自分の姿を認めましょう。
読んでくれる人がいらっしゃったのなら、たいへん長らく、お待たせいたしました。
気づいたら、暗闇の中にいた。
俺は、生きているのか?ということは、おそらく病院の中だろう。あの状態の中で生き残るとは、我ながら運のいいものだ。なにも見えないけど、ここは病院の中だし、しばらくぼーっとしていよう。
そういえば、従兄たちはどうなったのだろう。特に気にしてはいないけど、死んでいるとかはいやだな。まあ、あいつらは救命胴衣着てたし大した怪我にはなってないだろう。あの野郎、顔面複雑骨折ぐらいはしててくれないと気が済まん。ケガが治ったらなぐり殺してやる。むりだけど。あいつ、空手やってるし。
ああいらいらする。くそっ....
ん?
手、というか体が動かない。え、ちょっええ?。落ちつけ、時間はたっぷりある。自分の状況を確認するんだ。目は、まったくもって見えない。耳は、無音。いや、周りにだれもいないだけかもしれない。鼻は、ぜんっぜん匂わない。香りのかけらも感じない。口は、そもそも開かない。というか自分に口があるように感じない。手足は、なんも感じない。というか、なんだろう、ふわふわしている。水中にいる感じに似ている。全身麻酔って寝てなかったらこんな感じなのだろうか。
結論。五感全部ダメになってる。....うすうす感じてたんだ。でもさ、ふつう信じたくないでしょ?現実逃避したくなるでしょ?植物人間とか、最悪じゃん。人生終わったよーなもんじゃねーか。死ね、従兄。そして宇宙空間で反物質とぶつかって原子一個残らずすべてエネルギーに変わってしまえ。
...いや、俺は認めん!認めんぞお!絶対にあきらめるもんか。最後の最後まで足掻いてやる。南無阿弥陀仏!!南無妙法蓮華経!!アーメン!!ドラえも~ん!
なぜだ、なぜなんだ、なぜ誰も助けてくれない?神はいないのか?いないんだな?
ええい、こううなったら自棄だ。黒歴史を解放してやる。
(この地に宿いし精霊よ、その聖なる慈悲深き光にて、わが肉体を癒したまえ...パーフェクト・ヒール!!)
....ぬおおおおお!恥ずい恥ずすぎる!しかも全然効果ない!!やばい、精神ダメージが半端ないぞこれ。くそう、次だ、次!
(我らを見守る大いなる神よ 癒し、救い、全てを助ける偉大なる神よ 全てを知り、全てを能うその力を以て 傷つき壊れた者の復活を 我らが主、神よ 祈りの巫女の願いを叶えたもう!!
―――ゴッド・ケア!!――― )
グフウウッ!?な、なんて破壊力だ....も、もうギブ。これは、だめだ。狂ってしまう。次で終わりにしないと。とはいえ、そろそろ精神が持たない。
こっぱずかしい詠唱は無しで、もっとも使える確率のあるもの。なにか、あったはずだ。そうだ、あの小説の中に出てきたあれなんかどうだろう?あれなら、ダメージもないだろう。
そして、俺はこう心の中で唱えた。
『ステータス』と。
その瞬間、頭の中で文字が浮かんだ。
――ステータス――
name:『 』
種類 魔力塊
出現から200万年
HP - (【機能】・破壊不能 のため)
MP ∞
攻撃 5
耐久 - (【機能】・破壊不能 のため)
精神 - (【機能】・破壊不能 のため)
速さ 22500
【機能】
・破壊不能 ・解析
【スキル】
【称号】
『魔素の管理者』
おお!マジで出た!やっぱり、植物人間じゃなかったんだ!ほらみろ、俺はちゃんとした人....間....?
あれ?「魔力塊」ってなんぞ?まさか、俺のことじゃないだろうな。
それより、視えないのどうにかしてほしい。ファンタジーなんだ、視覚くらい何とかなるはずだ!
視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ視えろ!
【スキル:魔力検知 を獲得しました。】
ん?おっおおおお!見える、視えるぞお!しかもなぜか360度全部見渡せるぞおおお!ファンタジーのちからすげえ!
...で、この中心にある緑っぽい物体は何かな?そういえば、ステータスに「解析」ってあったな、あいつにつかってみよう!
(解析っ!)
『魔力塊・・・濃厚な魔素を放出し続けている。意思を持っているため、装備は魔力塊の許可が必要。装備すると、【スキル】・解析 を使うことができるようになる。人間の魂と同化している。』
.....どうやらこれが俺らしいね。「人間の魂」ってどう考えても俺のことだよね。
なんてことだあああああ!!
こうして俺は、この緑っぽい正八面体が自分だということを認めざるを得なくなったのだった。
こんな駄文をよんでいただき、ありがとうございます。更新速度はかたつむり以下のままです。誤字脱字ありまくると思います。