プロローグ
永遠とはどのようなものなのか
その片鱗に触れることはあってもそのすべてを感じることも理解することもできはしない
その苦しみも、悩みも、悲しみも
その永遠の中にほんの稀に起こる玉響の安らぎ、楽しさ、快感、喜び、それらによって生じる心の揺らぎも
誰にもわからない…
長い間に自分が残した功績も、結んだ友情も、育んだ愛も、胸も中にあった憎しみも、時間とともに風化して消える
その恐れさえも消えていく
誰に怒ればいいのか、誰を呪えばいいのか、誰を・・・
誰よりも功績を残した
誰よりも罪を犯した
誰よりも剣をふるった
誰よりも魔法を極めた
誰よりも強くなった
だが彼が欲しかったのはそんなものだったのか
今となっては彼自身もどうすればいいのかもわからなくなっていた
目的もなく時間の流れを感じ、約束したことを繰り返す
彼が救われることはあるのか
彼は救われたいのか
ただ、彼に無意味に生きてほしくないと願っていた人は多くいただろう
その願いが彼に届かないのは、永遠の苦しみが分からないからか、それとも彼が傷つきすぎたためなのか
永遠を過ごす彼と玉響の命を燃やしていく人たちが多くの苦悩と憎しみと愛の物語を紡いでいく
玉響の中では永遠で、永遠の中では玉響な儚き物語を