにも、もう片方は意識があるようで外の様子を見れるようだ。
「1つの体に2つの意志が入っているってことですか?」
「いや、体も別々らしい。だからキューレならこの姿になるし、レイならあの妖精のような姿になるんだよ。」
「そんな話はどうでもいいだろうが。
あと、あんた、えっと・・・名前がわからないがあたしを呼ぶときはキューレって呼べ。間違えるなよ?」
キューレは軽い脅しをかける。
エリカも負けじと話しかける。
「で、でしたら私の名前も覚えてください、マルベス・A・エリカです。」
「あぁ?。いらねぇよ、別に。
雑魚の名前を覚えても意味はねぇしな。
レオ! さっきの続きしようぜ、まだまだ暴れ足りねぇし。」
「な!。ま、待ちなさい!」
「エリカ、落ち着け。
あいつは戦闘バカなんだよ。戦うことが好きで強いやつを倒すことが生き甲斐みたいな奴だから気にするな。」
エリカを宥めようとするレオだが、すでにエリカにはハッキリわかるほど先ほどの言葉に苛立っていた。
「た、確かにレオさんたちに比べれば私は弱いかもしれませんが、これでも戦士長を拝命する身です!
雑魚などと言われて引き下がれません!」
「はん!
なら来なよ、【お遊び】くらいにはなるだろ?」
「おいおい、二人とも・・・
これは無理か・・・、なら俺が立会人だ。
俺が無理だと判断したら直ぐ様止めるからな!
あとキューレ、使っていいのは【第1式】までだ。」
「あぁ?
レオ、あたしがこいつにそんなもんまで使わないとはいけないと思うのか?」
「あくまでルールとして言っているんだ。それ以上は、【絶対に許さない】。」
エリカはすでに頭に血が昇っているため、気づけはしなかったがレオの言葉にキューレは無意識に一歩引いていた。だがキューレの表情には好奇心とも見れる不敵な笑顔が表れていた。
「さて、模擬戦を開始しよう。
・・・エリカ!」
エリカは闘技場に用意してある剣を手に広場中央に近づくがその前にレオに呼ばれ振りかえる。レオはエリカに近づき耳元で囁くように話す。
「最初から本気でいけ。じゃないと一瞬で【落とされる】ぞ。」
「言われなくても全力で行きます。」
「まぁ少しは頭を冷やせよ。」
レオは離れていき、二人の間に立つようにし二人を見て準備が完了していることを確認する。
「何を話してたかは知らないがすぐに終わるぞ。」
「どうだろうな、やってみないと分からないこともあるかもだぞ?」
「はん、ないよ。あたしが勝ってあいつが負ける。」
「絶対一矢報います!」
「じゃあ・・・開始!!」
レオの掛け声と共に戦いが始まった。
主はカッコいい姉御?系のキャラが好きです!
やっと登場させることが出来たよぉ~